【2/9コミックス2巻発売】貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収〜パーティー追放された俺は、可愛いサポート妖精と一緒に取り立てた魔力を運用して最強を目指す。限界まで搾り取ってやるから地獄を見やがれ〜
第259話 最後の試練(3):セカンド・シーケンス
第259話 最後の試練(3):セカンド・シーケンス
俺は回復ポーション瓶の蓋を開け、ラーシェスに向かって投げる。
しかし――。
「これもダメか……」
ヒールが効かない時点で半ば予想していたが、やはり、ポーションもダメだった。
どうすれば……。
――心拍数125。
俺はふぅと深呼吸する。
落ち着け。落ち着け。落ち着け。
――心拍数81。
そうだ。
回復手段はもうひとつある!
「ラーシェス、【
「うん!」
「【
ラーシェスが唱えると、彼女の身体を白い光が包む。
次の瞬間には――。
「大丈夫。治ったよ」
第二の試練では使う必要がなかったけど、ラーシェスも回復魔法が使える。
理由は分からないが、今回はラーシェスの回復頼みだ。
天使が動く。
まるで、俺たちの態勢が整うのを待ってたかのように、余裕たっぷりで翼をたたみ、地上に降り立つ。
――排除失敗
――セカンド・シーケンス
――ソードモード
声に合わせ、どこからともなく両刃の直剣が現れ、天使の右手に握られる。
近距離での戦いを挑んでくるつもりだ。
「ポジションチェンジ」
天使を見据えたまま、二人に告げる。
「リンカは前に、ラーシェスは下がって回復に専念」
「はい!」
「分かった!」
回復を任せるので、ラーシェスを守るのが最優先。
敵の動きが分かるまでは、後ろで待機だ。
俺の無空弾は通じなかった。
さっきの手応えでは、他の属性魔法でもダメそうだ。
となると、攻撃はリンカに任せ、俺はラーシェスを守りつつサポートに回る。
――心拍数75。
いつも通りの心拍数だ。
「イータ、弱点は?」
「弱点はないニャ。でも、リンカのカタナなら通じるにゃ」
「アンガー、敵の攻撃は?」
「あの剣だけッス」
天使は俺たちに向かって、剣を突きつける。
やはり、向こうからは動かない。
「よし、リンカ、思いっきり暴れて」
「はい!」
「
リンカは壱之太刀をかけ直す。
それと同時に、俺は――。
『――【付与:スキル強化】』
ナミリアさんから教わった付与魔法LV3のスキル。
普通の付与スキルは相手にかけ、相手の能力を引き上げるスキルだ。
それに対し、このスキルは相手のスキルを強化する。
これでリンカの壱之太刀はいつも以上の効果を発する。
普段以上の赤い闘気に身を包んだリンカが、天使に向かって駈け出す。
ようやく、天使の剣が動いた。
――ぞわり。
嫌な予感がする。
天使はリンカを近づけさせまいとして、連続の突きを放つ。
普通の突きであれば、この程度の速さはリンカにとって、どうということはない。
しかし――。
「なんだ、あの動きは……」
人間の動きは身体構造によって限られている。
関節は可動域を狭め、骨の長さがリーチを定める。
それは、他の人型モンスターも同じだ。
以前戦ったクアッド・スケルトンを含め、武器を使うモンスターは存在する。
彼らは、人間と同じ制約に縛られている。
しかし――見たことがない動きにリンカは戸惑っている。
天使の関節は球体だ。
それがクルクルと回ることによって、可動域は360度。
球体を離すことによって、リーチが伸びる。
想定外の位置からの攻撃にリンカをそれを捌くので精一杯。
なかなか、攻め入る隙がない。
それでも、リンカだからだ。
並みの剣士なら、もう串刺しになっているだろう。
しばらく、打ち合いが続く――。
打ち合いは10分以上続いている。
その間、俺は魔法で牽制しているが、天使は意にも介さない。
ダメージを与えるどころか、戦いにまったく影響しない。
天使に隙が出来れば、ラーシェスを飛び込ませるのだが、今の状態では危険すぎる。
見守るしかない俺は、歯がゆい思いで我慢するしかない。
天使に疲労はないのだろう。
最初から動きはまったく変わらない。
それに対して、リンカは人間だ。
全力で動き続ければ、疲労は溜まる。
ラーシェスの
そして、リンカがふらついた瞬間――。
天使がリンカの胸元目掛けて、強い突きを放った。
◇◆◇◆◇◆◇
【後書き】
次回――『最後の試練(4):リンカVS天使』
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