【2/9コミックス2巻発売】貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収〜パーティー追放された俺は、可愛いサポート妖精と一緒に取り立てた魔力を運用して最強を目指す。限界まで搾り取ってやるから地獄を見やがれ〜
第196話 SS第一回『あるじのここが好き』選手権(上)
第196話 SS第一回『あるじのここが好き』選手権(上)
――レントたちが寝静まった夜。
「ではでは、第一回『あるじのここが好き』選手権、始めます~」
「なんニャいきなり」
エムピー、アンガー、イータの3匹が集まったところで、エムピーが唐突に宣言する。
「なんか面白そうッス!」
「もう眠りたいニャ」
「アンガー」
「オッス」
エムピーの合図で、アンガーがイータの頭をグリグリする。
「やっ、止めるニャ」
「気合い入れるッス」
「起きた、起きたニャ。それで、なにするニャ」
不服そうではあったが、イータも眠るのを諦めた。
それでも、半分眠っているようなものだったが。
「それぞれ、あるじの良いところを言い合う会です~」
「良いッスね」
「分かったニャ。あまり気乗りしないけど、つき合うニャ」
うんうんと、エムピーは頷いてから告げる。
「では、まずはくじ引きです~」
どこから取り出したのか、三本の棒が入った箱を二匹の前に差し出す。
それぞれの棒には1から3の数字が書かれている。
「うす。おいらから引くッス。こういうのは勢いが大事ッス!」
アンガーは考えることなく、1本の棒を掴み上がる。
「2番ッス」
「次は駄猫の番です~」
「む~、こういうの苦手ニャ。いつも外れを引くニャ」
やはり、その言葉がフラグとなった。
「1番ニャ」
イータが嫌そうな顔をする。
「ということで、私は3番です~。ラストです~」
エムピーが二人を見て告げる。
「では、トップバッターは駄猫です~」
「エムピー、その呼び方止めるニャ。イータはイータニャ」
「どうでも良いこと言ってないで、早くラーシェスさんの良いところを言うです~」
「オーナーの良いところは…………とっても……優しいところ……ニャ」
言葉と裏腹に、イータの声は震えている。
主の調教――もとい、躾が、しっかりと行き届いているようだ。
「それは本音ですか~?」
「…………ニャ」
「本音を言うッス」
「………………」
言葉を失ったイータだったが、二人にジッと見つめられて、重々しい口を開いた。
「オーナーは怒らせると怖いニャ」
「ちゃんと言えて偉いです~」
「良く言ったッス!」
「でっ、でも、それだけじゃないニャ」
イータは慌てて首を振る。
もし、この言葉がラーシェスに届いたら、どうなることか……。
「お仕置きの後には、ちゃんと可愛がってくれるニャ。とっても優しいニャ」
飴と鞭――ふたつの使い分けで、イータはバッチリ調教されていた。
「イータはちゃんと答えたニャ。次はアンガーニャ」
「おう、姐御の良いところは――」
「ストップ、ストップ、ストップです~」
口を開きかけたアンガーをエムピーが止める。
「どうしたッス? おいらの番ッスよ」
「ただ、自分のあるじの良いところを言うだけじゃつまらないです~」
「どういうことッス?」
「意味を説明するニャ」
「自分以外のあるじの良いところも言うです~」
エムピーの提案に、ふたりは躊躇う。
「他人のあるじのことは難しいッス」
「そうニャ」
「その気持ちは分かるです~。でも、こっちの方が面白いです~」
エムピーはニコニコと笑みを浮かべる。
「というわけで、次はアンガーがラーシェスさんの良いところを言うです~」
「分かったッス」
アンガーはしばし、考え込む。
サポート妖精にとっては、自分のあるじが至上。
他人のあるじのことを、深く考えたことなどなかった。
それでも、アンガーは思いついた言葉を述べる。
「ラーシェスの姐御の良いところは、笑っていても、目の奥が笑っていないところッス」
「それは悪口ニャ」
「違うッス。あの冷酷で容赦無用な目にゾクゾクするッス!」
「おまえ、もしかして、そういう性癖ニャ? だったら、変わってやるニャ」
「無理ッス。確かにラーシェスの姐御もビッとしてるッス。でも、おいらには姐御しかいないッス」
「は~い、ストップです~」
このままでは言い合いが始まりそうだったので、エムピーがそれを制する。
「私の番です~。ラーシェスさんは優良債務者です~。特に、【
恍惚とした表情で告げるエムピーに二人は引き気味だ。
「では、続いて、アンガーの番です~。リンカさんの良いところを言うです~」
◇◆◇◆◇◆◇
【後書き】
次回――『SS第一回『あるじのここが好き』選手権(下)』
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