第179話 リンカ・ラーシェスと成果報告(3)
食事がひと段落し、酒をチビチビと飲んでいるところ。
三妖精はすでに眠ってしまっている。
エムピーの満足そうな顔を見ていると、リンカが問いかけてきた。
「修業の成果はどうでした?」
俺は残っていたエールを飲み干し、お代わりを注文する。
それから、リンカに答える。
「なんとか予定通りに終えることができたよ。新しい魔法も買ったし、一週間でそれなりに使いこなせるようになったよ」
「どんな魔法なんですか?」
「ボクも気になる」
「こんな感じだよ」
俺はステータスを二人に見せる。
「いっぱい増えてますね。聞いたことない魔法もありますね」
「わあ、すご。いいな魔力でスキルが買えるの」
二人とも使えるスキルはギフト由来のもの。
リンカはふたつ、ラーシェスはみっつ。
数は少ないがユニークでどれも強力なスキルだ。
「俺はユニークな戦闘スキルがないからね。二人が羨ましいよ」
その点、俺はギフト由来の戦闘スキルはゼロ。
魔力を運用して、購入するしかない。
「それはともかく、修業でもうひとつ得たものがある――」
俺は二人にシャノンズロッドを見せる。
「わっ、凄いです!」
「格好いい……」
「どうしたんですか?」
二人とも驚いた顔をする。
それもそのはず、この杖は細かい意匠がなされている。
二人とも魔法の杖には詳しくないが、ひと目で良さが分かる杖だ。
たった一週間で作ったとは思えないほどの美しさだ。
「シャノンさんに貰ったんだ。合格祝いだってね」
「よく似合ってます」
「よく分からんないけど、強そうだね」
「シャノンさんの手作りだからね」
「えええ、手作りですか⁉」
「シャノンさんは杖まで作れるし、本物の天才だよ」
「格好いいです」
「へええ」
「ところで、ナミリアさんからはなにか貰ったんですか?」
「うん、まあ……」
正直には言えず、お茶を濁すしかない。
俺は話題を変える。
「そっちはどこまで進めたの?」
「はい、『流星群』の皆様に鍛えてもらって成長しました」
「厳しかったけど、その分強くなったよ! ボクのステータス見て!」
ラーシェスは嬉しそうにステータスを開く――。
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名前:ラーシェス
年齢:15
性別:女
ギフト:【
MP :145/145→222/222
WMP(153)
冒険者ランク:D→C
パーティー:
スキル:
【
モンスターの死体から魔力を吸収する。
【
魔力を使用した攻撃。相手に武器を突き立てたまま魔力を注ぎ込むほど強力になる。
【
WMPを消費する白い光の回復魔法。
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魔力、冒険者ランクともに上昇している。
今の俺の冒険者ランクはBだけど、この調子だと、追いつかれるのも時間の問題だろう。
ラーシェスには彼女のギフト【
現在、WMPを消費して使えるスキルは【
彼女の戦闘スタイルは敵から魔力を奪ってWMPに変換し、それで味方を回復させるもの。
なので、回復は彼女に任せ、俺は【回復魔法】を伸ばすのは後回しにしている。
これなら、ラーシェスも明日は大丈夫かな。
フラニスの試練で最初に告げられた言葉を思い出す。
――ウィラードの血を継ぐ者よ。ここは試練の間。ウィラードの力を継承するに相応しいかどうか、其方には試練を与える。其方と仲間の力を我に示して見せよ。
きっと、俺が「魔の試練」を乗り越えた後、ラーシェス向けの試練があるのだろう。
彼女の唯一の攻撃手段は【
相手に武器を突き立てたまま魔力を注ぎ込むほど強力になるスキルだ。
魔力が多ければ多いほど、効果を発揮する。
単純に魔力が増えるだけで、強くなる。
それだけでなく――。
「手応えはどう?」
「だいぶ上手くなったよ。手応えが変わった」
このスキルも無属性魔法と同様に、術者の能力に依存する。
彼女の場合、その
「リンカからみて、どう思う?」
「一週間前とは見違えるほどです。ラーシェスはとっても頑張りました」
「よく頑張ったね」
「ボク、頑張ったでしょ!」
「ああ、急成長だ」
「ご褒美ちょうだい」
「ああ、いいよ」
◇◆◇◆◇◆◇
【後書き】
次回――『リンカ・ラーシェスと成果報告(4)』
飯島しんごう先生によるコミカライズ2巻、2月9日発売です!
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