第172話 レントの新魔法(6)
【前書き】
第9章完結まで毎日投稿します!
◇◆◇◆◇◆◇
「ということで、どのスキルを購入するか決めるの」
「お願いします」
「決めるのはレンレンなの。私はアドバイスするだけなの」
「そうですね」
「それに私だけでなく、ナミリアの意見も参考にした方が良いの。付与魔法は彼女の方が詳しいの」
「付与魔法なら任せてちょうだい」
「エルティアは……」
名を呼ばれた本人は期待の眼差しを向けるが――。
「チョコあげるの。美味しいの。全部、食べて良いの」
「わーい、やったー」
山盛りのチョコを渡され、会話の輪からフェードアウト。
結構な量だから、しばらくはジャマされないだろう。
「レベル4は高すぎなの。レベル3までの組み合わせでいくの」
「シャノンちゃんは考えがありそうね」
ナミリアさんの言葉にシャノンさんが頷く。
「まずはレンレンの希望を聞くの。どんなスタイルがいいの?」
「基本は今まで通り、攻撃はリンカとラーシェスの二人に任せ、俺は魔法で敵を攪乱する役割です」
「でも、それだと対処できない場合があるの」
「シャノンさんの言う通りです。今まではそれほど強いモンスターと戦ってこなかったからなんとかなったのですが――物理攻撃が効かないモンスター相手にはどうしようもないんです」
俺とリンカが潜ったのはメルバ大迷宮第4階層までだ。
そこまででも、物理攻撃が効きづらいモンスターは出現するが、リンカの火力で押し切れるレベルだ。
たが、この先には物理攻撃が一切効かないモンスターとも戦うことがある。
そうなったら、お手上げだ。俺が強力な攻撃魔法を覚える必要がある。
「手近なところで、ふたつ目的があります」
「ひとつはフラニスの試練を突破することです」
「もうひとつはメルバ大迷宮第5階層で戦えるようになることです」
俺が望みを伝えると、シャノンさんは考えるように黙り込んだ。
それからしばらくして、口を開く。
「確認したいことが二点あるの」
「はい、なんでしょう?」
「フラニスの試練がどうだったか、詳しく教えて欲しいの」
「最初の試練は赤い壁で『武の力を示せ』と言われました。リンカの物理攻撃でクリアできたのですが、多分、一撃の威力が試されるんだと思います」
「次の試練はどうなの?」
「青い壁が現れ、『魔の力を示せ』と言われました」
「それで、どうしたの?」
「まずはファイアボールを連発したのですが、まったく手応えがなかったです」
「それで、【火魔法】LV3を購入したの?」
「そうです。それでファイアトルネードで同じようにしたのですが――」
俺は首を横に振る。
火魔法LV3で使えるファイアトルネード。その威力はファイアボールとは桁違いだ。
それでも、壁にはダメージを与えられなかった。
「その話だと、一撃の威力が必要っていうレンレンの言葉がもっともらしいの。それで、もうひとつ質問なの。レンレンが購入できる魔法スキルの一覧をもう一度じっくり見せて欲しいの」
シャノンさんに尋ねられ、一覧を見せる。
彼女は見落とすまいと慎重にリストを確認していく。
「分かったの。ここに載っていない魔法がいくつかあるの」
「本当ですか⁉」
確かに、俺はすべての魔法を知っているわけではない。
だけど、エムピーは言っていた。
――人間が取得可能なスキルであれば、どんなものでも理論上は購入可能です〜。
そして、こうとも。
――実際には購入するための魔力が高すぎて、入手困難なものもあります~。
「もしかして、習得に条件が必要なスキルがあるってことですか?」
「そうなの」
シャノンさんは俺の言葉を肯定する。
「問題はそのスキルの値段次第なの。もし、それが買えれば、レンレンの悩みは解決なの」
◇◆◇◆◇◆◇
【後書き】
次回――『レントの新魔法(7)』
飯島しんごう先生によるコミカライズ2巻、2月9日発売です!
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