第170話 レントの新魔法(4)
「そろそろ、始めるの」
「そうね、ちょっと悪ふざけが過ぎたわね」
「そうだな、私としたことが浮かれてたようだ。済まない」
三人のじゃれ合いもひと段落して、ようやく始められる。
「じゃあ、私が仕切るの」
「そうね。シャノンちゃんが適任だわ」
「ナミリアさんはそれでいいんですか?」
「ええ、この子は凄いのよ。シャノンちゃんより真剣に魔法の勉強に取り組んでいる人はいないわ。じゃないと、あの魔法は覚えられないもの」
あの魔法とは、シャノンさんの得意魔法のことだ。
様々な魔法に精通していないと使えないと言われていて、使い手は極端に少ない。
確かに、シャノンさんはいつも魔術書を読んでいる印象がある。
ナミリアさんが認めるほどだ。余程の研鑽を詰んできたのだろう。
「いや、ここは私が精霊魔法の凄さを教えて――」
「うん、黙ってようね。ほら、アイスあげるわ」
ナミリアさんはフルーツジュースを取り出し、氷属性を付与させる。
あっという間にフルーツアイスの完成だ。
「わーい」
エルティアは子どものように目を輝かせ、夢中でアイスを食べ始めた。
これで余計なジャマが入らず、話がすんなり進む。
「まずは、レンレンの持っているスキルを確認するの」
「はい。これです」
二人にステータスを見せる。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
【魔力操作】Lv1
【火魔法】Lv3
【水魔法】Lv1
【風魔法】Lv1
【土魔法】Lv1
【光魔法】Lv1
【闇魔法】Lv1
【回復魔法】Lv1
【付与魔法】Lv1
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
これが今、俺が持っている魔法系スキルだ。
【魔力操作】は魔法の威力が増し、消費MPが減るスキル。
使えば使うほど熟練度が上がり、その効果は上昇する。
ファイアボール連打によって、熟練度はかなり上昇し、元の威力の2割増し、消費MPは2割減だ。
「そこまで上がっているなら、頭打ちなの」
「そうなんですね」
たしかに、この短期間で、普通の冒険者の1,2年分くらい魔法を使ったからな。
「全属性を覚えてるの。すごいの」
「普通じゃ考えられないわね」
「やっぱり、そうですよね。ギフトでズルしたようなものですけど」
スキルは覚えようと思って簡単に覚えられるものではない。
その仕組みは分からず、創世神次第だとも言われている。
俺は【魔力運用】で増やした魔力で購入しただけ。インチキみたいなものだ。
「でも、それを言ったらシャノンさんこそ」
「この子は自力で習得したのよ。信じられないわ」
「ナミリアさんから見ても、信じられないほどなんですね」
「ええ。ただ努力しただけじゃだめだわ。魔法の術理を理解するだけの賢さがなきゃダメ。私じゃ無理だわ」
「でも、ナミリアも凄いの。彼女ほど努力した魔法使いを知らないの」
「まあ、それしか取り柄がなかったからね」
二人ともトップクラスの魔法使いだが、その高みへ至ったルートは異なる。
シャノンさんは、賢い頭脳と勉学によって。
ナミリアさんは、計り知れぬ努力によって。
そして、ここにいるもう一人は――。
「悔しいけど、アレは天才」
「誰よりも精霊に愛されてるの」
「ん?」
二人に視線を向けられ、エルティアはアイスから顔をあげる。
「そうだ。私は天才なのだ!」
娘のプレスティトの言葉を思い出す。
――精霊には好かれているんですよね。精霊にとってはできの悪い子どもみたいなもので、温かく見守る母のような気持ちなんでしょう。
精霊魔法に関して、彼女は天才だ。
ただ、それ以外の全てはポンコツ。
努力家のナミリアさんにとっては思うところがあるのだろう。
シャノンさんはあまり気にしていないようだけど。
二人の視線に満足したのか、エルティアは「うんうん」と頷きアイスへと戻っていった。
「話を進めるの。レンレンは魔力でスキルを買えるの」
「はい」
「今の魔力はどれくらい貯まっているの?」
「そうですね――」
◇◆◇◆◇◆◇
【後書き】
次回――『レントの新魔法(5)』
楽しんでいただけましたら、フォロー、★評価お願いしますm(_ _)m
本作品を一人でも多くの方に読んで頂きたいですので、ご協力いただければ幸いですm(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます