第136話 狩りに向かう道中

【前書き】


しばらく毎日18:30更新します。

後書きに告知あります。


   ◇◆◇◆◇◆◇


 武器屋を後にした俺たちは、試し狩りのために街を出た。


「さて、これから向かう場所だけど、予想つくかな?」

「私はウィラード伯爵領は初めてなので」

「ボク、分かるよ。南門からっていうと、あそこだよね?」

「やっぱり、ラーシェスは分かるよね。そう、ここの名物と言えば」

「ボルテンダール墳墓!」

「正解!」

「なんか、怖そうな名前です」

「といっても、墓には入らないで、周辺だけどね」

「でも、あそこは……」

「不人気だよね」

「そうなんですか?」

「ああ、あそこはまったく旨みがないからね」

「うん。冒険者もまったく寄りつかないよ」

「では、なんでそんな場所に?」

「行けば分かるさ」


 俺たち三人は南に向かう街道を進んで行く。

 サポート妖精たちはと言えば。


 エムピーは俺の周りを浮かれ調子で飛び回り、「るんるんる~ん。取り立て取り立て、うれしいな~」とカワイイ顔で物騒な歌を歌ってる。


 アンガーはリンカの肩に仁王立ち。腕を組み鋭い目つきで前を睨んでる。俺たち以外には見えないんだけど、なんかしらこだわりがあるんだろう。


 そして、イータは借りてきた猫そのままで、ラーシェスの腕に抱かれている。ちょっと震えているようにも見えるが、気のせいだといいな。


「歩きながら、三人のステータスを確認しておこう」

「二人とも強いんだろうな~」

「私はレントほどじゃないです」

「俺は魔力でスキル買えるからね」

「なにそれ! 反則じゃん!」

「そういうギフトだからね。でも、ラーシェスもリンカもSSSギフトを使えるようになったばかり。これからいくらでも強くなれるよ」

「そっか!」「そうですね」

「じゃあ、まずは俺のステータスだ。リンカは知ってると思うけど」


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名前:レント

年齢:19

性別:男


ギフト:無限の魔蔵庫(SSS)

MP   :  9,999/9,999

【魔蔵庫】:104,695/∞

冒険者ランク:C

パーティー:二重逸脱トゥワイス・エクセプショナル


スキル:

 【身体強化LV1】、【気力強化LV1】、【気配察知LV1】、 【気配遮断LV1】

【魔力操作LV1】

【短剣術LV1】

【火魔法LV1】、【風魔法LV1】、【水魔法LV1】、【土魔法LV1】、【回復魔法LV1】、【付与魔法LV1】

【毒耐性LV1】


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「うわ、すごっ、普通は多くても5、6個だよね」

「そうだな」


 Aランク『流星群』のロジャーさんたちはそれ以上だが、彼らは例外中の例外だ。


「短剣スキルもあるし、魔法も多属性使える」

「オールラウンダーを目指してたんだけど、この先はどうも厳しいんだ」

「どういうこと?」

「強いモンスター、たとえば、ハイオークなんかにはレベル1スキルだと通用しないんだ」


 この前の馬車での戦闘で判明したことだ。

 今後、大迷宮の第五回層に挑むには、さらなるスキルが必要になる。


「ハイオークとか、今のボクじゃ想像もつかないよ」

「なに、ラーシェスすぐに戦えるようになるさ」

「そうかなあ」

「ああ、リンカのステータスも見てみよう」


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名前:リンカ

年齢:18

性別:女


ギフト:阿修羅道(SSS)

MP :208/208


冒険者ランク:D

パーティー:二重逸脱トゥワイス・エクセプショナル


スキル:

【壱之太刀】身体能力を爆発的に高める

【弐之太刀】居合い斬り


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「剣士って感じだ。リンカのイメージ通りだね」

「私のギフトだと、このスタイルしかないんです」


 ハカマとキモノ姿。腰にはゴツい死骨剣。

 彼女は普段はおっとりしているが、いざ戦闘になったら豹変する。


 【壱之太刀】で強化した身体で、戦場を暴れ回る。

 最近覚えた【弐之太刀】はハイオークすら一撃で葬る。

 【壱之太刀】で雑魚モンスターを乱獲し、【弐之太刀】で強敵を一撃。

 どちらにも対応できる。


「最後はラーシェスね」

「二人のを見た後だと、気が引けるよ」


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名前:ラーシェス

年齢:15

性別:女


ギフト:【御魂喰いみたまぐい】(SSS)

MP :12/12 WHM(98)


冒険者ランク:E

パーティー:二重逸脱トゥワイス・エクセプショナル


スキル:

屍肉喰コープス・カニバル】モンスターの死体から魔力を吸収する。


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「うう~、恥ずかしい」


 ラーシェスは抱えてるイータで赤くなった顔を隠す。

 彼女のステータス、はっきり言って弱い。

 MPも低く、戦闘用のスキルはゼロ。

 彼女固有のWMP《白魔力》も今は使い道が不明。


「平気ですよ。私も二週間前はこれくらいでした。MPは10でしたよ」

「えええっ。ホント?」

「ゴブリン相手に苦戦してました」

「信じらんない!」

「大丈夫。俺が育てる。それが俺の【無限の魔蔵庫】の役目だ」

「はいっ。レントに任せれば、すぐに強くなれますよ」

「ほんと?」


 まだ完全には信じられないようだが、実例であるリンカを見て、ラーシェスは小さく頷いた。


「ああ、後はラーシェスに戦う覚悟があるかどうかだよ」

「それなら、バッチリ! 血統斧レイン・イン・ブラッドでギッタギタだよ」


 彼女が禍々しい斧の柄を握る。

 その瞳には妖しい光が宿っていた。


「ただ、SSSギフトは便利なだけじゃない。それを忘れないでね」

「うん。ボクも気をつけるよ。大丈夫だよね~、イータ?」

「ヒッ……」


 笑顔を向けられただけなのに、イータはエムピーとアンガーの後ろに隠れ震えている。

 よっぽどさっき調教――もとい、躾けが効いたようだ。

 「駄猫は根性無しですー」「ビシッと気合い入れろや」と二人からツッコみが入る。


 ラーシェスにはSSSギフトの怖さは伝えてあるし、最初に過酷な思いをした。

 それにもし、内なる獣に呑まれそうになっても、俺とリンカがいる。

 絶対に彼女を喰わせたりはしない――。


「あっ、見えてきました。すごい。広いっ」

「ああ、ここが今日の目的地だ」


 広がる光景に、リンカは瞳を大きくして、見入っていた――。






   ◇◆◇◆◇◆◇


【後書き】



次回――『サンドゴーレム狩り(1)』

【マンガ版連載スタート】

4月26日(水)より、飯島しんごう先生によるマンガ版の連載が始まります。

コミックアーク他、各種電子書籍サイトで配信されます。

是非、お楽しみください!

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