第61話 決闘(3/4)

本日は2話更新です。

   ◇◆◇◆◇◆◇


「オマエたちの攻撃で俺を傷つけることはできない」


 ガイは力なく膝をつく。

 ようやく、勝ち目がないことを悟ったのだろう。


「わかったか、オマエたちではどうあがいたって、俺に勝つことはできないんだよっ!」

「そっ、そんな……」

「もう、終わりにするぞ」


 ガイの眼に絶望が浮かぶが、俺の知ったことではない。

 一方的に終わりを告げ――。


「――ファイアボール」

「――ファイアボール」

「――ファイアボール」


「無様だな。それがオマエ本来の実力だ」


「――ファイアボール」

「――ファイアボール」

「――ファイアボール」


「スキルを使えないオマエたちなんて、こんなもんなんだよ」


「――ファイアボール」

「――ファイアボール」

「――ファイアボール」


「オマエらが活躍できたのは、全部、俺のおかげだ。俺の魔力があったからなんだよっ」


「――ファイアボール」

「――ファイアボール」

「――ファイアボール」


「その恩も忘れて、返すものも返さないで追放しやがって」


「――ファイアボール」

「――ファイアボール」

「――ファイアボール」


「オマエらから受けた侮辱は絶対に忘れない」


「――ファイアボール」

「――ファイアボール」

「――ファイアボール」


 ――今までパーティーに置いていただいて、ありがとうございます。役立たずの無能で、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。


 土下座させられて、こんな屈辱的なセリフを言わされた。


「――ファイアボール」

「――ファイアボール」

「――ファイアボール」


「死ぬ直前まで追い込んで、擦り切れるまで取り立ててやるからな」


「――ファイアボール」

「――ファイアボール」

「――ファイアボール」


 火球を浴び続け、ついに、こんがりとローストされたガイは地に倒れた。


『マスター、ストップです〜。これ以上は死んじゃいますです〜』


 まだまだ物足りないが、ここは我慢だ。

 殺したら、取り立てできないからな。


「まだ足らないな……」


 さて、残りは二人だ。


「「ひっ……」」


 俺が歩み寄ると、ミサとエルはすくみ上がる。

 心の底から怯えきっているようで、戦意の欠片も感じられない。

 それどころか――。


「ごっ、ごめんなさい。レッ、レント、許して。わっ、私はっ、悪くないのよっ。全部、ガイが無理矢理――」

「そっ、そうですー。悪いのは全部ガイなんですー」


 必死になって命乞いを始める次第だ。

 しかも、責任をガイになすりつけて、自分は悪くないと。

 救いようがないな。


「私は本当はガイよりもレントさんの方が好きだったんですー。でも、レントさんはミサと婚約していたから、だから、仕方なくガイとつき合っていたんですー。どうか、レントさんの女にしてくださいー」

「いや、お前、ガイと一緒になって、俺のこと散々、バカにしてたじゃねえか」

「そっ、それはー……」


 ――ガンッ!!!


 握りこぶしをフルスイング。


『死んでないよな?』

『大丈夫です〜』


 力加減が分からず、やり過ぎたかと思ったけど、死んでなくて一安心。

 エルからもまだ取り立てなきゃならないからな。

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