第40話 新パーティー結成
――翌朝、待ち合わせ場所の冒険者ギルド前でリンカと落ち合う。
「おはようございますっ!」
「おはよう」
リンカは吹っ切れたようで、爽やかな笑顔だった。
俺より頭ひとつ低い小柄な彼女は、スカイブルーの髪を後ろでひと括りにしている。
そして、ボロボロだった革鎧は、昨日俺が渡した「
修理液は損傷した武器・防具に塗り込むと、傷のない状態に戻せるマジックアイテムだ。
真っ二つになっていたりしない限りはこれで直せる。
なので、残念ながら、折れてしまったリンカの剣は修理液では直せない。
そこまで高価なものではないが、なかなか受け取ろうとしないリンカを納得させるのにはひと苦労だった。
「じゃあ、さっさと済ませちゃおう」
「はいっ!」
俺たちが冒険者ギルドを訪れたのは、パーティー結成の届け出のためだ。
一度結成したパーティーがメンバー変更する際には必要ないのだが、最初の立ち上げ時だけはギルドで手続きをしなければならない。
カウンターに向かい、その旨を受付嬢に伝える。
「――『
――『
これが俺とリンカのパーティー名だ。
考え出したのは俺。
リンカも賛同してくれた。
俺とリンカは二つの意味で例外的だ。
まず、「ユニークギフト持ち」という例外。
ユニークギフトは極めてレアだ。
千人に一人とも、万人に一人とも言われている。
そして、俺もリンカも「ユニークギフト持ち」の中でも例外。
通常、ユニークギフトは持ち手に多大な恩恵をもたらす。
実際、多くのユニークギフト持ちが冒険者として大成している。
だが、俺たちはギフトに縛られ、苦しめられてきた。
そんな俺たちのような二重逸脱者でも活躍できる――との思いを込めてのネーミングだ。
登録が完了し、受付嬢から冒険者タグを返してもらう。
その瞬間、脳内にステータスのアナウンスが流れる――。
〈二つ目のパーティーに加入しました!〉
〈スキル成長条件を満たしました!〉
〈【魔力貸与】がレベル1からレベル2に成長しました!〉
「おっ!」
「どうしました?」
「スキルが成長したみたい」
リンカの問いに答えながら、俺はステータスを開く。
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名前:レント
年齢:19
性別:男
ギフト:無限の魔蔵庫(SSS)
MP : 1,000/4,712
【魔蔵庫】:96,599/∞
冒険者ランク:D
パーティー:
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ちゃんとパーティ登録されている。
そして、魔力貸与は――。
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【魔力貸与】
LV1:パーティーメンバーに魔力貸与可能。
LV2:
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『スキルのレベルアップおめでとうございますです〜』
おとなしくしていたエムピーが脳内に語りかけてくる。
『どういう機能なの?』
『債務者のMPが設定値以下になったら、自動的に魔力が貸与されるシステムです〜』
『ということは……』
『はいです〜。戦闘中にいちいち仲間の魔力を確認する必要がなくなるです〜』
『おお、それは便利だ』
『断空の剣』にいた頃は、三人のスキルの消費MPを把握し、適切なタイミングで魔力供給するようにしていたが、めまぐるしい戦闘中にそれを行うのは中々に骨が折れた。
あの苦労から解放されるのは、とってもありがたい。
『オートチャージの副次的効果として、債務者の魔力量をリアルタイムでモニター出来るようになりました〜』
『なるほど』
試しに、『債務者の魔力が知りたい』と念じてみると、脳内にデータが浮かぶ。
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【債務者魔力現況】
『断空の剣』
・ガイ 0/1,171
・ミサ 0/1,189
・エル 0/1,185
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うわ〜、見事に空っぽだ。
回復する端から、返済に当てられているからだけど、数字で見るとその悲惨さが実感できる。
まあ、自業自得なので、心はちっとも痛まない。
「どうでした?」
リンカには俺が黙って考え込んでいるように見えたのだろう。
もしかすると、俺のにやけ顔もバレていたかもしれない。
「ああ、これでリンカのサポートが万全になったよ」
「それは良かったです。サポートお願いします」
リンカがぺこりと頭を下げると、空色のポニーテールが軽く揺れた。
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