第24話 ゴブリン戦リザルト(下)

 俺に魔力を分けてもらえないか、とエムピーが頼み込んできた。

 俺としてはもちろんオーケーだ。

 だが、その前に、今の魔力事情を確認しよう。


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名前:レント

年齢:19

性別:男


ギフト:無限の魔蔵庫(SSS)

MP      :   100/4,712

【無限の魔蔵庫】:17,493/∞【魔蔵庫】

冒険者ランク:D

パーティー:――


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 ゴブリンを狩りまくったおかげで、最大MPは2増えた。

 今の俺の最大量からしたら誤差みたいなものだが、五年間冒険者をやってきて増えたのが1,000ちょっとである事を考えると一日で2増えたのは破格と言える。

 エムピーも「小さな魔力でも、長期運用すると何十倍、何百倍にもなるのでバカにならないですよ〜」と言っていた。


 そして、魔力は100MPを残して、魔蔵庫に貯めるようにしている。

 今のところ戦力は十分なので、目的のスキルを買うため貯蓄に回しているのだ。


「それで、どれくらい欲しいの? 俺はいくらでも構わないよ」

「その言葉だけで昇天しそうです〜!!!」

「昇天されたら、困るんだけど」

「あはっ、そうですね! では、お言葉に甘えて、100MPほどいただけますか?」

「それだけでいいの?」

「はいですっ! あまり頂きすぎると、計画に支障が出ますので〜」

「ああ、そうだったね」


 次に購入予定のスキルは、『断空の剣』対策用のスキルだ。

 このスキルが15万MP必要。

 今はそのために魔力を貯めている段階だ。


「現時点では、魔力をまったく消費せず全てを貯蓄すれば、一日で34,110MPも貯められます〜。このままですと、例のスキルは五日後に入手可能です〜」

「そっか、五日後か。思ってたより早かったな」


 15万MP。

 エムピーと出会ったときの俺の最大魔力が1,210だった。

 最初に聞いたときはいつになるやらと思ったのだが、この短期間でこれだけ稼ぎ出せるとは、魔力運用恐るべし!


「あっ、だから、拠点情報を公開したのか」

「はいですっ!」


 俺たちが元いた街からこのメルバまで、高速馬車でも一週間。

 ヤツらの到着前には、目的のスキル購入が間に合う。


「あのクソッタレ債務者ども、早速こっちに向かって出発したみたいですよ〜」


 可愛い顔して下品な言葉遣いのエムピー。

 なんでも、「悪質な債務者に人権はない」んだって……。


「そんな事まで分かるのか……」

「はいですっ! 債務者の情報はすべて網羅! 地の果てまでも、取り立てですっ!」


 取り立ての話をしているときが、一番生き生きしてる気がする……。

 まあ、ギフト妖精というのは、そういう生き物なんだろう。


「でも、本当に大丈夫なの?」

「はいですっ! 例のスキルさえあれば、便所コオロギどもがなにを企もうと、すべて無駄無駄無駄ぁ〜です〜!」


 自信満々なエムピーの言葉を、俺は信じる。


「そのときが下痢便野郎どもにとって最後のチャンスです〜。そこで心を入れ替えないと、本当の地獄が待ってるんです〜」

「本当の地獄……」


 ヤツらすでに毎日、からけつになるほど魔力を吸い取られている。

 それ以上の地獄があるんだろうか……。

 エムピーが浮かべる笑顔に背筋が凍りつくほどゾッとした――。




   ◇◆◇◆◇◆◇


【後書き】

 債務者以外には優しい子なんですよ……。


 次回――『エムピーへのご褒美』


 魔力あげちゃいます。

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