第14話 スキル購入

〈【魔力運用】で累計350,000MPが消費されました!〉


〈スキル成長条件を満たしました!〉


〈【魔力運用】がレベル2から3に成長しました!〉


〈【スキル購入】が使用可能になりました!〉


 慌ててステータスを確認すると――。


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【魔力運用】


 【概要】魔力を運用して、様々なことが出来る。


 LV1:最大魔力量増加

 LV2:魔力出納

 LV3:スキル購入(NEW!)


 ・取得条件:【魔力運用】で累計350,000MP消費する。

 ・効果:本人または魔蔵庫の魔力を消費し、スキルを購入できる。


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 スキルはギフトを鍛えることによって習得するもの。

 それ以外の方法はない。


 ――それが常識だ。


「ええええええっ!!!!!」


 常識を覆す事態に俺は思わず大声を上げてしまった。

 同乗者たちが不機嫌そうに俺を見る。

 「また、コイツか」と咎める視線も含まれていた。


「あっ、すみません」


 俺が頭を下げると、興味を失った乗客たちは俺から視線を外す。

 俺は周囲の迷惑にならないように、小声でエムピーに話しかける。


「これ、ほんと?」

「はいです〜。ようやく、マスターを強化できるようになりました〜」


 その言葉にワクワクと胸が踊る。


「では、さっそく見てみましょ〜!!」

「うんっ!」


 ステータスの【魔力運用】をポチってみる。

 途端、視界が情報で埋め尽くされた――。


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【購入可能スキル一覧】


【身体強化(LV1)】、【気力強化(LV1)】、【気配感知(LV1)】、【罠感知(LV1)】、【魔力感知(LV1)】、【気配遮断(LV1)】、【魔力遮断(LV1)】、【ステータス遮断(LV1)】、【体術(LV1)】、【短剣術(LV1)】、【剣術(LV1)】、【大剣術(LV1)】、【双剣術(LV1)】、【刀術(LV1)】、【斧術(LV1)】、【槍術(LV1)】、【棒術(LV1)】、【槌術(LV1)】、【投擲(LV1)】、【弓術(LV1)】、【盾術(LV1)】、【火魔法(LV1)】、【水魔法(LV1)】、【風魔法(LV1)】、【土魔法(LV――――――――


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「うわっ!」


 おびただしい量のスキル名。

 ありとあらゆるスキルが並んでいた。

 情報の洪水に耐え切れず、「ストップ!」と念じると一覧は途中で停止した。


「なっ、なんだっ、これっ!」

「人間が取得可能なスキルであれば、どんなものでも理論上は購入可能です〜。とは言っても、実際には購入するための魔力が高すぎて、入手困難なものもあります〜」

「これだけ並べられても、選びきれないよ」

「試しにどれか選んでみましょ〜」

「ああ」


 本来、天から授かるものであるスキル。

 自分が望むスキルが与えられるとは限らない。


 なのに――俺は選びたい放題。

 あらためて《無限の魔蔵庫》の凄さに感じ入る。

 ドキドキしながら、リストの一番最初にあるスキルを選んでみる。


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【身体強化(LV1)】:5,000MP


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 五千……。

 多いのだろうか、少ないのだろうか。

 いまいち判断がつかないが、今の俺の最大魔力は5,000近い。

 俺の魔力は1時間に2割回復するので、5時間待てば買える計算だ。

 今は魔力が回復次第に最大魔力量を増やすために使っているので、魔力はほぼ空っぽ状態。

 購入するためには夜まで待たなければならない。


「焦る必要はないですよ〜。スキル購入には大量の魔力が必要です〜。なので最大魔力量はこれ以上増やさず、しばらく魔力の回復に努めましょう〜」

「ああ、そうするよ」


 今の魔力量だと、自然回復とヤツらからの返済を合わせて一日で34,000MPくらい使える計算だ。

 他のスキルも同じくらいの値段なら、毎日数個のスキルを習得できることになる。

 普通の冒険者のスキル所持数が4、5個であることを考えるとどれだけ破格か分かるだろう。


 夕方には、目的地であるメルバの街に着く。

 その頃には魔力も回復している。

 今から夜が待ち遠しくてしょうがない――。




   ◇◆◇◆◇◆◇


【後書き】

 だんだん、最強への道が見えてきました。


 次回――『メルバの街』


 まったり回です。

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