第10話 魔力運用

「はいっ! そのための新スキル【魔力運用】があるのですっ!」


 そういえば……。

 先ほどのステータスのアナウンスを思い出した。


〈スキル【魔力運用】を習得しました!〉


 どんな条件を満たしたのか知らないが、新しいスキルを覚えたようだ。

 《無限の魔蔵庫》に進化してから、驚くことばかりだ。


「【魔力運用】は名前の通り、魔力を運用してあんな事やこんな事ができるスキルです〜。まずはご確認あれ〜」


 言われた通り、ステータスで確認すると――。


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《無限の魔蔵庫》


【スキル】


 魔力貸与(LV1)

 強制徴収(LV1)

 魔力運用(LV1):魔力を運用できる(NEW!)


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 魔力運用?

 説明文を読んでもよく分からん……。


「これで俺は強くなれるの……?」


 半信半疑でエムピーに尋ねる。


「はい、その通りです〜。詳細をご覧ください〜」

「うん」


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【魔力運用】


 【概要】魔力を運用して、様々なことが出来る。


 LV1:最大魔力量増加(NEW!)


 ・取得条件:【強制徴収】を一度でも実行する。

 ・効果  :

   ・本人または魔蔵庫の魔力を消費し、最大魔力量を増やす。

   ・100MP消費で最大魔力量が1MP増える。


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 最大魔力量を増やせるスキルみたいだ。

 でも、魔力量が増えても、他人に貸せる量が増えるだけ。

 俺自身が強くなるわけではない。

 エムピーは「三週間後のマスターであれば、逆に返り討ち」と言っていたが……。


「今のマスターに出来るのは貸すことと、取り立てること。これだけではマスターは強くなれないです〜。ですが――」


 エムピーは説明を続ける。


「魔力は寝かせていても何も変わりません。適切に運用してナンボです〜。魔力を運用することによって、マスターはいくらでも強くなれるのです〜」

「でも、最大魔力量が増えるだけだろ?」

「それは初めの一歩です〜。運用実績を積み重ねることによって、いろんな事が出来るようになるんです〜」


 少し考えたが、俺はエムピーを信用することにした。


「そうか。エムピーの言葉を信じるよ」

「ありがとうございますっ! これからもガンガン貸し付けて、ゴリゴリ徴収して、バリバリ運用していきましょ〜!!」


 エムピーは「おー!!」と握りしめた右手を高らかに挙げる。

 そして、その目には期待が込められている。


「おっ、おー」


 少し気恥ずかしかったが、期待に応えるため、俺も右手を挙げた。

 エムピーはそれに満足したようで――。


「じゃあ、さっそく、全部ぶっこんでみましょ〜!!」


 ステータスをいじり、魔力を流し込んだ。

 俺の最大魔力、そして、ガイたちから徴収した魔力。

 端数を残してそれらを全部消費する。

 魔力を急激に使ったせいで、頭がクラっとした。


 そして、その結果は――。


〈1,000MPを消費しました!〉


〈最大魔力量が10MP増加して、1,220になりました!〉


 俺にとって運命の転換点となった一日は、こうして過ぎていった――。




   ◇◆◇◆◇◆◇


【後書き】


 まさキチです。

 ここまでお読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m

 今回で第1章『追放、そして――』完結です。


 次話からは第2章『メルバの街』。

 別の街で再スタートです。


 ですが、その前に元パーティー『断空の剣』視点を2話はさみます。

 どんどん転落していきますよ。


   ◇◆◇◆◇◆◇


【ご注意下さい!】


事前に説明していないのに【リボ払い】で取り立てるのはズルい、と思うかもしれません。


しかし、現実にも【自動リボ払い】という、買い物すると全部自動でリボ払いになるという酷い制度があります。


なにが酷いって、巧妙に隠されていて、利用者が気付かないうちに【自動リボ払い】にされる事があるからです。


たとえば


・申し込み時、分かりづらいところに書かれていて、気付かないと勝手に【自動リボ払い】になっていたり。


・申し込み時、「ポイントがつくから【自動リボ払い】がオススメですよ」とよく説明されないまま設定されたり。


・ポイントキャンペーンの条件で、小さな文字で(応募すると【自動リボ払い】になります)って書かれていたり。


皆様もご注意下さい!


   ◇◆◇◆◇◆◇





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