145 エルフ・エレメンタリスト

「――待って。何か変」


 ルトワラさんの言葉に足を止める。

 ここまでの道中で、ルトワラさんの勘のよさはよくわかっていた。

 原理は不明だが、俺のスキルによる察知(今はクラスに統合されている)よりも早く敵の気配を察することがある。

 戦闘能力はもうひとつというところだが、Aランク冒険者としては中の下くらいはあるだろう。俺やメルヴィに比べるのが酷というものだ。


 さて、そのルトワラさんの言葉である。


「変、というのは?」


 俺が聞く。


「危険な気配ではないけど、異常はある、っていう感じね」


 その言葉を受けて、俺たちは慎重に進む。

 やがて、ルトワラさんの言っていたことがわかった。


炎サボテンフレイムカクタスだわ」


 切り立った崖の山道。崖に沿ってあちこちに赤い花をつけたサボテンが群生していた。


「……何か問題があるのか?」

「うーん……刺激しなければ問題はないはずよ。ただ、このあたりには普段フレイムカクタスはほとんどいないはずなのだけれど」


 フレイムカクタスは刺激すると炎の雨を降らせてくるのだという。

 珍しいものらしい。ステータスを見てみよう。


 フレイムカクタス(樹形)

 レベル 1

 HP 3/3

 MP 125/125


 アビリティ

 火炎放射 ★★☆☆☆(易燃性の樹液を吐き出し、着火する。)


 こいつは……魔物、なんだろうか?


「んー、【波動検知】で見る限り、悪いものではないみたいよ?」


 メルヴィが俺の内心の疑問に答えてくれる。

 【波動検知】というのは以前メルヴィが女神様からもらっていた、カースを検出するスキルのことだな。


「じゃあ、そっと通過しよう」


 俺の言葉にルトワラさんがうなずく。

 俺たちは脇に生えるフレイムカクタスを刺激しないよう山道を歩き始める。

 が、一歩を踏み出した途端、フレイムカクタスたちが一斉に動き出した・・・・・


「な、何よこれ!?」


 ルトワラさんが悲鳴を上げる。

 フレイムカクタスたちは、地面から繊毛のような根を引き抜いて、俺たちの周りを取り囲んだ。

 しかし、それ以上のことはしてこない。

 炎の雨を降らせるというから、俺は水の幕を張る魔法を準備していたのだが……。


「えっ? トゥシャーラヴァティちゃん?」


 メルヴィがつぶやく。


「どうしたの?」

「ええっと、トゥシャーラヴァティちゃんが出たいって」


 メルヴィはそう言いながら次元収納からトゥシャーラヴァティ――以前俺が贈った虹サボテンを取り出した。

 俊哉はこの十年でメルヴィにテレパシーのようなもので意思を伝えられるようになっている。……何を言ってるかわからないと思うが、実際にそうなのだからしょうがない。


 次元収納から現れた俊哉の姿は、以前と同じ、虹サボテンの鉢植えだ。

 が、その姿を見た?途端、俺たちを取り巻くフレイムカクタスたちが平伏した。

 ……いや、何を言ってるかわからないと思うが(以下略)


「な、何なのよ!」


 ルトワラさんが気味悪そうに叫ぶ。

 しかし、それに答えられる者はここにはいない。俺だって、この事態を説明できるものならしてほしい。


 俊哉は、フレイムカクタスたちに向かってくねくねと腕?を動かした。

 フレイムカクタスたちも、同様に腕を動かして俊哉に何かを伝えている。

 その言葉?を、俊哉がメルヴィに伝えている……らしい。


 しばらくして、メルヴィが言った。


「彼らによると、今火山は活発化していて、火属性の魔物とフレイムカクタスが元気になってるんだって」

「へえ」


 ……という意外になんと言えと?


「ただし、彼らは火山の活発化に異常なものを感じてるんだって。だから、危険から逃れるために集落を移動しようとしてる」

「……移動できるの、こいつら」


 いや、実際にしてたけど。


「普段はできないけど、危険な時は仲間内で話し合った上で移動するらしいわ」

「話し合うのかよ」

「危険がない時は休眠してるそうよ。危険が迫ると、『群れ』としての意識が生まれるんだって」

「謎の多い生き物だな……」


 俺は俊哉で免疫があるからいいが、ルトワラさんなんて固まってしまってるぞ。


「こいつらの生態はともかく、有益な情報ではあるか」


 死火山だと思われていた竜ヶ峰が活発化した。

 しかしこいつらは、そこに異常なものを感じているという。


「トゥシャーラヴァティ殿ならば大丈夫だと思うが、火口に近づくなら気をつけた方がいい……ですって」

「殿かよ。って、つっこみどころはそこじゃないな」


 俺は少し考えてから言う。


「他に、竜ヶ峰について知ってることはないか?」


 フレイムカクタスたちに向かって言った俺の言葉を、メルヴィが俊哉に伝え、俊哉がフレイムカクタスたちに伝える。その逆のルートを伝って返事が戻ってくる。


「えっ! 大変じゃない!」


 メルヴィが驚いた。


「どうしたの?」

「この先で、ドワーフたちが何者かに襲われてるって!」


 俺とルトワラさん(硬直から立ち直った)は思わず視線をかわしていた。



 ――馬車が襲われている。

 その状況を端的に表現すれば、そういうことになるだろう。

 しかし、


「……何だ、こりゃあ?」


 俺は思わず呻いていた。


 たしかに、馬車が襲われている。

 フレイムカクタスたちの情報通り、襲われているのはドワーフの集団だ。


 それだけなら、ファンタジーなこの世界ではむしろ妥当な光景だと言えるかもしれない。


 しかし、それ以外のすべての要素がおかしかった。


 ドワーフたちは重そうな鋼鉄の大盾を構えて密集陣形を組み、その陰からハンドキャノン・・・・・・・で敵を迎え撃っている。爆発音とともに鉄球が飛び、高山の灌木を打ち砕いていく。

 密集陣形の中央には、鋼鉄製の馬車が止まっている。馬車の側壁は天井上まで伸びていて、その裏にはボウガンを持ったドワーフが隠れているようだった。


 ドワーフによる重装砲兵団、とでも呼ぶべき集団だ。それだけでも驚くところだが、馬車の前方、馬の手前の御者台が、通常のものよりかなり大きい。しかもその下にはやはり鋼鉄製の車輪が見える。


「まさか……エンジンなのか?」


 馬もいるのは馬車に偽装しているのか、それともエンジンだけでは出力が足りないのか。

 鉄の塊のような馬車を通常の馬だけで牽くのはキツいだろうから、補助的な動力がないとむしろおかしいかもしれない。


 が、悠長にエンジンらしきものを観察している余裕はない。


 この半近代的なドワーフ軍団を相手取って、その敵は拮抗状態を作り出している。

 敵の正体は、


「エルフ!?」


 ルトワラさんが抑えた声で驚いた。

 そう。ドワーフの重装砲兵団を襲撃しているのは緑の布をまとったエルフの集団だ。


「相当に練度が高いわね……いったいどこの勢力よ?」


 メルヴィがつぶやく通り、エルフたちの練度は高い。

 ドワーフの砲撃を見切ってかわす。まばらな岩や灌木の陰から陰へ駆け回りながらドワーフたちに的を絞らせない。

 そして、手にした武器の引き金を引く。

 あれは――


「銃じゃないか!」


 エルフたちが手にしているのは長銃身のライフルだった。

 装弾はボルトアクション式だから連射性は高くはない。が、弾速はドワーフの砲弾よりも速かった。

 銃撃の大半は大盾によって防がれるが、いくつかの銃弾はその防御をかいくぐってドワーフに手傷を負わせている。


 ドワーフの重装砲兵団VSエルフのレンジャー部隊。

 ここで行われているのは、ほかでもない、この世界にはありえないはずの「銃撃戦」だ。


「ど、どうするの、エドガー!」


 メルヴィが戸惑った声を上げる。

 正直、何がなんだかわからないが、ひとつだけわかることもある。


「エルフが襲撃してる側、ドワーフが襲撃されてる側だな」


 もちろん、ドワーフ側がお尋ね者で、エルフ側に正義がある可能性もなくはない。

 しかし、その逆である可能性もある。そしてその場合、ここでドワーフが殺されるのを静観しては取り返しがつかない。


「事情を聞くのは、とりあえず戦いを止めてからでいい」


 俺は次元収納からあるものをいくつか取り出した。

 握りこぶしくらいの大きさのそれらから、念動力でまとめてピンを抜く。一秒だけ待ってから、エルフ集団の中へと放り込む。

 それから、慌てて注意をする。


「ルトワラさん、目と耳を塞いで!」

「えっ? きゃあああっ!」


 閃光と炸裂音。ルトワラさんの悲鳴。

 投げたのはもちろん、自家開発した閃光手榴弾だ。

 ……すまん、ルトワラさん。先に注意するのを忘れてた……。


 もっとも、ルトワラさんは爆心地から距離があった。

 もっと近くにいたエルフ集団は目や耳を押さえて悶絶している。

 ドワーフにも被害は出ているが……助けたのだから我慢してもらおう。こっちも無力化しておかないと、もしドワーフ側に非があった場合にエルフを攻撃されるおそれがある。


 俺は大声を出しつつ、集団の前に姿を見せる。


「――双方矛を収めろ!」


 双方「矛」は使っていなかったが、「銃」と言ってしまうのもマズいだろう。


「俺の名はエドガー・キュレベル! 南ミドガルド連邦の特任大使だ! 事情は知らないが、緊急措置として戦いに介入させてもらった! 言い分のある者は前に出てくれ!」


 ドワーフとエルフの間に入り、俺はそう宣言する。

 どちらからも撃たれかねない危険な場所をあえて選んだ。身分は明かしたくなかったが、この際はしょうがない。

 メルヴィも遅れて俺の隣にやってくる。ルトワラさんは閃光手榴弾で混乱しているのでそのまま隠れていてもらおう。


 俺の呼びかけに声が上がる。

 ドワーフの隊列の奥からだ。


「鋼鉄の氏族代表、ジージャラックです。介入いただき助かりました……いささか乱暴な介入でしたが」


 女性の声は、鋼鉄の馬車の中から聞こえた。

 馬車の扉が開く。前世のワゴン車のような引き戸だった。

 中から出てきたのは、小柄な若い女性だ。いや、ドワーフとしては平均的な背丈だろうか。ドワーフの年齢は他種族にはわかりにくいが、まだ10代のように思える。

 ドワーフにしては華奢で、容姿は整っているだろう。中南米の民族衣装のような格好で、髪は丁寧に編み込まれている。衣装のあちこちには宝飾品が覗いていた。

 外にいたドワーフたちが一斉にかしずく。

 ドワーフの少女が口を開く。


「襲撃者を拘束してもよろしいですか?」


 細い、鈴の鳴るような声だ。


「それは待ってくれ。事情を聞きたい」

「ですが、悠長に話している暇は……」


 少女の声を遮って銃声が響く。

 俺を狙って放たれた銃弾を指先でつかむ。


「何だと!?」


 驚愕するエルフに、メルヴィがスペルボックスを撃ち込む。

 開放された魔法は睡眠だ。エルフは一瞬で眠りに落ちた。


「エルフたち! 事情は知らないが、攻撃、逃走、いずれの行動を起こしても、こちらは一瞬で無力化できる」

「……どういうつもりだ?」


 別のエルフが起き上がりながら言った。

 どうやらこいつがリーダーらしい。

 他のメンバーと同じく、緑色の布を複数組み合わせた格好をしている。手には持っているのは木製のライフル。木製というのは、前世のようにストック(銃床)のことだけを言っているのではない。銃身までもが木製なのだ。


「どうもこうもない。俺は事情を知らない。どっちからでもいいから説明してくれ」

「事情も知らずに嘴を突っ込んできたのか? 噂通りお人好しらしいな、エドガー・キュレベル」


 エルフのリーダーの言葉に眉を上げる。


「俺のことを知ってるのか?」

「知らいでか。この世の理を乱す異端者――人々を使嗾し、世界に歪みをもたらす転生者め!」


 憎々しげに吐き捨てるエルフリーダー。


「異端者だって?」

「まぁ、ある意味、歪みをもたらしてはいるわよね」


 メルヴィが混ぜっ返してくる。


「自覚がないわけじゃないけどな。それにしても、異端者と来たか」


 俺が眉根を寄せていると、今度はドワーフの少女が言った。


「彼らは精霊至上主義者エレメンタリストのエルフです。彼らはわたしたちを一方的に異端者だと糾弾し、断罪すると言って襲ってきました」

「……ふぅん?」


 つまり、俺だけじゃなく、この少女たちも異端者だと。

 たしかに、この重装砲兵団はこの世界の標準に照らせば「異端」かもしれない。……おまえが言うなと言われそうだが。


「あんたらはエレメンタリストのエルフだと。間違いないか?」


 俺が確認すると、エルフリーダーが頷いた。


「そのとおり。我らは世界に歪みをもたらす者共を討滅する狩人だ! 恐れよ、異端者エドガー・キュレベル! おまえは既に我らの断罪の対象となっている!」

「じゃあ、このドワーフたち――ええっと、ジージャラックさんたちを襲っていたのも同じく『世界に歪みをもたらす』からなんだな?」

「そうだ! 精霊のものである山を切り崩し、鉄と戯れ、硫黄を弄び、もって破壊の道具とする! これが歪みでなくて何だという!」


 リーダーが叫ぶ。


「待ってください! わたしたちは生活を豊かにし、魔物から人々を守るために製鉄の技術を磨き上げてきたのです!」


 ジージャラックさんが反論する。


「……おまえたちの言うジージャラックさんたちの『罪』というのは、それだけなのか?」

「精霊の御心に逆らう以上の罪が他にあるか!」

「じゃあ、ジージャラックさんたちは技術を開発してただけで、それを使って悪事を働いたわけじゃないんだな?」


 俺の言葉にリーダーが言葉に詰まる。


「で、おまえたちエレメンタリストとやらは、ジージャラックさんたちを一方的に異端認定し、断罪すると言って襲いかかったと」

「な、何が悪い!」

「悪いに決まってるだろ。中央山嶺のこの辺りは一応中原帝国の領土とされている。おまえたちのやったことは山賊のやってることと変わりがない」

「くっ……異端者が偉そうなことを……!」

「おまえらの方がよっぽどだと思うけどな」

「ならば、この竜ヶ峰の噴火をなんと見る! 貴様ら異端者が世界に歪みをもたらした結果でなくてなんだと言うのだ!」


 なるほど。そういう世界観なのか。

 とすると、異端者であるジージャラックたちドワーフを追ってきたら、別の異端者である俺が助けに入った。このことも、彼らからすれば異端者が結託して世界に悪影響を及ぼそうとしている証拠ということになるんだろう。

 話し合いの余地はなさそうだ。


「……ねぇ、もう全員眠らせちゃっていいかしら?」


 メルヴィの言葉にうなずく。

 スペルボックスがエルフたちに投げつけられ、睡眠の魔法を開放する。

 あまりのあっけなさにドワーフたちが顎を落とさんばかりに驚いた。

 ジージャラックさんが言う。


「た、助かりました……えっと、エドガーさん」


 表情が微妙に引きつっているジージャラックさん。


「どういたしまして。ああ、勝手にやったことなので、お礼などは結構ですよ」


 状況も飲み込めたので、丁寧語に切り替える。


「それにしても、ジージャラックさんたちはどうしてこんなところに?」

「わたしのことは、ジジと呼んでください。えっと、ここにいたのは、避難してきたからです」

「避難? ああ、火山ですか?」

「ええ。わたしたち鋼鉄の氏族は竜ヶ峰の火口付近に隠れ住んでいました」

「どうしてそんな危険なところに……」

「鋼鉄を造るのに都合がいいからです。それ以上は、氏族の秘密なので教えられませんが……」

「ああ、火山を利用して溶鉱炉を造ったのか」

「っ! ど、どうしてそのことが……」

「さっきそのリーダーも言ってましたが、俺は転生者です。転生前の世界では、鉄鋼技術は一般的でした」

「鉄鋼技術が……一般的な世界!」


 ジジさんが目を輝かせる。周囲のドワーフたちもざわめいた。


「で、では、エドガーさんはこの世界でも製鉄を!?」


 勢い込んで言ってくる。


「いえ、やろうとは思ったんですが、この世界の基礎技術が低くて、なかなか思うように進んでないのが現状ですね」


 鉄道も開発してはいるが、レールの製造は〈インベンター〉のクラスを持つ俺か始祖エルフであるアルフェシアさんにしかできないのが現状だ。

 ジジさんに鉄道の話をする。


「す、素晴らしいです! 異世界にはそんな技術が! ああ、この目で見てみたい!」


 手を組み、拝むような姿勢でジジさんが言う。


「それより、避難と言ってましたね。山を下って中原に出るつもりだったんですか?」


 俺が聞くと、ジジさんが暗い表情に戻る。


「ええ……ドワーフは主に中央山嶺の西側で暮らしているのですが、西側はエレメンタリストの監視が厳しいんです」

「こいつらは、そんなに勢力があるんですか?」

「はい。エレメンタリストは木砲樹もくほうじゅと呼ばれる特殊な木の生えた地域を独占しています。木砲樹は中空で不燃性の丈夫な木材になり、彼らの使う『木砲』へと簡単に加工できます」

「火薬は?」

「木砲樹の実をすり潰して乾かすと、爆発的に燃焼する火薬を作ることができるということです。わたしたちの火薬はまた別ですが」


 なるほど、鉄砲ではなく「木砲」だったか。これで銃を作れと言わんばかりの植物だな。


「木砲を独占しているエレメンタリストは軍事的にも強力ですが、宗教としても幅広い影響力を持っています。とくに、森で暮らすエルフや獣人たちには広く信じられているようです。もっとも、襲ってきた彼らほど狂信的な信徒は数が限られていると思いますが……」

「それで東側に下りてきたのか……。中原に受け入れてもらう当てはあるんですか?」

「いえ、それが……」


 ジジさんが口ごもる。


「コネはないんですね。それなら、俺が帝国か連邦に口を利きましょう」

「よろしいのですか!?」

「むしろ、こっちからお願いしたいくらいです。鉄鋼の生産量の少なさが、発展のボトルネックになってますからね」


 俺は次元収納から紙とペンを取り出すと、帝国の皇帝や百超将軍、大使館の代理人、連邦では国王ヴィストガルド1世とデヴィッド宰相(兄さん)、アルフレッド父さん、アルフェシアさんに宛てた手紙を書く。これだけあればなんとでもなるだろう。

 次元収納から帝国と連邦の通行証を取り出し、手紙と一緒にジジさんに渡す。

 この辺りのものは、特任大使としての俺の権限だけで渡すことができる。


「あ、ありがとうございます! この御恩は絶対に忘れません!」


 感極まって俺の手を握ってくるジジさん。


 いろいろ話を聞きたいところではあったが、火山の調査もある。

 エルフ・エレメンタリストの連中を縄で拘束してジジさんたちに預け、ふもとの街に届け出てもらうよう依頼する。クロイツのギルドマスター宛の手紙と、特任大使の署名を入れた領主向けの手紙も追加で渡した。


 俺たちはドワーフ重装砲兵団と別れ、再び山頂への道を登り始めた。

 ……いろいろなことに驚愕して、言葉数がどんどん少なくなっていくルトワラさんを連れて。

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