ヤバい親友

昨日沙良に痛めつけられたせいで動けず部活ができません!!


って展開に出来たら良かったんだけど。寝る前はジンジン痛んでいたはずの身体が、朝起きたらすっかり元気100倍になっていた。これは僕の身体の回復力が凄まじいのか、沙良が翌日に支障が出ないよう加減をしているのか。…後者の可能性が高そうなのが沙良という女の子の恐ろしい部分でもある。


ともあれ。迎えてしまった放課後。いよいよしたい部での活動が始まる。当然、気が乗らない僕。その隣ではいそいそと荷物をまとめ新聞部に向かおうとする凛。


「…ねぇ凛。今から僕をボコボコに殴ってくれない?」


「よぉし分かった」


「んぐふっ!?躊躇いが無さすぎるよ!」


「俺はずっとずっとお前をこうしたかったんだ。常日頃準備は出来ている」


「おぶふっ!?人を殴ってるのに感情無さすぎね!この上なく無表情だし!罪悪感…せめて高揚感くらいは感じてあげてよ!」


「なるほど。…じゃあこの感情を向けよう」


「ひぐぅっ!?…失望の感情を向けるなぁ!なぜ失望!?思ったより殴り心地悪いなぁコイツ…ってこと!?」


(提案したのはこちらとはいえ)特に理由のない暴力が僕を襲う。新聞部とは思えない威力で僕に腹パンしてくる凛を必死こいて宥める。


「…で?どうしてボコボコにされたいなんて言い出したんだ?殴りながら聞いてやる」


「殴られてぇたら!話すぅことが!できぃ!ないでぇ!しょうがぁ!」


腹パンの影響で変なトーンになってしまうが、ようやく拳を振るのをやめてくれた凛。あ、今小声で「…殴り心地悪、コイツ」って言ってたのは聞き流してないぞ。誰も幸せにならない状況なら殴られ損じゃん僕。


…外傷が目立ちにくい腹を集中砲火するあたり、日常的にやってる可能性があるな。後で先生に調査を依頼しておこう。


「…で。なんでボコボコにされたいなんて言い出したんだ?」


「この後部活動があるんだけど行きたくなくてさ…。でもてきとーな理由だと欠席できそうになくて。だから骨の一本や二本くらい折ってもらって明確な証拠と共に休みたいなって」


「だからボコボコにしてもらおう!って発想になるお前が1番怖いな。もっと自分を大事にしろよ?心配になる」


「うん。ついさっきまで僕を殴り続けた凛の言葉じゃなければもう少し響いてたよ」


どの口が言っとるんだオブザイヤー受賞できるだろ、今の発言。


「ってか、部活決めたんだな。どこにしたんだ?『椅子に乗ってくるくる回る部』か?『割り箸を綺麗に半分に割る部』、もしくは『シャーペンの芯って最大限出した状態でも文字って書けるのかな部』?それとも『ささくれ引きちぎり部』か?」


「相変わらずわけの分からない部活ばっかだな…。僕が入ったのはしたい部だよ…あっ」


しまった、と口を手で覆っても意味がない。したい部に入ったことは誰にも言わないつもりでいたのに。それも新聞部としてしたい部を調査している凛に言ってしまえば…


「お、本当か!したい部ではどんな活動をしてるんだ?」


ほら、やっぱり。紙とペンを片手に取材モードの凛。したい部の本当の活動内容は秘匿にしてと先輩方から口を酸っぱくなるくらい言われている。彼女達は一般生徒に共感を求めているわけではない。自らの欲求のために活動しているのだから、理解を示す生徒だけを求めており、わざわざ言いふらして変に思われる必要はないのだ。


「いや、本当に凛の調査通りだったよ。学園のためにボランティア活動をしてるところだった」


だからこそ、当たり障りのない事を言ってやり過ごそうとするのだけど、バチィンと勢いよく僕の頬をひっぱたく凛。


「んなわけあるか。だったらしたい部入部予定だった件の男子生徒が『したい部』って単語を聞いただけで顔を青ざめさせた理由は?成宮先輩がいるにもかかわらず部員が少ない理由は?」


「うん、その前に僕の頬をぶった理由を教えてくれない?」


「気分だ」


「じゃ僕も気分で凛にビンタしても問題な(バチィン!)いだっ……今のはなぜ?」


「知らん」


「知らぬ存ぜぬでどうとでもなると思うなよ」


「無意識で殴りたくなるお前の顔が悪い」


「ははっ、整形してこようかな」


笑いしか出てこないや。また気分で殴られないように両頬を教科書でガード。これで一安心。


「で、男子生徒が顔を青ざめた理由だよね。…男子生徒の名前は青柳青助くんで、その名の通り顔が青いから青助くん。彼は元から顔が青いんだ」


「へぇ〜そうだったのか…って納得すると思うのか俺が。思ってるなら俺達は何も分かり合えていないし、これまでの日々は全部無駄だったと結論づけるぞ」


「成宮先輩の件は…あれだよ、性格が酷すぎるんだ。極度の男嫌いで、『男は女の子を視界に捉えたその瞬間身体が焼け爛れてほしい』って言ってたし、SNSで男女の格差を嘆く投稿をするんだけど、男という種を絶滅させたいって願望に満ち満ちてる内容だから日々炎上してる。極め付けには、現在学園で『男子生徒を全員猿として動物園に送る』活動をしてるんだって」


「んなわけあるか。あの人は男女隔てなく接していて専らいい人なんだ。というか男のお前が入部できてる時点で嘘だろ。それ以上成宮先輩を悪く言うなら俺が許さんぞ」


「凛は成宮先輩のなんなのさ…」


「俺は成宮先輩応援ファンクラブ会員番号一番だ」


「まさかのクラブ創設者!?会員数3桁はいると言われてるあの!?」


というか、性格が常軌を逸脱しているという意味ではむしろ真実ではあるんだけど…


「…あ、大志、ちょっといい?お話中だった?」


どうやってこの状況を乗り越えようかなと思っていると、友人ズと集まっていた沙良がパタパタとこちらへやってくる。途端に明後日の方向を見る凛。


「大丈夫だよ。どうしたの?」


「ごめん、ちょっとこの後友達の成果物のお手伝いしなくちゃならなくて…部活に行くの遅れちゃうかも」


「あ、その手があったか。実は僕も課題が終わってなくて…」


「写真」


「あーもういいわ課題なんてやってられん!なーにが学生の本分は勉強だ!やらされる勉強に意味はないんだよ!自発的に勉強させるようにしないと!早く部活に行こーっと!」


「うん、良い子。成宮先輩と黛先輩にも言っておいて」


スカートを翻して友人ズの元へ戻っていく沙良。ほんと、人望あるなぁ…友達といえる友達は凛しかいない僕とは大違いだ。


「じゃ、僕は部活に行ってくるよ」


「待て待て待て」


自然な流れで鞄を持った僕の首根っこをむんずと凛に掴まれる。くそぅ、勢いでいけなかったか。


「…まさかとは思うが、常盤さんもしたい部に入部したわけじゃないよな?」


「いや?僕と一緒に入ったよ」


「嘘だろ…?成宮先輩に加えて常盤さんも…?一体どうなってんだしたい部!気になって仕方がない」


あ、そっか。いつも一緒にいるからあまり気づかないけど、沙良も男子生徒からかなり人気なんだった。僕にとっては部に所属するメリットの一つ程度にしか考えてなかったけど、確かに人気が高く容姿も素晴らしい2人が一緒の部に入っているのなんてレア中のレアなのかもしれない。


「こうなったらしたい部の全貌を吐くまで逃さないからな?」


「えぇめんどくさ…。あ、ほら、部員が少ないのはさ、入部の条件に容姿が凄まじく良い生徒である事ってのがあるんだ。成宮先輩、沙良レベルの顔面じゃないと入部できないんだよ、容姿採用ってやつ」


「お前が入部したのに?」


「??僕が入部していることが容姿採用があるという何よりの証拠じゃない?」


「お前が合格するなら高齢のチンパンジーでも合格するだろ」


「わざわざ『高齢』を付けてまで貶す必要あったかコラ」


「当たり前だろこの顔面偏差値マイナス64男が」


「64って結構高い…マイナス!?偏差値でマイナス!?存在しない方がいいってこと!?」


沙良の一言によってさらに凛の記者魂に火がついたようだ。とはいえ、活動内容をぶちまけるわけには…いや、もういいか。


「…分かった。したい部でどんな活動をしてるのか教えてあげるよ」


「本当か!?お前ほんと良い奴!ベストフレンド!心の友!『マブダチ』って単語はお前のために生まれたといっても過言ではないかもなぁ!」


「そこは言い切ってよ。…百聞は一見にしかず、ついてきなよ。一緒にしたい部の活動を体験しよう」


そもそもしたい部はどういった部活動なのかという質問についてなんと答えればいいのか分からない。口頭で説明しても荒唐無稽すぎて聞き入れてもらえないだろう。なら、実際に見て貰えばいいのだ。目で見てしまえば否が応でも信じるしかない。


新聞部だからといって凛は口が軽いわけではない。むしろ固い方だ。誰にも言わないでと条件をつければ他言することはないだろう。成宮先輩から凛に他言しないよう言ってもらえれば、憧れの女性を傷つける真似はしないはずだ。


あとは、これは僕の個人的な想いだけど。あの部の真実を知ってしまった被害者を増やしたい。僕と凛は親友なのだから苦しみも分かち合った方がいいと思うんだ。決して巻き込んでやろうというわけではなく。いや本当。いやマジで。ほら僕のこの目を見て!歪につり上がってるでしょ!嘘をついている目に見えるか!?


「…いや、それはやめておこう」


名案だと思ったのに、先程までの勢いはどこへやら、しなしなと萎れるように僕の言葉を一蹴する凛。


「そんな…それでは依然として僕1人が損をすることにゲフンゲフン…したい部の秘密を暴けないぞ!」


「…実際に見て確認する。それが出来るならとっくの昔にやってるさ」


「どういう意味?」


「…俺が成宮先輩のことが好きだってことは話したよな?」


「好きまでは言ってなかったけど」


「そうか。ならそこから説明しよう。あれは去年の4月…いや5月…あれ、6月か?いや肌寒かったから10月?もっと寒かったか…12月くらい?」


「あー良いよ話さなくて。長くなりそうだしめちゃくちゃ記憶曖昧っぽいし」


椅子に座り、窓の外を見て黄昏れる凛。彼の姿はどこか哀愁が漂っていた。そんな彼の姿を見て、聞き入るように背筋を伸ばす僕。かなり間を起き、凛がポツリと一言残した。


「…俺、好きな人の前だと緊張して話せないんだ」


「中学生か」


何か特別な事情があるのかと身構えた僕が恥ずかしいわ。


「顔が真っ赤になっちゃってさ。『あうっ…』とか『ふひっ…』しか言葉が出てこなくなるんだ。だから実際に赴くのはNG。調査どころじゃなくなる」


「…なんとなく凛に彼女ができない理由が分かったよ」


思い返してみると、先ほども僕が沙良と話している間は会話に入ってこようともせずじっと下を向いていたし、クラスの女子から業務連絡をされた時も口数少なく対応していた。当たり障りのない反応をしてるとは思ったが、まさか当たり障りのない反応しかできなかったとは。意外と女性に対する免疫が無いのかもしれない。


へぇ〜、意図せず凛の弱みをゲフンゲフン…凛の可愛いところを発見してしまった。これを元に今後凛を脅迫ゲフンゲフン…あー、風邪かな?こほん、凛をからかってやろう。


「だからお前しか頼れる人間がいないんだ…!したい部の部員はお前以外みんな女性!しかし俺は俺の知的好奇心をおさえることができない!」


「…むしろチャンスだと思って女の子と話してみたら?成宮先輩…は流石にハードル高いかもだけど、沙良だったらきっと話しやすいと思うし。僕からその場をセッティングしてあげようか?」


「……いや無理だ!妄想の会話の中で84回の『あうっ…』そして128回の『ふひっ…』を確認した!」


「言葉覚えたての赤ちゃんでももう少しまともに会話ができそう。…あぁ、これ以上遅れると本当に怒られそう。したい部の秘密はまた次の機会に」


言うが早いか、凛をおいて教室を逃げ出す僕。「あ、待て!」と遅れて追いかける凛。僕は凛より少し足が遅いけど…これだけの差があれば追い付かれることはないだろう。そしてしたい部の部室にさえついてしまえば凛も諦めるはず。


凛もそれに気づいたのか、少しして振り返ると居なくなっていた。全く…余計な手間を取らせやがって。


というか、女性と話せないのなら、新聞部で取材をする時はどうしているのだろう?筆談でやり取りをするのかな?…いや、凛のあの様子だと文面でも『あうっ…』『ふひっ…』が多発していそう。



「しつれいしまー…あれ、黛先輩だけでしたか」


そこそこ遅れてしまった言い訳を考えつつしたい部部室に入室するも、中にいたのは大机に本を重ね、凛として読書をしている黛先輩のみ。全然どうでもいいけど、クールな女性が読書をする姿ってめちゃくちゃ様になるよね。成宮先輩の方が部に対しては積極的だと思っていたからこの展開は少々予想外だ。


僕に気づいた黛先輩はパタンと読んでいた本を閉じ、大机を挟んだ対面に座るよう促してくる。


「杏は友人と恋愛相談中。そういう相談事を受けるのも部の活動の一部だしね」


「…あぁ、表向きは学園お助け隊ですもんね、ここ」


「そっちの方も意外と機能してるのよ。教師の雑用の手伝いだとか、生徒のお悩み相談とか、困りごとに対応したりだとか。部の体裁を保つためにも『死の体験』以外の活動も手を抜かずにしてる…常盤は?一緒じゃないの?」


「あぁ沙良も友人の手伝い?しているらしいです。黛先輩はあんまり友達とかいない感じですか?」


「同志を見つけたような目で見てくるところ悪いけど、それなりに居るわよ」


「あー友達多い自慢ですか?舐めないでくださいこっちは脳内に200人近い友達がいるんですからね」


「可哀想」


「その気になれば201人にでも1000人にでも増やせるんですからね?」


「本当に哀れ」


完全にマウントを取られ涙目敗走といった様子()で片手で頬杖をつく黛先輩。途端に部室内に静寂が訪れる。不思議と気まずさを感じないのは、黛先輩の出す独特のオーラの影響か。


「本、何読んでたんですか?」


「『童話:森のくまさん』よ」


「あれぇ意外と可愛らしい」


「活字苦手なのよ。文字見てると眠くなる」


「じゃあなんで本なんて読んでたんですか」


「本読んでると賢く見えるでしょ」


「その発想があまり賢くないと思います」


と言うと、不満げに鼻を鳴らす黛先輩。『賢く見られたい』なんて、この人もこの人で意外と可愛らしいところあるんだなぁ。


この様子だとしばらく2人きりの時間になるだろうし、これを機に黛先輩を質問攻め。


「あ、そういえば、どうして黛先輩はしたい部に入部したんですか?」


ずっと気になっていた疑問を口にする。というのも、黛先輩は成宮先輩ほど『死の体験』に積極的でないように思えたからだ。…というより、成宮先輩が積極的すぎるだけか。


「私は杏の付き添いよ。杏とは小学校からの仲だし、親友としてあの子の死への追求心を

理解できるのも、ついていけるのも私しかいないでしょうし。…理解はしてるけど、未だに共感はできそうにないわ。けど…」


「けど?」


「…いえ、何でもないわ。今の話は杏には言わないように。意外とセンチメンタルなのよ、あの子」


「…やっぱ黛先輩はまともな方でしたか」


僕の周りの人間といえば、息子をブサイク呼ばわりする母、どうにも距離が近すぎる兄、躊躇いなく友人を殴る凛、歪んだ愛の形を持つ沙良と、異常な人間しかいなかった。ここに死にたがりの成宮先輩が加わり、まともなのは僕だけか状態になってしまうかと思われたが、黛先輩も一般の感性を持つ常識人。彼女とは仲良くやっていけそうだと再認識。


「どうかしらね。人は見かけによらないと言うし」


僕にとっては最上級の褒め言葉だけど、意味深な言葉を残し自身の鞄を漁る黛先輩。見かけによらないって…常識が分かっており、親友想いの美人さんじゃないですか。どこにも問題なんて見当たらない。


ともあれ。どうやらこの部は常識人枠2人、破天荒枠2人と人数だけで見ればバランスが取れているようだ。良かった、まともな人間が少数派にならなくて。お互い奇天烈な考えを持つ友人を諫めていきましょう。


「…あったあった。新入部員に渡す書類を持ってきたわ。部の活動について、部費の集金に関する云々、あとは誓約書などね。軽く目を通してサインしてちょうだい。ペンは…っとと」


数枚ほどある書類をまとめて僕に差し出す黛先輩。そのまま筆箱からボールペンを取り出すのだけど、手を滑らしたのか机の下に落としてしまったようだ。


「薬師丸。拾いなさい」


「えぇ…自分で落としたじゃないですか」


反論はしたけど、黛先輩はてこでも動かなそうだったので仕方なく机の下に潜り込む。ペンは黛先輩の足元に落ちていた。四つん這いになり机の下を進むのだけど…椅子に座る黛先輩のスカートの中が見えてしまいそうで目のやり場に困る。股下に僕がいるというのに足を組んでるのは無防備すぎではありませんかね…。学園指定のスカート、漫画やアニメの世界かよってくらい丈が短いからなぁ…


先輩、見えそうです、と言うのもなんだか気持ち悪いから、極力視線を上げないように努める。ようやくペンに手が届く…というところで、黛先輩がペンを蹴り僕の手は空を切る。幸いにも飛んだ先は黛先輩の足元だったので、そちらに手を伸ばす…のだが、またもやペンを蹴られてしまう。


「もう、先輩!からかわないでくだ…あ」


2、3度同じ動きをされたため、これはわざとやっているのだと気づき、文句を言ってやろうと黛先輩を『見上げる』。そう、見上げてしまった。当然僕の視線も上がり、見まいとしていたスカートの中も見えてしまったわけで。


何も無かったかのように素早くペンを拾い上げ、ガツンガツンと頭を机に打ちながら脱出。僕の様子を妖艶に笑いながら窺う黛先輩にペンを見せつける。


「ご苦労。それじゃ、そのまま記入しちゃって」


促されるまま書類を読む僕だけど、これは読むフリだ。何が書いてあるかなんて全く理解できていない。黛先輩のスカートの中…その衝撃の光景がどうしても頭から離れない。…ペンを拾い上げた際の黛先輩のあの表情。もしかしてだけど…わざとソレを見せつけてきたんじゃないかって。わざとペンを落として僕に拾わせ、わざとペンを足で転がして、僕が上を見るのを待ってたんじゃないかって。


だとしたら、黛先輩は…この人は…


「あの、先輩。一つ質問してもいいですか」


わざわざ口に出す必要はない。けれど、どうしても気になってしまって、考えるより先に言葉が出てしまう。何かしら?と、前屈みになった黛先輩に、はっきりとこう問うた。


「…なんで下着履いてないんですか」

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