12
シンはクラブを出た後、歩きながら携帯を触る
翔からメールが来ていたため確認して返信する
そしてそのまま電話をかけた
「あーもしもし。お疲れアカ。
今アオと一緒か?」
「お疲れ様です社長。よく分かりますね。アオと一緒に事務所に居ます」
アカと呼ばれた男とアオはシンの部下にあたる
「そうか良かった。今、兄貴からメールがあった。朝言った滝沢の件、すぐ動けるか?」
タイミングが良いことに滝沢の方も、今キャバクラに向かっていると翔から連絡があったのだ
旦那が遅いと分かったから嫁もクラブに行ったのだろうが、こちらとしてはちょうどいい
「大丈夫です社長。30分で店まで行けます」
そのアカの返答にシンは
「了解。滝沢が店に行くのが2時間後だ。その前に店に行って女をなんとかしろ。やり方は任せる」
「ありがとうございます。対応しま...『...社長も...行きましょーよー』ちょっ...アオ!やめ...ろ」
「はは、アオが近くに居るのか」
アオが電話に割り込んで社長を誘ってくる
「悪いなアオ!俺は別の用事があるんだ。大事な仕事がな!また今度いってやるよ」
「珍しいですね社長が動くなんて。分かりました。後は俺とアオに任せてください。終わり次第連絡いれます。それでは」
「ああ、よろしく頼む」
やりとりを終え、シンはタクシーに乗り込む
「悪いが、出来るだけ早く銀座に向かってくれ」
15分ほどで銀座に着いた
「お客さん着きました」
「ありがとう。助かった!」
そう言って万札を渡しタクシーから降りる
シンは目の前のビルに入り3階まで登る
通路の1番奥まで歩き、本松(ほんまつ)探偵事務所と書かれた表札が貼ってある扉をノックしゆっくりと開けた
「お疲れ様です。兄貴」
扉を開け人影が見えた瞬間シンは挨拶をした
「おつかれシン。座ってくれ」
そう返した翔は3人掛けのソファーにシンを促した
翔が立ち上げた本松(ほんまつ)探偵事務所
長テーブルの両側にソファーが1つずつ対面で置いてあり、1番奥に翔のデスクがあるだけと、まだ殺風景な事務所
「ごめん兄貴。遅くなりました。報告ですが、滝沢夫妻に関しては両方とも今日動いてます」
「ああ、大丈夫だ。早速、動いてくれたか!さすがシンだ」
予定に少し遅れたシンを翔はまったく気にしていない
翔はすぐ本題に入った
「それよりも、計画の話しだ」
「そうっすね。俺は何をすればいいですか?」
「ああ。シンには芝居してもらう...」
「え?芝居?」
「そうだ。銀座のある高級クラブが欲しい...。
欲しいと言うかまずはコネを作りたい。だからその店のセキュリティをシンの会社で引き受けれるようにする」
そう翔が話すとシンは
「じゃあ、店に行って営業をかければ良いですか?」
「いや、そこは本ヤ関係のセキュリティが既に契約している。うちがそこに入るには営業かけても無駄だ。だから、シンは何人か部下を連れて呑みに行け。その後、時間差で会社から精鋭4人使って客として呑みに行ってもらう。適当に呑んだらイチャモンでもつけて暴れさせろ。その時はシン達は動くな」
翔の説明にまだよく分かってないシンは黙って聞いている
「こちらが暴れれば、向こうのセキュリティがくるが、そいつらを結構派手にボゴボコにしてくれ。いかに無能かを知らしめるためにな」
ようやく分かってきたシンが少しニヤッとした
「後は、シン達が割り込んで精鋭4人を制圧すれば終わりだ。店長にオーナーへ繋いでもらい自分の会社を売り込め。流石にのってくれるだろう」
「なるほど。さすが兄貴!...でもうちのトップ4人使うってことは向こうも相当強いってことですか?言っちゃ悪いですがあの4人は俺に見劣りしないぐらい強いですよ」
シンの会社は全員強い
元々、格闘や喧嘩自慢をシンが屈服させ従えてきたのにくわえシン自らスパーリングで鍛えているからだ
「ああ強い!そこのクラブのママが凄い人気らしく店が銀座の中でもトップクラスなんだ。有名なクラブほど要人は多く来るためセキュリティの質も上がる。それに圧倒的に相手を沈めたいからやっぱ、こっちも本気でいきたい」
そんな話しにシンは少し残念そうに
「そんだけ強いなら俺がやってみたかったな...。まあ今回はしょうがないですね。社長として売り込みますよ」
「悪いな。だが、これから本格的に動くからシンに戦ってもらう日も近いよ」
説明が済んだ翔はタバコに火をつけ世間話をはじめた...
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