10
次の日の夜
歌舞伎町の繁華街で、シンはツバサを待っていた
「あのやろー、おせーんだよ。誰を待たしてんのか分かってんのかよ」
何本か吸ったタバコが地面に転がっており
シンの顔にはイラつきが出ていた
「シンさーん。すいません。髪セットしてて遅れましたー」
っとチャラチャラした歩き方でツバサが向かってきた
シンは何も言わずツバサの腹を殴る
「ぐはっ。ちょ、ちょ...ちょっと待ってください。すいませんって。謝ってるじゃないですか」
腹を抑えながら弁明するツバサ
「バカやろー。この俺を待たせて、その謝り方はなんだ?そんなんじゃ殴ってくれって言ってるようなもんだろ」
シンの愚痴は続く
「後なー、俺のことは社長と呼べって言ったろ?毎度毎度間違えやがって。お前だけだぞそんな軽い態度なのは」
ツバサは問題児だ。顔はギャルに受けやすいイケメンだが、セキュリティのくせに体は細い
性格はその見た目通りで喋りがかるい
一応これでもうちの社員ではある
喧嘩は弱いが、このなりで頭がすこぶる良く、信頼は出来る
「はは、そんな毎回怒らないでくださいよー。社長だって翔さんにはこんな態度じゃないすかー」
そんなツバサにシンがまける
「はー、もういい。お前には負けたよ。
とりあえず行くぞ」
2人は歩いて移動する
「社長ー。確認なんすけど、俺がその滝沢の嫁を口説けば良いんでしたっけ?」
「あー!そうだ。これから渋谷まで移動してクラブに行く」
クラブというワードにツバサのテンションが上がる
その顔を見るシンは、やれやれといった顔で話を続ける
「滝沢の嫁は、旦那に内緒で良くクラブに行くらしい。尾行させてみたら今日も渋谷のクラブに入ってったようだ」
タクシーを拾い、向かいながら説明する
「嫁は結婚する前は派手なギャルだった。まあ、案の定お前みたいな奴がタイプなんだとさ。とりあえず今日は、ナンパして連絡先くらい聞ければ良しだ。いけるなら最後までいけ」
そこまで聞くと、ツバサはいっそう嬉しそうな表情をした
「りょーかいです。落として惚れさせて言うこと聞かせりゃ良いですね!任せてください」
クラブの前にタクシーが停まる
2人が降りると、入り口のそばにいる男がこちらに気づいた
「お疲れ様です社長」
部下の一条(いちじょう)が挨拶をする
丁寧な言葉にシンはツバサを見る
こんくらいやれっと言わんばかりの目だ
ツバサは焦ったが、しれっと気付かないフリをした
それをみた一条は
「おい、ツバサ!また社長に迷惑かけたんじゃないよな??ったく…いい加減、大人になれよ」
と呆れ口調で言う
「まーこいつは、そんな奴だよ。
それより嫁の方は中に居るのか?」
シンの問いに一条は
「はい。1時間前に入って、まだ出て来ていないので間違いないです」
さらに独自で嫁を調べてくれていたようで詳しいことまで教えてくれる
「えーとですね、滝沢の嫁は真由(まゆ)と言います。歳は26歳で背は160ほど。やはりクラブが好きなだけあってヒップホップや洋楽が好きですね。趣味は、買物で服を買ったりエステにしょっちゅう言ってます。一応、旦那とは仲良くしてますが満足はしていないようです。
まあ典型的な金目当ての結婚ですね、後は_
」
詳しい説明が終わり中に入ろうとするシンとツバサ
「良く調べたな一条。助かったわ。後はこっちでやるから上がっていいよ。ツバサ、入るぞ」
「了解です社長。一条さんあざす!お疲れでしたー」
2人は一条にお礼を言って、クラブに入っていく
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