橋の上でSNSすな

『あーぁ、優しくてかっこいい彼氏が手伝ってくれたら いいのにぃ』

 石の欄干から乗り出すように寄りかかった一人の女性。


 ピロンっと小さな音がして、彼女は手元を覗き込む。画面が顔を白く照らす。


『じゃあ、僕とかはどうですか?』


「――『今ならお得ですよ、オマケでハグも付いてきます』」

 SNSの言葉に続く声。同時にぎゅっと抱き締められる。落ち着く香りの優しい腕。

「ナイショだなんて、寂しいなぁ」


 不満そうに呟く彼。口を尖らす彼の頬に、彼女はそっとキスをする。


『えーっ、私でいいんですか?』

 イタズラっぽい笑みを隠さずに、シーッと指を唇に寄せた。

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