多分…人手不足かな
買い物をしなくちゃ。
私はスーパーによくあるプラスチックの買い物かごをぎゅっと握り締めた。
そこは、薄暗く長い廊下。
ツルッとして床に、片側の壁にザーッと並んだ窓ガラス。少し見覚えのある場所……
そうだ、きっとここは学校だ。教室の前の長い廊下。
しかし、よく見るといつもと違う。
壁がゴツゴツした岩肌で、教室の扉も見あたらない。
なのに、私は慣れた様子で歩いていた。
もう夜なのだろうか。窓の外は真っ暗で、あちこちにある緑の非常灯がジーッと音を立てながら、薄気味悪く照らす。
ふと、気配を感じて振り返った。
……そこには、巨大なドブネズミのような魔物。牛ぐらいの巨体をしたそいつがそーっと私の後ろに近づいてきていた。私は悲鳴をあげて、逃げ出した。
ところで、これは私だけかもしれないのだけど、ネズミと聴くといつも感染症のことを思い出してしまう。
"以前は生物の実習で、ネズミの解剖を行われていたけれど、熱病のウィルスの媒体となるリスクがあるために、今はネズミは使われない"という話。
『では、こんなに大きなネズミならば、持っているウィルスはどんなに大きいのだろう』
……なんて、おかしなことを考えながら走る私のことを、ネズミはしつこく追いかけてきた。しかも、全力走ってきているはずなのに、何故か捕まることはなく、逃げ続けた。
気づくと周囲の様子が少し変わっていた。
ゴツゴツした壁から窓はなくなって、スーパーの商品棚の間のようになっていた。インスタント麺やら缶詰めが積んであった。また、冷蔵コーナーのような場所もあった。
命からがら逃げているはずの私は、何故かショッピングを始めていた。
小刻みに曲がり角を曲がったり、細い道を選んで、商品を選ぶ時間を稼ぐ。それほど、必死に買い物しているのに、消費期限近いものもが並んでいるのを見て、うんざりした。ちゃんと、品出し&チェックはしてもらわないと……
そんなこんなで、走り回っているうちに、魔物から逃げ切った。会計も終えて、手元を見ると、宙に妙な枠。何気なく触ると、パッと変わって文字が出た。
『カバン拡張』
あぁ、これでエコバッグを持ってこなくても、好きなだけ買い物できるぜ!やったー
……って、何じゃそれ?!と思ったところで目が覚めた。
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