第46話 酒屋(2)


「やっぱり品ぞろえ良いですね!私見たことないお酒ばっかりで目移りしちゃいます」

「うちは結構珍しいお酒置いているっすからね~その辺の店じゃ買えないっすよ!」


 自信満々に洋子さんに説明し始める酒屋の倅である雄大。自信満々な姿から見てわかるように、この店には多種多様なお酒が多く陳列されており、酒豪ではないが付き合いなどでお酒を嗜む洋子や、博人から見ても珍しいと思えるようなラインナップであった。


「色々買って家で飲み比べしましょう、日菜子ちゃんも気になるジュースあったかな?」


 珍しいものは値段がよくある物よりも少し高いのだが、想像以上に安価で売られており手に取りやすい。それこそ安易に飲み比べと称して何本か買っていこうという気持ちになってしまう。


「いいんですか?」

「勿論、どれか気になったのでもあったのかな?」

「この白ブドウの炭酸ジュースってやつが気になって」

「うん、じゃあ買って家で飲んでみようか」

「ありがとうございます!」

「うぉ=!お目が高いっすね!そのジュースすっごい美味しいんすよ、自動販売機で売っている飲み物より高かいからご褒美の時に家で出たんす!」

「へー、それは楽しみです!」


 雄大の説明や、酒屋の種類の多さに想像していたよりも数倍楽しむことができ、気づけばお昼時はとうに過ぎていた。


「わっ、もうこんな時間!?全然気が付かなかった」

「ほんとだ、長居しちゃってごめんね雄大」

「いえいえ、お2人とも全然平気っすよ!寧ろそこまで興味持ってくれて嬉しいっす!」

「私も楽しかったです!大人になったらお酒の事色々教えてください!」

「うぉー!なんていい子なんすか!勿論!俺で良ければ美味しいお酒から、珍しいお酒まで沢山紹介するっすよ!」


 微笑ましい光景を見ながら雄大のお母さんの元へ、改めてお礼を言いつつ、何点かお酒とジュースを購入した。


「あらあら、こんなに沢山!ありがとうございます」

「ははは、美味しそうなお酒ばかりでついつい買いすぎてしまいましたよ」

「ふふふ、そうだ博人さん!こちらのおつまみなんてどうかしら?買っていただいたワインによく合うのよ?」

「えぇ!?ほんとですか、それもください!」

「あらー、ありがとうございますー、それがお好きならこっちも気に入ると思うわよ?」

「ははは、敵いませんね、それもお願いします」

「ふふ、沢山買っていただいたしちょこっとサービス!はい、どうぞ」

「ありがとうございます!!」


 流石店主だろうか、興味そそられるセールストークにあれよあれよという間にお会計が1,2倍にも膨れ上がってしまったが悔いはない。それに今紹介されたおつまみは絶対に美味しいに決まっている、寧ろここで買わなかったほうが後悔してしまいそうなほど食欲をそそる匂いだった。

 初めて【あみりんご】の前を通った時に嗅いだあの場面に似ていてあらがうことが出来なかった。


「博人さん沢山買いましたね」

「えぇ、沢山買っちゃいました!飲むのが楽しみですね!」

「美味しいお酒に、美味しいおつまみ…うぅお腹空いてきました」

「ははは、お昼過ぎちゃいましたしね、これは夜まで我慢するとして――日菜子ちゃんお昼は何か食べたいものはあるかな?」

「ん、んー?あっ!雄大さんここら辺で美味しいお店屋さんってどこにありますか?」

「ここでて真っ直ぐ行くと美味しい海鮮を出すお店が結構あるっすよ!特におすすめは【海鮮よいち】っていうお店っす!昼過ぎなのですぐ入れると思うっす!」

「わぁー!ありがとうございます!」

「じゃあそこに行ってみようか」

「「賛成!」」


 今一度雄大と、お母さんにお礼を言ってお店を出た。

 昼は海鮮、夜はちょっと大人なパーティーと洒落込み3人は仲良く優雅な休日を過ごしていった。


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