第3話 襲撃
集落へ戻ってみるとサラマンドラが
村を荒らしていた。
血の気が引いた。
ファフニールの毒竜
サラマンドラの炎竜
竜族の中でも高位の魔物で語られている。
その魔物が集落を焼き、荒らしている。
「なんで...なんでこんな魔物がいるんだ...」
おかしい、本来こんな魔物がこんな集落には現れない。火山の近く、洞窟や遺跡で子供火竜たちを従えて過ごすはずだ。
あの時の違和感のようでフラッシュバックする。
このままだと被害が...死人が出る...
「どうして、どうしたらいいの…」
セレアも呆然として少し手が震えている。
誰か倒せるものはいないのかと。見渡す
ダメだエルフ族は戦う種族なんかじゃない
サラマンドラに勝てるような戦闘能力に秀でた者なんていない。
身体が震える。
集落から所々、声が聞こえてくる
「誰か、こっちに残された子が!」
「このままじゃみんな殺される...!」
エルフ族は女性のみの一族、
俺じゃ守れない...俺はみんなを守れるようなやつじゃない...
「ソル...あなたなら大丈夫だよ。私が付いてるから...」
恐怖を押し殺している手汗が少し滲んだ手で、セレアは俺を見つめている。
やれるのか?俺に、あの時も守れなかった。守られてばかりだったのに...
「お願い...ソルにしか出来ないの私たちを、守って」
セレアは涙を流しながら訴えてきた。
「俺が、俺がやらなきゃ」
腰に差した剣を抜き。
震えを抑えようとする。
その時サラマンドラに狙われているエルフが叫ぶ
「誰か!助けて!」
その時、俺の身体は勝手に
全力で踏み込んでいた。震えが止まっていた
サラマンドラの前足を斬り裂いた。
「ガァァァ...!」
凄まじい突然痛みに矛先を俺に向け。
咆哮をあげてきた。
ブンッと反対の前足で思い切り殴りつけてきた。
(やっぱり明らかに一撃が重い...)
前とは違い的確に捌けたが、それでも重さで剣で受けた腕が痺れる。
それから時間にして1分程だろう。何度も攻撃を交わしつつ。拮抗した攻防が続く。
「まずい、このままじゃ俺が先にバテて死ぬ」
相手は大型の竜。目に見えて俺が体力もパワーも劣る。
その時、思わぬ方角から紫と黒色が混ざったような。禍々しい色の魔弾がサラマンドラの身体へ直撃する。
「ガオォォンン」
体勢を崩しサラマンドラも明らかに動揺している。
セレアだ。セレアはダークエルフ
ゆえに攻撃系の魔法も唯一使えるんだ
「私だって、少しでも力になる...」
震えているがそれでもセレアは杖をかまえ、サラマンドラを睨みつける
「セレア!危険だぞ、無茶はよせ!」
「でも!私はソルを守りたい!ここを守りたい!」
決意を固めたのは俺だけなんかじゃなかった。セレアも同じだ。怖いに決まっていた。
「援護しか出来ない、だけどソルが立ち回りやすいようになら」
「...わかった、ただ防壁魔法を固めてて!」
セレアはエルフ族、爪や体当たりでもされたりしたら、ひとたまりもないだろう。
「くっ、あと一手足りればなのに」
サラマンドラの攻撃は捌けている。
幸い誰も死ぬことなく。サラマンドラの火も倒し直後に全て鎮火した。
誰も死ぬことなく、軽傷者くらいで済んでいた。
「セレン、俺、セレンのおかげでまた戦えた。大切なことを思い出せた。本当にありがとう...」
セレアに深々も頭を下げる。
「え?!そんな、私が無理やり頼み込んで助けてもらったようなもんだし...!」
セレアは驚きのあまりたどたどしく否定した。
「セレンのサポートも言葉も、全部。俺を助けてくれてた。今までもこれからも。」
「そ、そんなそんな」
照れながら困惑していた。あまりにも可愛い
「これから先もずっと愛方として。俺は守り続けるから。」
「うん...」
彼女は、涙を流しながら笑顔で聞いている。
誰よりも優しく尊い彼女は誰よりも尊く、自分の支えだ。
「セレン、ありがとう。」
お礼を言ったこの時、俺は、自分でもわかるほどに笑顔で伝えられた気がした。
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