第8話 百合エッチ

 わたしとつばきの二人は稲荷神社に来ていた。それは夏祭りそのものであった。美穂は遅れてくるらしい。心配された、浴衣の着付けは成功してつばきはご機嫌である。


「焼きそばから行くか?」


 つばきの問いに頷くと、焼きそばの屋台に近づく。


「おっちゃん、焼きそば、二つ」

「おう!」


 おっちゃんから焼きそばを手渡されると二人でガツガツと食べる。


「ところで、金魚すくいはないの?」

「最近はSDGsよ」

「は?」

「要は環境に五月蠅い世の中になったの」


 ほーう、とわたしは関心する。


「あら、もねさんとつばきさんじゃない、偶然ね」


 げ、クラスの女子である。この世界で一番苦手な存在であった。異世界から魔王を召喚してぐしゃぐしゃにして欲しい。なにやら、人としてダメな妄想が広がる。


「こ、こんばんは」


 とにかく、挨拶をして機嫌をうかがう。ホント面倒くさいのに会ったなと思う。さて、逃げるか?


「ごめんなさい、髪が跳ねているの、裏道で直すから、一緒に居られないわ」

「あら、そう?」


 つばきの言葉にクラスの女子は首を傾げて去って行く。


「つばき、ありがとう、夏祭りの続きを楽しみましょう」

「言ったでしょう、髪が跳ねているから、裏道で直すと」


 しかし、つばきの髪は跳ねていない。わたしは不思議な気分で裏道に行く。

すると、つばきはわたしに熱いキスをする。これまでにない大人のキスだ。


「もねの浴衣の可憐さにずっとウズウズしていたの」


 つばきのバカ……。


 わたしは熱いキスの忘れられない体にさせられるのであった。


 朝から五月蠅い。美穂が掃除機をかけているのだ。昨夜は夏祭りで疲れ、眠いのであた。


 自室のハンガーに浴衣がかかっている。わたしは浴衣を手に取り鏡の前で合わせる。


 また、着たいな……。


「ご主人様、お部屋の掃除です」


 はわわわ。


 下着姿で浴衣を合わせている場面が見られてしまった。


「ご主人様、いえ、もねさん、いやらしい!」


 よよよよよよよ、死にたい。


 わたしが鏡の前に崩れ落ちると。美穂はわたしをベッドに押し倒してきた。


「良いではなか、良いではないか」


 ついに本性を現したか。この百合娘が。さて、どうされてくれよう。キスは当たり前で……下を慰めて貰って。ブラは綺麗に外されてと……。


「ご主人様、わたしはウケではありませんので終了です」

「何故?」

「サドスティックなウケなどいりません」


 言いたいことは分った、わたしがどうしようもない、サドだと。つまりは命令形のウケだと言うのだ。性癖って難しいなー。


 わたしがゆっくりと服を着ると。美穂は掃除を始める。


 あー燃え上がる様な恋がしたい。

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