第3話 少年に憧れた金糸雀
数日経って、お屋敷にいたずらっ子の少年が遊びに来たある日、金色の羽を持つ金糸雀が言いました。
「私はあの元気に走り回る少年を近くで見たい。こんな籠の中ではなく、もっと近くで、直接。」
色の無い金糸雀は言いました。
「でも、子供っていうものは何でもすぐに壊してしまうんだろ?僕らを握り殺してしまうかもしれないよ?」
それでもやはり、金の金糸雀は少年の傍に行きたくて仕方ありませんでした。
ある日、少年が主人の目を盗み、籠から金の金糸雀を連れ出してしまいました。
金の金糸雀は嬉しくて仕方ありませんでした。あれほど会いたかった少年が今、あれほど触れたかった手のひらで自分を掴み、連れ出し、輝く瞳で羽を見つめているのですから。
と、その時
金糸雀を連れ出された主人の怒鳴り声が館中に響きました。その瞬間、少年の体が一気に強ばりました。そして、少年は自分の手元を見て金糸雀がぐったりしていることに気付くのでした。
金の金糸雀は憧れていた少年によって、永遠に籠から連れ出されたのでした。
とある金糸雀の話 士田 蚕 @ningentteiina
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。とある金糸雀の話の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます