89 その5 ~ゴロツキの現行犯逮捕(逮捕権無いけどねw?)~
ザックがゴーレムたちに乱暴を働いた者たちの処分を嘆願しに出向いたが…証拠が無いということで却下された。
仕方が無いので、消極的対応を取るザック。要は…ゴーレム娘たちの防御力を向上させる為に…御守りのアクセを創造して配布したのだ。
使い捨てなので1度でも効果を発揮したアクセは装備せずに新しい物を申請して受け取ってくれと通達。使用済みのアクセは魔力を失うと後も残さずに塵と化すので今はまだ形が残っていても、いずれは消失してしまうのだ…(攻撃を受けなくとも、徐々に魔力を消耗して消える仕様)
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- 事件勃発 -
「戻っていない?」
「…はい」
「何時からだ?」
「昨夜、帰還したと思ったのですが…交代の時間が来ても現れないので確認した所、戻ってないと…」
「誰が戻ってないかわかるか?」
「
「ゼロスリーナンバー…マウンテリバーの子たちか…」
「はい…」
尚、ゼロフォーナンバーはサンドフィールド・ドライールド産でサンセスタの子たちである。サンセスタ帰りの子たちはマウンテリバーの子たちより強靭で、その辺の冒険者より強い為か襲われることは余り無いらしい(というか返り討ちに遭い、「乱暴されそうになった」と突き出されることが多いっていう…(何やってんだ、冒険者のゴロツキ共は…))
「だが、御守りを渡してからはこーいったことは減ったと思ったんだが…まぁ、未だに悪さしてる連中も居るのは確かだけど…」
「…ですね」
レムも同意するが、酷く落ち込んでいるリーダー格が報告を終えて下がろうとすると、
「まぁ待て。君も疲れてるだろう?…そこで寝て行くといい」
と、肩に手を添えてエスコートしようと思ったが…微妙に手が届かなくて、代わりにレムにエスコートして貰った。助かるよ、ホントウニ…
「マスターも寝るぅ?」
ニシシ…と悪戯笑いのシャーリーに、抱き枕のように飛びついて抱っこし、
「少し寝てくる…」
と、不貞寝を決め込むザックであった…w
「えっ!?…いや、冗談だってば、ま、マスターぁっ!?」
ジタバタするシャーリーだが…やがて部屋のドアが閉まり、静かになる。
「…アホだねぇ~…シャーリーも」
ナルは独り呟き、書類仕事を黙々と続けるのだった…。勿論、リーダーゴーレム娘とザックの入っていった部屋は別であるw(ザックは自室。ゴーレム娘は客間で離れてます)
・
・
「マスター…起きてぇ~?」
「む…もう1時間経ったか?」
「うん、ついさっきね」
「魔力は…まぁ必要程度には回復したか」
実は御守りアクセの増産をしていたせいで魔力が余り残ってなかった為、昼寝して回復していたのだ。シャーリーが添い寝を買って出てくれたので一緒に寝て貰っていたのもあるし、目覚まし役も頼んだのだ。矢張りちょっかいを出す冒険者やゴロツキが居なくなる訳でもなく、そこそこ消耗していたせいで予備を増産していた…という訳だ。
「さて…と」
考える。戻って来ていない子たちは2名。仕事を終えて帰宅途中に拉致られたという線が濃厚だろう。与えた御守りアクセは攻撃を無効化、或いは減衰はするが…一定時間が経過すると魔力を失い消失してしまう。イコール…魔力を失うまで攻撃を続行すればその効果を失い、後は好きにできてしまうということだ。
「つまり、大勢で囲って逃げられなくしてから
(見た目も少女で虐め易いのも問題があるのか…)
大勢のゴーレムを生産するに当たって、子供タイプでは身長が足りなく頼りないというのも心理的にマイナスだが…少女タイプだとまだ頼りなく感じるが一応成人した年齢に到達した女性ということもあるし、何より製造コストが大人の大きさより少なくて済むのもある。ベースとなる素材は土だが(コアは例の砂だけど)流石にあちこちの地面に大穴開ける訳にはいかなかった…為、見た目麗しい?…少女型になった訳だ。
「という訳で、攫われたイワンとロゼの容姿を確認したら、探索宜しく、シャーリー」
「はーい…任されました!」
という訳で、抱き枕となっていたシャーリーが部屋を出ようとすると、
「「「きゃーっ!?」」」
開けたドアからどさどさどさと…聞き耳を立てていたであろうゴーレム娘たちが倒れてきた…
「何やってんの?」
シャーリーが呆れて尋ねると、
「「「しっ!…失礼しましたぁ~っ!?」」」
と、慌てて立ち上がり、謝罪をして駆け出す…
「あはは…何してるのか気になったんじゃない?」
ザックは苦笑いをしつつ、そんなことを零すと…
「…はぁ。はいはい、そういうことにしときます」
と呆れて物もいえないと、シャーリーは飛び立つ。
(シャーリーと僕が寝ててもナニができる訳ないじゃない…)
ザックははぁと溜息をひとつ。次のプランを練るのだった。
- マウンテリバー某所 -
「くそがっ!」
どがっ!
「ぐぅ…」
蹴りつけられた少女の姿をした影が衝撃で呻き声を出し…その蹴りでとうとう限界を迎えた腕が折れ飛び…その腕で庇っていた腹にヒビが入る…
「おいおい?…修復不能な傷を付けたら庇いきれないからよぉ?」
「へへっ…わかってますよ。でもよぉ…こいつ!」
どがっ!
「・・・」
「生意気なんだよ!…人形の癖によぉっ!!」
どがっ!…げしっ!…
「止めて!酷いことしないでっ!!」
「おーおー…お人形の癖に仲間意識あるのかよ?」
「!…止めて!!…ロゼには手を出さな「うるせえ!」ぎゃあっ!!」
喋っている間に顔面を蹴られて…イワンの片目が零れ飛ばされる!
「イワンーッ!!」
「ぐは…」
ぐしゃ
「あらら、お目目が取れちゃってねぇ?」
「ひでーなぁおい。踏み潰すなんざ悪魔かよ?」
「あはははは…俺っちの名前、ディアブルですからねぇ…まぁ通り名ですがぁ?」
「「「ぎゃははは…」」」
取り巻きが一斉に笑い出す。両腕と頭を抑えられた、今は
「…ちっ、うるせえな。おい、誰かこいつの口を封じろ」
「お、おれが!」
「お前か…まぁ任せるが。行為は見えない所でやれよ?」
ディアブルが
「・・・!!」
「…聞こえないとこでヤレつってんのに…誰かもちっと遠くに…おい?」
「へーい…」
2人程出て行き、ようやく叫び声が聞こえなくなった。ドアが閉まったのも大きいかも知れんが。
「さてとぉ…お嬢ちゃん、続きといこうかぁ?」
剣を鞘からすらりと抜き…上段に持ち上げる。
「まずはいっぽぉ~ん!」
すかっ
振り下ろした腕から剣がすっぽ抜けたのか…横たわるゴーレムの腕が斬られることはなかった。
「あれ?…俺の腕…が…あああっ!?」
遅れて、後方から
がちゃん!…
と、金属製の何かが床にぶつかる音と、
べちゃんっ…
と、液体が床に落ちて飛び散るような音が鳴る…
遅れて腕から…切断された腕から広がる…痛みが…
「ぐ…ああああああっ!?」
ディアブルは右腕の付け根を左手で抑えつつ、痛みで絶叫を上げていた…
「だ…誰だっ!?…ディアブルにこんな…おいっ!?」
残ったボスが狼狽え、部下であるゴロツキ共に声を掛けるが…
どさ…どさどさ…どさ…
と、次々と倒れる有象無象。そして…
「う…ぐぅ…」
どさ…どさ…
と倒れるボスとディアブル。
「…忍法窒息の術…なんちゃて♪」
シャーリーの風魔法で真空状態を死ぬ寸前まで生成していたのだった。尚、ディアブルの腕は
「後は…運ぶだけだけど…あたし1人じゃ無理だしな…」
という訳で、応援を頼むシャーリー。尚、外に運ばれたロゼは既に救出している。彼女の口にネジ入れようとしていた汚いフランクフルトは勿論切り刻んであるよ?…2度と使えないように、ね?
世の野郎どもが聞けば震え上がるような台詞を、これもまた震え上がって萎びるような表情でシャーリーが捨て台詞を誰ともなく残していた。意味が無いとわかっていても、いうしかなかったのかも知れない…怖っ!!
・
・
場所は移ってザックの休憩小屋。ゴーレム娘たちからはザック邸と呼ばれているそうだけども…邸宅というには貧相過ぎる。
「先程、探索に出ていたシャーリーの要請を受けて、何人か派遣しました」
「派遣?…もしかして見つかったのか?」
「はい。失踪していた娘たちと、その失踪の原因であるゴロツキたちを確保したそうです」
「そっか…では、戻り次第すぐに「いけません」…何故だ?」
ナルの言葉に我ながら…と思う程の冷たい声が出たなと自覚しつつ、真意を訪ねる。
「こ…今後も同じ被害者を出さないようにする為です」
「…」
(頭ではわかっている。だが…被害者である子たちを苦しみから解放するのはいけないことなのか?)
そんな自問自答を繰り返していると、
「マスターが考えていることはわかっています。ですから…」
一時機能停止処置を施しては如何かと聞くと、
「そ、そうだな。仕方が無い…か」
という訳で、戻って来てからまずは聞き取り調書を取った後に、一時機能停止を施すことにした。無論、破壊箇所が痛み、度々言葉が止まる為に…聞き取り調書に必要な個所以外の機能停止処置をとる羽目になったのだが、それはまた別の話…
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痛みを抑える為に局所麻酔するようなもんか?w
備考:ロゼは破損個所はほぼ皆無(衣類が破けてたくらい)なので普通に調書を取りました。
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