22 その5 ~マウンテリバー、魔族の侵攻を受ける!…その5~
魔族が侵攻。それだけでも衝撃の筈なのに、今回は軍属でもない一般
そしてザックが擁するツーマンアーミーことザンガとサフランだが目立ってはいなかったが影の功労者としてそこそこ活躍していたそうだ。今回はその陰の功労者にスポットを当ててみようと思う…
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- 影の実力s…もとい、功労者たち -
『あれか…ったく、マジモンのモンスタースタンピードかよ…ったくよぉっ!』
ザンガが1人毒付く。
『マスターの命令ですもの…さっさと終わらせて帰還するわよ…
サフランが悪戯めいた声色でザンガに冗談をかます。そして2人はこちらに気付いて接近して来た魔物の群れに対し…揃って強弓を引いて…放つ。そして…
『『
十分に距離を置いた頃合いにコマンドワードを叫ぶと、一瞬にして半径10m程の範囲が
〈〈〈・・・!!〉〉〉
断末魔は爆発の轟音にかき消され…聞こえて来ない。が、元々
『一定範囲は倒したが…これじゃ埒が明かないぞ!?』
『弾は十分以上に受け取っているわ…撃って撃って撃ちまくるわよ!!』
サフランは既にジャケット弾を装着している矢を大量に入れている矢筒を腰に装備し、まとめて3本強弓に装填…そして放った!
『…
ごんごんごんっ!!!
ヘッドギア越しにも聞こえる爆音が響き、腹にも響いて来る。飛翔する魔物の一群を3つの爆裂矢で全て吹き飛ばしたのだ。そしてヘッドギアのアイシールドに何体倒したのかという情報が流れて行く…
『これ、凄いわよねぇ…倒した瞬間に討伐数までわかっちゃうんなんて…』
ゴーレムではあるが単純な動きしかしない一般のゴーレムと違い、人間に限りなく近い思考を擁する思考コアを持つサフランは、何故か高揚感を感じていた。敵を倒せば倒す程に力が高まって行く感じ…まるで、魔物を倒して成長する人のような…
『ちっ…負けてられっかよ!』
ザンガもようやくというか、矢筒にある矢にジャケット弾を全て装着し、装備して…水平に発射する。まるで、どこぞの艦長のように…「ミサイル水平発射!」とは叫ばないが(無論、「弾幕薄いよ、何やってんの!?」ともいう筈が無いw)
『うらぁっ!!!』
ギリギリと強弓の弦を張り、やや斜め上に向かって5本!…の矢を放つ。そのままの勢いで地上を駆けていた幾つかの種類で混成していた集団の中央に着弾する前に、
『…
と叫ぶと、連続爆破の相乗効果で想定していた以上に爆破範囲が広がってしまい、2人は後方へと爆風で後退を余儀なくされてしまう…
『っ…あんた馬鹿ぁ?…こっちに被害が出る所だったじゃないのっ!!』
『ご、ごめん…まさかあそこまでとは思ってなかったわ…』
ギャーギャーと叫ぶサフランに流石に土下座はしてないが手を合わせて謝るザンガ。「そんなにのんきで大丈夫か?」と突っ込みたい所だが、今の攻撃で目前の魔物の群れはほぼ吹っ飛んでおり、すぐには接近はできない有様となっていた。
具体的には…爆破範囲の魔物は即死しているし、爆破の影響圏内の魔物ですら五体満足なモノは存在しなかった。爆風の影響圏内の魔物は軒並み吹き飛ばされており、2人の
尚、2人は念話で会話してるのではなく、ヘッドギアの近距離通信に依って会話をしている。細かい所は創造主であるザックにも良くわかってないが、暗号通信による念話機能を使っている…とのこと。きっと曖昧な所は生活魔法の神さまがいい具合にアレしてコレしてくれてるのだろう…と聞いている(人、それを「ご都合主義」とか「神さまに丸投げ」といふw)
『ちっ…また来やがるかっ!?』
『応戦よっ!!』
『応!』
画して、2人のダークエルフたちは…軍人が着ているような迷彩服を着込んだツーマンアーミーと成り、迫り来る魔物の群れに敢然と戦い、勝利するのだが…その後どうなったかはまた別の物語である…
「いや、ちゃんと勝利したし(ちょっと
「ザンガが私を庇って片腕取れちゃったけどね?(ひゅーひゅー♪)」
※ゴーレムとバレると色々と不味いので(主にダークエルフ陣営に)疑似血液を仕込んでおいたので多分バレてない…と思う。そもそも、前線に居ないから大丈夫だと…思う。多分、きっと…(希望的観測過ぎるw)
…という訳で、大雑把にだけど2人の冒険譚というか活躍の記録は此処まで。基本、ダークエルフ陣営に忍び込んで…というか彼らの兵って扱いでいるんだけど…貰っていて、忠誠?を誓って貰ってはいるけど(神扱いは止めて欲しいんだけど…(苦笑))人ってのは何を切っ掛けに豹変するかわからないしね。擦り減る神経があるかどうかはわからないけど、普段は内偵をして貰っている。所謂、
「何かあったら報せてね!(念話で)」
ってことだ。今の所、何もないみたいで助かるけどね…
- 侵攻後の復興問題 -
…あれから凡そ1週間が経過。
勿論、再侵攻を警戒するのはしてるけど、人の営みは警戒してりゃ勝手に元に戻るって訳でもなく。
「じゃ、後は宜しくね?」
「「「イェス!マイマスター♡!!!」」」
(飛んで来るハートマークが…いや、雪崩のように飛んで来るハートマークがキツイ…)
総勢29体の、元案内役ゴーレム部隊…今は復興用ゴーレム部隊となっているが…が勢揃いし、復興用の建材を満載した馬車に全員乗り込んで行く。無論、6人乗りの馬車に29体も乗れる筈は無い。この馬車が内包する異世界へのゲートを通じて乗り込んで行った訳だ。尚、統括個体の「ナル」は連絡要員としてザックの元に残り、片腕に抱き着いてベタベタしていた…いつものお約束である(苦笑)
「あれ、御者は?」
「中でじゃんけんしてるみたいですよ?」
「あぁ、そういう…」
内部世界で勝ち抜きじゃんけんをしてるそうである。恐らく、内部世界は草原風の世界で奥行きは有限だろうが果てしなく。そして代わり映えのしない景色なので、外を見ることのできる御者が誰か…できればそっちがいい!…ということだろう。
程なく2人の女性型ゴーレムが現れる。1人は御者席へ。1人はカーゴルームに座った。そしてゲートを閉じて扉が閉められる。
「あ~…御者だけでもいいけど、誰か1人、ゲートの操作をする者が居た方がいいもんな…」
「ですね」
そして、御者席と中の女性ゴーレムはザックを見て頭を下げる。ザックは手を上げて応じると、ゴーレム馬に鞭をぱしんと鳴らして馬車は動き始める…
「…これで取り敢えず重要区画の復興がギリギリできるって感じかな…」
「ですね。流石に石造りの建物は元通り…という訳にはいきませんが」
「そうなんだよね…ノースリバーサイドには石切り場とか無かったし…」
石切り場はマウンテリバーの外に…具体的には近場の山の更に奥にある石切り場まで足を延ばす必要がある。普通に荷馬車で運搬するにしても、石切り場から素材の岩を切り出すにしても、コストも時間も掛かることになる…最低でも数箇月の時間は掛かるだろうし、此処まで破壊され尽くした町の建物を復興させるには、天文学的な金銭が掛かることは誰にでも理解できるだろう…
「それに再侵攻するかも知れないし、お金の掛かる本格的な復興は当分無理だろうね…」
「ですね」
ほぼ、相槌が「ですね」な統括個体「ナル」であるが、別にそれが個性という訳ではなく、現在進行形で馬車内異世界で作業している部下ゴーレムたちの監視と指示出し。そして御者とカーゴルームで待機している部下にも事細かな指示を出しているからに他ならない。彼女は内心、
(はぁ…マスターの体面もありますし、何より失敗は許されません。町の復興業務なんて…大きなお役目です。『皆さん、気を入れなおして頑張って下さい!』)
『『『はいリーダー、お任せを!!』』』
…とまぁ、口には出さないが燃えていたのだったw
「じゃ、戻ろうか…色々と提出する書類とか纏めなくちゃいけないし…」
「お手伝いします!」
「あはは…宜しく頼むよ?」
と、仲睦まじく歩く2人。そしてやや後方を…3歩下がって歩く良妻みたいな立ち位置に見せたレムと、その頭の上に座ったシャーリーがw
『新米だからと甘く見てたらいつの間に…』
レムから暗黒なオーラが湧き出て纏わりついている!w
『だからいったじゃん…ぼやぼやしてると取られるってっ!』
そしてその頭の上で面白いことになったなと囃すシャーリー!w
その念話をキャッチしてた
『何かマスターの周辺がきな臭いんだが…放っといていいのか?』
『ほっときなよ。本格的にヤバくなったら、
と、心配するザンガに我関せずなサフランだったw
熱きパトスを内包するコアを持つ、無機質な体を持ったゴーレムたちのマスターを巡る物語は、まだ終わらない…って、そんなお話だったっけ?(ちょっ!w)
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あくまで生活魔法(ちょっと特殊)を扱う主人公の物語の筈…w(底辺ではなくなったけどね!)
備考:先鋒戦が終了し、とりま生活できるようにと復興開始のマウンテリバー。石造りの本格的な建物は当分無理の予定です(再侵攻があれば(無いに越したことはないですが)破壊されるのは目に見えてるので、壊されても再建が用意な
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