09 その5 ~神(ザック)降臨!(違うわ!)~
第5階層へとつながる階段通路の出口にひしめき合っていたのはモンスタースタンピードで集結していた魔物たちだった!気付けば魔物の侵入を防ぐ障壁は弾け飛び、10数体の魔物たちが侵入を果たす!…が、ザックたちの活躍で土壁で更なる侵入を防ぎ、残る魔物をレムの華麗な蹴撃で壁の染みへとジョブチェンジを余儀なくされていたのだったが…次の瞬間、新たな障壁として機能していた土壁が破壊されてしまう…屈強なオーガたちだ。だが、新たな力で前衛のオーガ共も駆逐し、出入口の外に出て魔物の群れを蹂躙開始するザックたちであった!
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- 言葉が通じるのと話しが通じるのとでは次元が違うらしい… -
「マスター!…言葉が通じそうなのを除いて全部駆逐完了です!!」
シャーリーが「やり遂げた!」というような爽やかな笑顔で報告してくるが…背後にはダンジョン産の魔物以外…死体がその場に残り続けるダンジョン外の魔物が一杯だった!(様々な種族の死体で様々な色の血の色と臭いで、思わず吐きそうなのを懸命に堪えるザック…どんまい!w)
「だ、大丈夫ですか?マスター…」
レムが顔の色が悪いとみて心配そうに訊いて来るが…
「だ、大丈夫。ちょっと待っててね…」
と、ストレージにある例の砂をストレージ内の錬金魔方陣にセットして繊維に物質変換。そこから布を縫製してマスクのような物を創造する。最後に毒や強烈な臭気を防ぐ防護魔法を施して完成させた。
「よっと…これで善し!」
顔にマスクを装着したザックは、ようやく普通に息ができると胸を撫で下ろした。これは特別性で、粘膜でもある目にも刺激臭が流れてきても無効化する機能も備わっている。尤も、某神さまの創造し与えられた進化したザックの目には、毒も臭気も問題無いのだが…要は気持ちの問題だろう(苦笑)
・
・
「さて…と」
生き残っている人型で会話する言語を持つ種族…ダークエルフたちが近付いて来るザックたちを見て敵意を隠さずに威嚇してくる!
「お前たちに話す言葉なぞ持たん!」
「この魔族どもめ!!」
「くっ…殺せ!」
などと、比較的マシな台詞だけでも敵意満々な…あ、最後のは女性騎士っぽい見た目のダークエルフさんです。鎧でよくわかりませんが、胸部装甲の膨らみからして結構な持ち物っぽくて…普通、人間の女性騎士が放つ台詞じゃないかな?…知らんけどw
「…で、言葉は理解できるんだけど、会話が成立すんの?これ…」
「えーと、まぁ…」
「話せるのしか残してないからねぇ…意外とぶち殺した連中の方が話しが通じてたかも?」
レムがいい淀み、シャーリーがタハハ~…というノリで感想を述べている。成程…言葉は通じるけど話しが通じないとはこのことか…
「まぁ、
考え方が違うとそうなるらしい…と、ザックは理解しているが、相手をするのも疲れる人種ということではダークエルフたちでも似たようなものだろう。
「…どうします?」
「友好的じゃないのは
レムとシャーリーがダークエルフたちの罵倒を受けてザックに今後の処遇を訊いてくる。
「「「なっ…!?」」」
シャーリーの「
「…その、宜しいでしょうか?」
とおずおずと手を挙げて言葉を発する者が1人。
「お嬢様っ!?」
「なりませんっ!…このような下賤な者に「黙れ」ぐっ…」
ちなみに、台詞を止めたのは地の底から響くようなドスの効いた声のレムだ…はっきりいって、真横に居たザックやシャーリーもビビっていたのは内緒だっ!w(チラリとレムを見たら、目からハイライトが消えていたので慌てて視線をダークエルフに戻したのも内緒だw)
「ではどうぞ…」
レムが先を促すが、怖くて顔を見れないザックとシャーリーだった!ww
- ダークエルフの皇女さま -
「恐れ入ります…。私の名はダークエルフ族の
そして、
「名前が長いと思われましたら、リコとお呼びください」
といい、再び短くお辞儀をするのだった。
・
・
「で?」
何かいいたくて前へ進み出たのはわかる。が、レムの対応は冷たかった。怜悧な刃先を突き刺すような視線の先のリコが少々怯んだが、意を決して言葉を発する。
「我々は言葉が通じます。そして言葉を理解する知性も兼ね備えています…」
「さっきは「お前たちに話す言葉なぞ持たん!」とか、「この魔族どもめ!!」とか叫んでたのにねぇ…どっちが魔族だってのよ…」
シャーリーの聞こえるか聞こえないかの悪態は、耳の長いダークエルフたちには届いたらしく、いい返したいが口に出せず我慢している様がありありと見えている。
「…人族って魔族なの?」
「いえ…悪魔みたいな種族の俗称では?」
ザックとレムがひそひそ話をしていると、
「…先程は我が種族の者が失礼をしました」
と、
「2度とそのような言葉を口にせぬよう…」
手を挙げるリコに目前に引っ立てられる暴言を吐いたと思われる若者が2人。既に言葉になってない声をあげて泣き叫んでいる。そこにザックが割り込んで質問をする。
「えっと…失礼ですが何をするんですか?」
「「「…」」」
途端、険しい視線がザックに集中する。
「処刑します。今後の憂いを絶つ為にも…」
「うわぁ…」とシャーリーが背後…いや頭上で声を上げている。レムはうんうんと頷いている。いや非情過ぎるだろう!…尚、ダークエルフの面々は何とも形容し難い表情をしている。悲しいような、険しいような…そんな表情だ。
「えっと…それは確定事項、ですか?」
戸惑いながらザックが問うと、
「いえ…その、貴方さまが
と口籠るリコ。内心では助けて欲しい…そんな気配を一瞬見せるが、ザックが動かない所を見ると意を決して右腕を下げようと動かす…が、その右腕は動くことはなかった。
「大丈夫です。折角の命を絶つことは…」
リコの腕を下ろすと同時にリコの前に現れたザックはその腕を止めていた。
「ですが…」
まだ若いダークエルフの皇女リコが頬と耳を赤く染め、いい淀む。
「貴様ぁっ!…我らが皇女様に触れるなど!!」
声を荒げてザックに斬り掛かろうとするダークエルフの若者がいきり立ち、腰に佩いた剣を抜き放って飛び掛かろうとするも、周囲に跪いていた他のダークエルフたちが飛び掛かって圧し潰す。手にしていた剣は蹴り払われて数m離れた地面に転がって行く…
「はぁ…血の気が多いですね。貴方たちは…」
「えぇ、まぁ、戦闘部族とも
視線が痛くなってきた為、ザックはリコの腕を離して苦笑いをしながら大勢のダークエルフたちに圧し潰されている剣で斬り掛かって来た青年を見据える…尤も、青年といってもエルフの一族である彼はザックの数倍を生きてるだろう(見たままの年齢であっても、何歳か年上だろう…)
・
・
「先程はまたしても我らの者の無礼、大変失礼…」
「いえ、大丈夫です。他の方々は機会があれば襲って来るような無礼な方は居ないようなので…」
ちなみに、そんな危険がありそうな人は手渡した土ロープで手足を縛って貰っている。当人の魔力を用いて、改心しない限り半永久的に縛る特別製だ(ザックへの敵意に反応して拘束する物で、本人の前まで持って行けば勝手に拘束してくれる)…結局、追加で8人程が拘束放置プレイに興じている状態だ(苦笑)
「…あ、あの状況だと飲食と排泄ができないので」
「捕虜の扱いについては
「あはは…捕虜、ね…」
だったらと捕虜用の檻付きの台車を2つとそれらを曳くゴーレム馬を創造する。檻には出入り用の扉もあり、自動で飲み水が溜まる床に設置した水桶と排泄用のトイレもある。土ロープは全員が中に入れば首の周りに巻き付き、魔法発動の阻害機能を追加して動作するように予約しておいた。これでお得意の魔法が発動させることができず、脱走も困難となるだろう…おまけの機能として、大声は出せないように声帯にも障害を発生させる機能も付けておいた(ひでぇw)
「「「…」」」
そこまでやってから周囲が
しん…
と、静かになっていることに気付くザック。
「あれ…どうかしましたか?」
目の前に檻とゴーレム馬が地面から現れて腰を抜かしているやや年を召したダークエルフたち。ザックがほぼ無詠唱でそれらを創造した場を目の当たりにして驚愕しているダークエルフたち。そして…
「かみ、さま?」
こてん、と首を傾げて呟くリコ。
「え?…いやいや、僕はそんな高尚な者じゃないよ?」
だが、うるうると目を潤ませ、一直線に見詰めるリコに動揺するザック。慌てて神さまなんて天上の存在ではないと否定するが…
「おお…神よ!」
「お~まいがっ!」
「神は我々の目前に!!」
いや…何処の宗教団体だよ…と思いつつ、レムに目を向けると…
ふるふる…
と、打つ手無しと頭を左右に振るレム。そしてその頭上に乗っていたシャーリーが
「きゃははははっ!」
と大笑いして腹を抱えてレムの頭上で器用に転げていた…
「くっそ…後で目にもの見せてやるかんな?」
とは思うものの、何故か神さまに祭りあげられたザックは、ダークエルフたちの扱いをどうしたもんかと悩ませるのだった…
(まずは誤解を解かないとなぁ~…)
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生産系の魔法とか持ってないのかも?>魔族陣営
備考:変化無いので省略
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