10 その6 ~精鋭!ダークエルフ軍団~

死体にダークエルフが混じっていたことにより、「知性のある言葉が通じる者が居る」可能性を端から捨てていたことに気付き、とりあえず会話が通じそうな者を除いて排除するザックたち。だが…「言葉は通じるが話が通じない」者が大多数だった!…だが、その中で初めての話が通じそうな個人が現れる…それはダークエルフ皇女だった!そして何故か神として持ち上げられるザック。

ザック  「え?何でこうなったっ!?」

レム   「さぁ?…でもいいと思います!」

シャーリー「きゃはははは!」

何故かハイテンションのシャーリー(どーしてそうなのかは前話をどうぞ!w(大して書いてないけど))

━━━━━━━━━━━━━━━


- ダークエルフ軍団vsザック -


「いや、神さまじゃないからっ!」


というも、ザックを神に祭り上げるダークエルフたち。


「おおお!我らが神よ!!」


「おーまいがーっ!」


「神がご降臨なされたっ!!」


と、似たようなセリフを連呼するダークエルフたち。尤も、皇女こうじょたる「ジェリコ=ダ=クェルフ」は戸惑った表情をしつつ、


「本当に、か…かみさま、なんですか?」


と、小声で訊いてくる始末。


「いや、だから違うんですってば!」


片や神さま連呼攻撃。片や神さまじゃないと否定連呼攻撃の応酬に混乱するのだった…


「…まぁ、あたしらにとっては神同然だけどね…」


「生みの神様…という意味ですけどね?w」


シャーリーとレムはマイペースにそんな応酬を冷めた目でみていたのであった!w



- 餅突けおまいら!(お前がなぁ~) -


大混乱を極めた中、


ずどぉぉおおんっっ!!!


と、大地震の如き地響きがあり、轟雷の如き耳をつんざく音が響き渡る…


しん…


耳が痛くなる程の静けさが広がる中、全員の視線の先に片足を地面にめり込ませたレムが居た。足元には半径10m程のクレーターができており、中央のレムの居る場所は1m近く凹んでいたのだった…


「…お静かにして下さいね?」


表情は笑顔だが目が笑ってなく瞳からハイライトが消え去ったレムに、ダークエルフたちが全員慌てて正座して平伏する。


「もももも、申し訳ありません!…えっと…神さまの奥様でいらっしゃいますか?」


代表して謝罪をし、とんでもない質問をぶちかますダークエルフおやぢ。


「え…わんすもあぷりぃず?」


「えと…神さまの奥様で?…と」


といった途端に黄色い声を発するレム。それまでの態度から豹変し、甘目の声色で


「いえ!そそそ、そんな者じゃありませんよ!…おおお、奥様だなんてっ!!」


と、意外とお嫁さん願望でもあったのか奥様と呼ばれて満更でもなくきゃーきゃーとはしゃいでいるという…


「…け」


シャーリーがクソ面白くないとザックの頭の上で寝っ転がって腐っていたw


「お~い…餅突け…じゃない。落ち着け、おまいら!」


ザックがレムと煽られた形で浮足立っているダークエルフ(♀)たちに落ち着かせる為に叫ぶが、全然効果は無かったのだった…orz



- 取り敢えず、マロン探索に出発だ! -


「ふむ…神さまはお仲間を探しにダンジョンに来たと…」


数10分を掛けて、ダークエルフ(♂)たちと一緒に女性陣を落ち着かせて、ようやく落ち着いて会話が開始され始めた。取り敢えずザックたちの目的を話した所だ。


「まぁ…な」


「では、あのモンスタースタンピードに巻き込まれてるやも知れませんな…」


ふむ、と考え込む仕草で顎に手をやるダークエルフおやぢ。薄い顎髭がエルフ種族っぽい。ちなみに現地点は第4階層からの階段通路からやや離れた、序盤も序盤の地点である。ザックは広域探知を発動させて生命反応を探ると…


「あ、居た」


魔力反応の高い円形の中心部に生命反応の光点が見える。場所は少々離れた所…第5階層の中央部からやや離れた場所を示していた。


「居た…とは?」


先程から代表してザックと会話しているおやぢが訊いてくる。


「え?…あぁ、まぁ…知ってる人じゃないし、まぁいっかな。実は…」


と広域探知のことを説明する。最後に、「いい触らさないと思わないが他には内密に」と、口止めをしてからだが…


「おお!…素晴らしい!…流石は我らが神ですなっ!!」


と、再び持ち上げられて閉口するザックであった…どんまい?w



- ダークエルフ族、いつの間にかザックに隷属す… -


「第1部隊、我が神の護衛に付け!」


「「「はっ!!!」」」


「第2部隊、この場の確保に集中せよ!」


「「「はっ!!!」」」


「第3部隊、周辺警邏に付け!」


「「「はっ!!!」」」


他にも第4~第6までの部隊が居たそうだが、先行していた為に…いや、不幸な事故だったと思うしかないか…


「我が神」


「いや、それやめて?…せめて、ザックとかザックさんとか…」


「では、我が君」


「それ、王様とかの扱いだよね?」


とかなんとか、おやぢなダークエルフとのやり取りの後、結局「若」という呼び名に落ち着いた…何処のヤーさんの若頭かっ!?…と思わないでもない。


「若…いえ、旦那様」


「リコさん?」


「はい、旦那様!」


頬と耳を赤く染めた、さっきまでじっと黙って様子を見守っていたダークエルフ皇女さまがとんでも発言をしてどびっくりするザックw


「な、何で「旦那様」呼び!?」


「え…でも、お父様が「若」って…」


「お、おとう、さま?」


つつ~~と視線をずらすと各部隊に指示を飛ばしていた先程のおやじがこちらに気付き、ニカッといい笑顔にキランと白い歯を光らせていた。


「おとうさま…ってことは、リコさんは皇女さまで…ひょっとして…」


「えぇ、ダークエルフ帝国の「ジェンドゥ=ダ=クェルフ・第13代皇帝」です」


ノリが軽いし見た目も何処ぞのおっさんみたいで、最初は信じられないってよくいわれております…と誰得な情報も追加されるがザックはそれどころじゃなかった!w


「ていおうって…おうさま?」


「そうともいえますね」


それが本当ならば…いや、皇女本人の口から出た言葉だ。本当なのだろう…現にダークエルフたちに直接指示を出しているのもその立場あってこそだろう。此処にいる全てが帝国国民ではなく、戦闘部隊の一部なのだろうが…全権を持っている将軍か帝王でなければまとめての指示出しは難しいと思う。


(何でそんなやんごとなきお方がこんな所に…)


ダークエルフ族が魔族の尖兵として動いていることにも驚きだが皇族が同行していることにも驚きだ。だが、人類側に立っている者としては色々と情報を聞き出せるかも知れない。



「若」


「あ、えーと…」


「第1部隊を任せられている「ワイズマン」と申します。以後、お見知りおきを!」


背後から話し掛けられたが人族のザックからすれば似たような体形のダークエルフの見分けなど付かない。すぐに自己紹介して貰えたのは助かるといえば助かるが…


(若呼びって未だに慣れないな…)


ちなみにリコ皇女は最初に遭遇した位置に拠点を構築してそこに留まっているらしい。第2・第3部隊が残っているのはその警護の為だろう。だが、一番強い第1部隊はザックの警護の為に派遣した訳だが…


「目標までどの程度時間が掛かるでしょうか?」


「あ、うん…」


そういえば時間優先で出て来たので詳細は話してなかったなと思うザック。此処は少し時間を割いて説明した方がいいだろうとやや広めのテーブルを構築して地図用の大きい紙を広げて探知で得た情報を紙の上に重ねてトレースしつつ書き出す…驚きの声が聞こえてくるが取り敢えずスルーしつつ、ペンを走らせるザック。



「現在地が此処。で、目標地点は此処だよ」


ペンで現在地と目標地点の位置にマーキングしていく。


「距離にして大体30分くらい?…途中に邪魔が現れなければね」


ザックと従者ゴーレムの3人だけならもっと短い時間で踏破できる距離だが…現在はダークエルフ第1部隊という大人数が居る為に移動には時間が掛かる。大勢の目が周囲を監視しているので安全ではあるが、どうしても移動に時間は掛かってしまうのだ。


「ワイズマン隊長…」


そうこうしてる内に、部隊内でも瞬足を誇る1人がワイズマンに近寄って何か囁いている。


「わかった。下がって宜しい」


「はっ!」


さささと下がっていく斥候の1人は気付けば気配も感じさせずに視界から消えていた。ダークエルフは隠密にも強いようだ…うっかり敵対すれば毎日が心休まらない日々が続くだろう…


「えっと?」


ワイズマン隊長に何かあったのかと訊くと、


「先程の地図の目標地点を偵察して参りました。確かに結界が張られてるようです…」


と返って来た。何それ…ついさっき見せたばっかだよね?


「えと…」


「我らが精鋭に掛かればこの程度、問題ありません!」


早過ぎでしょ!?…といおうとしたら先回りして言葉を封じられるザック。


「あ、えーと、スゴイデスネ?」


としか返せないのだった…(苦笑)



- マロン爆睡地点 -


「お、居た居た…」


異変を感じてから大体数時間が経過。過労に依り寝てしまったとすれば、まだ回復してないだろうと推測していたが…矢張りマロンはへそ天で爆睡中だった。渡していた簡易結界符は簡易だけに外側から丸見えであり、指定された時間だけ結界を維持する構造となっており、自動的に解除するか外側から強制的に解除(物理で殴っても魔法で吹き飛ばしても、周囲の地形が変わる程度の強い力で殴るか吹き飛ばさない限りは影響は無い)しない限りはそのままだ。


「あ~…取り敢えず、周囲の魔物を排除しようか」


「「「御意」」」


ばばばっ!…と散らばって行き、布陣を構築するダークエルフの戦士たち。ザックとしてはそんなものは聞いてないので、


(あ~…何か隊列を組んで準備してる?)


としかわからなかったが、次の瞬間…


どぉん!


どどどどど…


ぶしゅう~~~っ!


と、射出型の攻撃魔法が一斉に放たれる。火属性、土属性、水属性と思われる射出型の攻撃魔法や、火属性では範囲攻撃魔法がばら撒かれていた…流石にエルフ族と違い、火属性魔法が苦手…ということはないらしい。


※噂ではあるが、森の住民のエルフ族は木々を害する可能性が高い火属性魔法は苦手な者が多い、らしい。全く使えない訳ではないが親が敢えて教えない…ということもあるとか。



「おお…あっという間だな…」


「うん。数が多いとあっという間だねぇ~」


ザックが素直な感想を口にし、シャーリーも同意する。レムは黙っていたが僅かに頷いている所から一応は同意ということらしい。


「どうですか、若!」


「あ、うん、まぁ…凄いね?」


にこやかな笑顔で成果を褒めて欲しそうにこちらを向くワイズマン。子供っぽい行動で名前負けしてるなと思いつつも、取り敢えず褒めるザックに益々得意げな表情で前を向く…まぁ、神と皇帝が跪くような相手に褒められて浮足立つのは無理もないのかも知れないが…見た目は子供のザックであった!(成人年齢に達してるけどもっ!w)



「若。死体はどうしますか?」


「あ~…状態がいいのは此処に持って来てくれる?何かに使えるかも知れないし。後、状態が悪くても素材が取れるなら欲しいかな…ドロップ品もね。他は埋めるなり何なり好きにしていいよ」


「御意…おい!」


集まっていた他の面子が


「「「はっ!」」」


と、一斉に散らばって行き…暫くすると目の前に死体とアイテム類がしっかりと仕分けされてどんどん溜まっていく…


「若。アイテムボックスなどに仕舞わないと大変なことになりますが?」


と、ワイズマンに突っ込まれて「はっ!?」と我に返るザック。内心、


(こんなに楽して素材を入手してもいいのだろうか?)


などとニヨニヨしてたのだが…勿論、表情には出さずにだ!w


「あ、うん。じゃあ…」


右手を前に押し出して(収納!)と思いながらどんどん収納していく。指輪型のストレージはやや離れた位置からも収納可能の為、わざわざ手を触れる必要はない。アイテムボックス機能の付いている袋などは収容する物に触れる程近付けないと収容できない。つまり、ザックが使用している収納マジックアイテムは…


「ストレージ…!?」


と、ドヨドヨと何回目かの驚愕の声が控えめにだが響いていた。まさに、「俺、何かやっちゃいました?」状態なのだが、収納に集中していたザックは気付いてなかったのだった!w


━━━━━━━━━━━━━━━

一人称が僕なので、「僕、何かやっちゃいました?」だろうと思うがあんま差は無い事実w



備考:変化無いので省略

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