48 その16

屋敷で昼飯を食べた後、石橋へと向かうザックたち。後始末を忘れた結果の一部崩れ掛けた土壁を見てorzする。気を取り直して撤去した後、石橋も補強しようと再生を掛けた後に強化する。そして魔物・魔族たちが侵入した時の対策として石橋に魔法陣を仕込むのだった。その後、トレハンチームのおネーサンたちと遭遇するが、貸与した魔法の弓矢をロストした謝罪に誠意が見られない為、少し危機感を煽ってみた結果…探索者ギルド経由で奴隷ではないが実質借金奴隷扱いで送り込まれたのだった…

ザック   「これ以上奴隷は必要無いのに!?」

シャロンたち「お願い見捨てないで!…このままじゃ鉱山送りになっちゃうっ!!」

━━━━━━━━━━━━━━━


- 今度は逆順に最外壁を修復するぞっと… -


トレハンチームのお姉さんたちは昨日と同じ仕事をするってことで指示を出しておいた。つまり、ノースリバーサイド内を巡回して異常があれば知らせに戻ってきて待機組に対処して貰う…といったお仕事を続けて貰う訳だ。本人たちに殲滅力が無い為だが、貸与した魔法の弓矢を自身のミスで失った訳だから…改めて創って貸せばいいだろうと思うが、それでは反省しない可能性もあるので敢えて放置スルーの方向で。一応、回復薬ポーションくらいは1本づつ与えたけどね…劣化版複製品の奴だけど。


※急いでコピーしたので効果維持期間が数日くらいしかなく、効果もHPポーションの半分くらい。初級ポーションよりは効果が高いっていう代物。



「さて、石橋まで行くか…」


チャリオットに乗ってレムの操作の元、かっぽかっぽと進むザックたち。シャーリーはやや上空でチャリオットを追いかけながら周囲を索敵している。


『あ…』


シャーリーが思わずといった感じで声を漏らす。


『どした?』


念話で訊き返すザック。


『石橋の向こう側にメイドたちの荷馬車が…こちら側に雑魚魔物が数体…』


『あ~…了解』


要は討ち漏らしがあったようで、石橋を挟んで使用人たちの馬車と魔物たちが遭遇エンカウントしていたらしい。


「う~ん…」


目を凝らして見れば、石橋の中央寄り向こうマウンテリバーサイド側で荷馬車は立ち止まっており、魔物たちは石橋中央の魔法陣の効果でこちらノースリバーサイド側寄りでうろうろしているのがわかる。


「折角再生した石橋の上で戦闘するのも何だしなぁ…」


取り敢えずチャリオットを降りながら呟く。


「じゃ、おびき出す?」


シャーリーが降りて来ながら意見具申する。


「ん~…じゃ、頼めるかい?」


「さー、いえっさー!」


ビシッ!…と敬礼したシャーリーが、次の瞬間には風を纏いながら突進して行く。ザックはその様子を見ているが別にぼ~っとしてる訳ではない。魔物たちが石橋をこちら側に渡り切ったタイミングで土壁で囲おうとタイミングを見計らっているのだ。


「…今だ!」


突進してったシャーリーが魔物たちの気を引いた後、Uターンしてこちらに向かって来て…それに気付いた魔物たちが何やら怒鳴りながらこちらに向かいだして石橋から全員離れたタイミングを見計らって囲うように土壁を生成する。


ずもももも…


取り敢えず魔物たちの周囲を4枚のデフォルト土壁を生成。


ずもももも…ぴしっ


続いて内外を囲うように土壁を追加して一体化させる。これで通常の3倍は強い土壁の出来上がりだ!


「お見事!」


「まぁな…さて、ラスト!」


土壁ので囲ったのはいつものゴブリン・コボルド・オークの他にウルフ・オーガも含まれていた。好戦的な彼らはいきなり囲まれた土壁にムカついたのか殴打するか手に持った武器をがんがんと殴りつけているが一向に崩れる様子を見せない。ウルフはジャンプして飛び越えようとしているが返しが付いている土壁に阻まれて飛び越せていないでいる。そこへザックの「ラスト!」という言葉に開いていた土壁が徐々に塞がっていく…


〈ぐるる…〉


オーガが唸るがビクともしない土壁に困惑していた。その内に土壁の中は闇に閉ざされる…元々暗視能力のある魔物たちは闇に閉ざされようとも問題はない。だが、閉ざされてしまったこの中に魔法攻撃をぶち込まれれば、然して広くない空間だ。被害は甚大となるだろう。だが、閉ざされたということは外からも攻撃は加えられない筈だ。オーガはニヤリと口角を歪ませると、後は根競べだとばかりに座り込むことにした。



「元気だねぇ…」


土壁の中に封じ込めた魔物たちは、未だに元気に殴ったり体当たりしたりと活発に活動しているようだ。石橋の向こう側に居た、マウンテリバーサイドに買い出しに出ていた使用人メイドたちにはシャーリーに頼んで「もう大丈夫だから」と伝えて屋敷へと帰還して貰っている。念の為に屋敷までガードして貰ったのだが既に戻って来ている。


「あぁ…だが、直に動けなくなるだろ…多分な」


「え、何で?」


「見てみ?」


そういって土壁を見ていると…天井付近から水がちょろちょろと零れているのがわかる。


「…水?」


「あぁ」


「ひょっとして…水攻め?」


「ぴんぽーん♪」


シャーリーと僕がそんなやり取りをしている間、レムは御者席でお眠のようだ。まぁ、特に問題は発生せず…周囲にも魔物の反応が無いので当然といえば当然だろうか?


どごぉぉんっ!


一際大きく響き渡る音と共に土壁が震えている。実は先程から…水が零れる前から響いていたのだが、段々とそれも弱弱しくなっていく。恐らくは閉じ込めたオーガの打撃攻撃だろう。閉じ込めた魔物の中では一番タフで攻撃力も高いのだが、水攻めに気付いて慌てて土壁をぶち破ろうとしたのだろうが…


「ふんっ…気付くのが遅い」


どうせやるならまだ天井が空いている内に軽量の他の魔物を投げるなりして外に出し、術者の僕を攻撃させて土壁を解除させるのが一番だったのだが…下手に腕に自信があったのか動かずに貴重な時間を無駄にした結果…命を落とすこととなった訳だ。


「ふわぁ…終わった?」


レムが起きて来て開口一番の台詞がそれだった。と同時に抵抗の殴打音も静かになり、1分程様子を見てから土壁を解除するとドロップ品が流れて来た。


「じゃ、回収してっと…お待たせ」


「ん…じゃ時計回り?」


「そっそ。宜しくね」


「じゃ、索敵に出るね!」


シャーリーはそういうとザックの頭上に飛びあがり、そのまま索敵に出る。レムとザックはチャリオットに乗り込み、ゆっくりと石橋の…向かって右側へと移動を開始する。


かっぽかっぽ…


戦闘馬車という割にはのんびりとした歩みで進む。天気は然程良くはなく、雲が出ているが暗いという程ではない。時折吹く風も肌に心地良いが北を見ればやや暗雲が垂れ込めて来てるだろうか…何かの予兆とも取れるがザックには予言とか未来視などのスキルは生憎と持ち合わせていない。


(…雨は降らないと思うけど)


余りいい気がしないなと思いながら視線を前へと戻すザックであった。



- トレハンチームサイド -


本日付けで準奴隷扱いでザック…否、主たるザック氏の配下に加わったトレジャーハントチーム、リーダーシャロン以下4名は屋敷の中で執事のコナンの前で書類を受け取っていた。


「では、この書類に名前をお書きください」


「うう…」


「何か?」


「あ、いえ…はい」


シャロンが代表して書類を受け取り、後ろに並んでいる部下3人に配って用意されていたテーブルに着く。暫し書類に記載されていた文面を読み、不明な箇所を質問してコナンの淡々とした説明を受けること凡そ30分後…


「あの…」


「何か?」


「これって…」


再びシャロンが代表として質問する。


「ごく普通の…いや普通っても変ですが…」


「えぇ、このお屋敷の私兵の契約書、ですね」


所謂、屋敷の護衛の為の私兵の契約書となる。それも、かなり緩い方の…内容的には現在やってることと大した違いはない。せいぜい、屋敷に1名を常駐させるか全員で巡回警備してるかの違いしかない。装備は貸与させる為に1名欠けた状態でも問題は無くなるだろうし、改めて現状の装備品よりグレードが上の物を貸与して貰えるので安心感は半端ないだろう。敢えていうとすれば…


「いうまでもないですが…貸与する装備品の転売は厳禁です。尤も、そんな気を起こせば…」


「あ、いえ。承知しております…」


以前借りた魔法の弓矢が原因でこうなっている訳だ。今回借りることができる品々はノースリバーサイドから出ても失うことはないそうだが、追跡の魔法が掛かっているそうで売却すれば装備してた者と買い取った者、双方にナニかが・・・・起こるらしい。そのナニかは聞くことはできなかったが…少なくとも死んだ方がマシ・・・・・・・と思うようなバチが当たるようだ。


「…ではこれを」


コナン執事がシャロンたちに促すと、彼女たちは観念したかのような表情で契約書にサインを書き込んだ(ペンとインクはテーブルに用意してあった)


さらさらさら…


無言で書いていた為に食堂は不自然な程に静かな中、ペンの走る音のみが響いている。そして全員が手を止めた…どうやら自身の名前を…サインを書き終えたようだ。


「では、回収します」


コナンが1枚1枚、手に取って中身を確認しながら回収しながら歩く。そして全てを確認し終え、シャロンの元へと歩きこう告げた。


「…経緯はどうであれ、貴女あなた方はこのお屋敷の護衛の為の私兵として雇われることになります。毎週、規定の報酬が支払われますが…」


要は準借金奴隷となっている訳なので給与から天引きで借金を支払わせるということだ。要約すれば以下の規則に従って貰うこととなる。


【トレジャーハントチーム・護衛私兵の規則(抜粋)】

---------------

◎私兵として雇う関係上、仕事で拘束してる間に余り自由は無いが休日は月に2日。他のメンバーと重ならない日程で自由に取っても構わないと(無論、屋敷の方で何かあれば休日返上で仕事に邁進することになるが…)

◎申請すればマウンテリバーサイドに買い物に出掛けることも可能だが基本的にはノースリバーサイドとマウンテリバーサイドから外に出ることは禁止

◎当然だが仲間内や人間・・との私闘は厳禁(魔物との戦闘で混乱などの状態異常に掛かった上での味方との意に沿わない戦闘は状況を鑑みて考慮する)

◎何か高い功績や評価を受けた時、対価として借金の減額等を考慮

◎基本的にトレジャーハントチームの4人でワンセットとして借金減額や評価をすることになるが、特に個人として何かを成した場合はその者だけ早く奴隷解放となる可能性もある(当人が全員と等分としたいと申し出ればその限りではない)

---------------



「…わ、わかりました。謹んで承ります…」


契約書を回収された後に渡された少々分厚い規則集に目を通した後、シャロンはそう述べた。他3名も言葉少なに了承していたが、余り気乗りはしてないようだ。今まで自由に勝手気ままに行動していた訳だから規則で身を縛られるなんて嫌なのだろう。だが、仕事さえこなしていれば奴隷とは雲泥の生活を送れる上、週毎に給与が出るとなれば実は探索者をやっていた頃よりは安定した生活となるかも知れない。何より衣食住が保証されているのだ。


「あの~…」


「何です?」


アンリエッタことエッタがコナンに質問とばかり挙手して話し掛ける。


「お給料のことが書かれてないんですが…どれくらい貰えるのかなぁ~?…って」


おずおずと口に出した質問は、誰しもが気になる現ナマのことだった!w


「あぁ…そういえば書いてませんね」


ぺらぺらと手元にあった規則集を斜め読みするコナン…そこに横から耳打ちされる。ダナン女性執事補佐だ。


「ふむ…、あ~、申し訳ないが…まだ確定されてないとのことだ」


「「「えぇ~!?」」」


そんな無情な言葉にトレハンチーム全員が驚き叫ぶ。ダナンはこのような展開になると予想してか、くっくっと笑いを抑えながら見ていたが助け舟を出すことにした。


「まぁまぁ…暫くは外出も…えとノースリバーサイドからですが…控えて頂くのでお金を使う場所には行けないので安心して下さい」


「…それ、安心材料じゃないよね?」


ボソっとモナが突っ込む。横でカロンもうんうんと頷いているがw


「宿に荷を置きっぱなしなのですが…」


「あ、それについてはご安心下さい。既に宿を引き払っていまして、置いてあった荷物と預けてあった諸々は回収して、貴女方に割り当ててある部屋に置いてありますので」


シャロンが言い掛けると被せ気味にダナンが回答を述べる。荷物の一覧を紙に書き出してあり、シャロンに手渡すと…


「…過不足はないようだ」


エッタに渡して全員に確認して貰うと、3人も頷いていた。唯…


「金銭そのものは…何で無いのかな?」


と、モナが突っ込むように声に出す。流石に金貨なんて高額貨幣は所持してなかったが、銀貨や銅貨が1枚も書かれてなかったのだ。


「高く売れそうなお宝も無いみたいだけど…」


カロンがモナに続いて唸るように話す。尚、所持金も準借金奴隷と認定された時点で取り上げられており、彼女たちは金銭は銅貨の1枚も所持していない。あるのは生活や探索に必要そうなアイテムの類のみだ。所謂衣類や武器防具、料理道具、野営の道具類などとなる。無論、薬剤の類も残ってはいるが彼女たちは貧乏だった為、数はそう多くない。残ってないのは金銭と宝箱から得たであろう未鑑定のアイテムなどな訳だ。


「あ~…お金は全ての借金が無くなったら…まぁ奴隷解放された時にお返しします。後、未鑑定のアイテムですが…」


ごほん、と咳払いをしてから懐からメモを取り出すダナン。


「…えっと、こちらで鑑定した結果…全てガラクタか呪われたアイテムばかりでしたよ?」


ぴらっとシャロンたちに向けてメモを見せると、


「「「え…」」」


目を皿のようにして4人が読むが、確かにガラクタと思える名称と装備したら呪われる系統のアクセサリーの名称が列記してあった。鑑定するにしても鑑定料金は結構掛る為に今まで袋に放り込ん…仕舞いっぱなしだったのだ。


「お返ししてもいいのですが、下手に装備すると面倒なことになるので…」


「あ、いえ、わかりました。その…処分はお任せします…」


下手に鑑定料を払えとか、借金に加算されると解放までの日が延びる為、慌ててそう伝えるシャロン。そしてぶんぶんと首肯する3名。ダナンは苦笑いしながら


(別に浄化すれば普通のアクセとして使えるから聞いておいて…といわれたんだけど…まぁいいかな?)


と、ザックの伝言を思い出しながら言葉を飲み込む。鑑定そのものはザックではなく宿で回収をしてから帰途の足で探索者ギルドに寄って依頼したのだが、戻ってから


「これ、どうしましょうか?」


と訊いた所、


「呪いを浄化すればアクセとして使えるんじゃないか?」


…といわれた訳だ。アクセそのものは呪いを解除すれば何の効果も無い物らしいとギルドの鑑定者に聞いていたのだ。売却するにしても2足3文らしく、なら本人たちが所望するなら返却してもいいか…と、まぁそういう訳だ。



「貸与されたのはこれだけか…」


シャロンたちは専用の与えられた区画…要は待機・着替え用の準備室を1室与えられ、そこで支給された装備を指定された各人用の設置式のアイテムボックスから各々取り出して確認していた。


軽装鎧一式ライトアーマー弓矢に盾と剣武器一式か…」


軽装鎧とはいえ、外側の金属鎧だけではなく下に着込む布の服…要は下着だが、それに加えて鎧では防げない関節部などを護る鎖帷子チェインメイルなども含まれている。


「…軽い!?」


普通なら取り出した直後には重量がずしりと腕に掛かるのだが、見た目に反してまるで布の服を持ち上げているかのような重さに驚きを隠せない。次々と軽装鎧一式を取り出して全てを抱えあげるが、現在着ている革鎧一式ハードレザーアーマーの方がやや重いかも知れないと思える程だ。


「…これは、ミスリル製の上に…軽量化の魔法?」


上半身の鎧を持ち上げて内側を覗き込んでみたがそれらしい魔法陣などは刻まれてない。だが、ミスリル製ならそのような魔法陣は仕込めるだろうし余裕があれば色々と仕込んであってもおかしくはない。恐らくは軽量化に加えて防御力上昇の魔法陣も刻まれているだろう。こんこんと裏拳で軽く叩いてみたが感触が違ったのだ(唯の鉄の鎧なら軽量化よりは防御力上昇の魔法陣を刻むだろうからこんなに軽い筈も無い…という訳だ)


「リーダー、何難しい顔してんですか?」


エッタだ。振り返り見れば既に自分に割り当てられた装備を着込んでおり、矢筒を背中に弓は上半身の鎧に仕込まれた専用のラックに嵌め込んでいた。他にも腕に装着する小型の盾やダガーなど、以前装備していた武具も装備している。


「いや…何でもない」


以前は持っていた全てを装備すると道中でバテるといって出掛ける前にその日の装備を慎重に選んだりしていたのだが、これだけ軽量な装備なら全部持ち歩けるのかも知れない。


「…」


装備していたハードレザーアーマー、それとブラとパンツを除いて全て脱ぐ。用意されていた下着(鎧下の布の衣服だ)を着込み、下から順番に軽装鎧を着込む。


(…手を貸して貰わなくても問題無く装着できるな?…というか初めてなのに何故…)


そんな疑問を思い浮かべながら次々と装着していく。


(レザーならそんなにパーツ数は無いんだけど…)


普段履きの靴と布製の長ズボンに長袖の上着を着て、その上からレザーアーマーの上衣(上半身の前と後ろを挟んだシンプルな構造)・下衣(腰回りと左右の太もも上部をカバーする)・腕カバー(前腕…手首から肘までの部分…のカバー)・足カバー(下腿…足首から膝までの部分…のカバー)を装着すれば終わり。隙間だらけだけど、その分素早く動けるし体力の無い私たちの防具としてはこれが精一杯だ。資金的にも…ね。


(下着の衣服は…これも何か違うような?)


着てみるとわかるけど、麻や木綿とは違う薄い生地に着易く通気性のいい布地。まるでお貴族さまたちが着るような着心地のいい上等な衣服?


(そしてどう見ても鉄とは違う軽い金属鎧に内張りに見たことの無い革が張ってあるし…あ、その前に鎖帷子か)


これも鉄ではない何かの金属でできた目の細かい鎖で編まれた内着の鎧だ。これだけでも十分以上の防御力を発揮すると思うけど…


(軽い…。これだけで麻の上下を着たくらいしか感じないくらい…)


見た感じ、普通に矢を打ち込まれても跳ね返せる…というか、剣で斬られても防げるんじゃないかな?…流石に槍で突かれたらわからないけど、貫通はしないと思う。


(でも、骨くらいは折れるかもね…うう、想像したら痛そう)


「リーダー、何もたもたしてるんですか?…って、大丈夫ですか?朝飯の何かに当たったとか!?」


「い、いや…何でもないって…あはは」


酷いいわれようだが笑って誤魔化す。これ以上遅くなってもいけないので、残りの装備をさっさと身に付けていく…ちなみに全装備品(下着+鎖帷子+軽装鎧+弓矢+小型盾+小剣)を纏っても、以前の武具防具を身に付けたと同じくらいの重量感だった。加えて各人にアイテムボックス機能付きのバックパック背負い袋を支給され、余分なアイテムはそこに入れておけばいいという訳だ。性能的にはそれ程でもないけどパンパンになるまで詰めてもバックパックの重さは綿を詰めた程度にしか感じず…中に納まる容量は水が100リッター程入ると聞いている。が、口より大きい物は収まらないそうなので、大きい物は諦めるか切って小さくするしかないそうだ。


「そーいえば全員同じ装備で揃ってるんですよね…まるで軍隊みたい」


「別に重くないしいいんじゃない?」


「便利な装備も借りられたし、ね」


こちらが装備に手間取ってる間にいいたい放題だが、まぁいいたいことはわからんでもない。寧ろ、奴隷なのにここまで上等な装備品を借りられたことに文句をいう方が罰当たりだと思う…などと考えていると準備が完了した。後は…


「待たせたな。後は、コナン執事に出立の準備が完了したと報告し、厨房に赴いて本日の食事…糧食といったか?…を受け取るだけだな」


「お水と回復薬とかもね、リーダー」


「お、おお…そうだな」


なんやかやとかしましくお喋りしながら準備室を出ていくトレハンチームの面々だった…。尚、回復薬や探索に使用するアイテムは配布されてなかったので改めてコナンから手渡されたという…(設置式のアイテムボックスには入れてなかった)


━━━━━━━━━━━━━━━

なかなかネタが降りてきませぬ…ううむ。



備考:

探索者ギルド預け入れ金

 金貨580枚、銀貨801枚、銅貨1617枚(変化なし)

ストレージ内のお金

 金貨282枚、銀貨1020枚、銅貨781枚(変化なし)

財布内のお金:

 金貨2枚、銀貨78枚、銅貨80枚(変化なし)

今回の買い物(支出金):

 なし(但し、屋敷側では色々買い込んでいる模様)

ザックの探索者ランク:

 ランクC(後日アップの予定はあり)←いつアップするのやら…多分ノースリバーサイドの危機が去って落ち着いてから、かな?

本日の収穫:

 なし(珍しくw)

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