翌朝、目を覚ましスマホを開くと、メッセージが来ていた。
送り主は陽葵だった。
「この後、君のところに行ってもいい?」
こちらから誘おうとしていたから少し拍子抜けしてしまった。
なんの用だろうか…。まさか、、、いや今はそれどころではない告白が大優先だ。
とりあえず、いいよと返信をした。
身支度をしなくては。
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どんな反応するかなー。
あいつの家に向かいながら考える。
「悪いことしちゃったなー。あいつには」
このサプライズのために最近少しそっけない態度を取るようになっていた。
こんなこと考えてても意味がない。私のバックに入っている「あれ」を渡して私の気持ちを伝えるだけだ。
うけとってくれるかな…。
今日はあいつの誕生日だ。
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陽葵は俺の部屋に入ったなり開口一番こういった。
「誕生日おめでと〜。」
誕生日…?
急いで俺はスマホの日付を確認する。
確かに9月8日。俺の誕生日だ。
「最近日付気にしてなかったからちょっと驚いちゃった。
「ちゃんとそれぐらいできるようになりなさいよー。」
頬を膨らませて俺に言ってきた。
可愛くてドキッとしてしまった。男って単純だな。
誕生日だからプレゼントを持ってきてくれたらしい。
ここで先に俺が言いたいことを言おう。
決めたんだから。告白することを。
「待って。一つだけ伝えたいことがあるんだ。」
「…?」
「俺さ、
好きな人がいるんだ。」
ドサッ
何かが落ちる音がした。
「そ、そうだよね。男だもんね。好きな人ぐらいできるよね。」
何かがおかしい。
俺は全力で当たって砕けようとしていた。
だけど蓋を開けたら陽葵が砕けたみたいになってるじゃん。
「ねぇ、『ごめん。体調悪くなっちゃったかも。帰るね』」
そういって陽葵は部屋を飛び出していった。
せっかくのチャンスを活かせないまま終わってしまった。
どうしようかと思い視線を巡らしていると視界に紙袋が入った。
陽葵が持ってきてた袋だ。さっき落とした衝撃で中身が見えた。
その瞬間、俺は全てを理解した。
突然帰った理由。そして今俺が何をすべきことも」
あいつのプレゼントと俺のプレゼント。
2つを持ってあいつを追った。
あいつが向かうところは見当がついている。
「待っててくれ…。」
私はその場から走り去ることしかできなかった。
彼はきっと私がプレゼントを渡すことがわかって。
好きな人がいることを伝えて私から距離を取ろうとしたのだろう。
彼だったら私とずっと一緒にいてくれるものだと錯覚していた。
私は走り疲れてしまい歩き始めた。
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