君は幸せそうな顔で花婿にとびっきりの笑顔に笑いかけていた。

その顔は本当に君が幸せな時に見せてくれた笑顔であることはわかった。相手は誰なんだ…。

気になって仕方なくて顔を見ようとしていた。

しかしどう頑張っても見れない絶対見れるはずなのに。

どう頑張っても見れないと諦めていた時、そいつと目があった気がした。

顔は見れないはずなのに。

そしてそいつは笑った…。

俺を見て笑った…。


俺は…俺は…。

「お前を絶対あきらめないからn…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ーーーッッ。」


夢だよな、、。冷や汗かかされたな。。


アナウンス「東洋町ーー。東洋町ーー。お出口は左側です。」


いつの間にか、最寄りの駅の近くまで来ていたようだ。

いつまでも夢の中の世界に感傷していてもダメだ。

とりあえず職場に向かおう。

午前の仕事を終えたが、なんだか仕事に身が入ってない気がする。心なしか倦怠感もあるし。

どうも今日は調子が狂う。今朝あんな夢を見たからだろうか。

「どうしたの?具合でも悪い?」

俺の顔を覗き込むように同僚の陽葵が話しかけてきた。

会社で孤立ている俺にも優しくしてくれる優しい人だ。

実は中学校の時の同級生。そしてさっき夢の中で出てきた「君」

そして、まだ俺は陽葵に恋をしているようだ。

いつもだったら、お前の可愛い顔見てたら疲れなんて遠くに吹き飛ぶみたいな軽口を叩くのだが、今朝の夢のせいなのかそんなことをする気力も無くなってしまっていた。


「ごめん。ちょっと休むことにする。」

「あ、うん。ゆっくりしてね。」


日頃真面目に労働している俺が早退するのは意外だったらしく、

上司もとても驚いていたようだ。


いつものように帰路に着こうとしたがなぜだか今日はそういう気分になれなかった。そして反対方向の電車に乗った。実家に向かおうとしたのだ。


「日本橋ーー。日本橋ーー。」


意味もなく駅に降りていた。 地下駅だから地上に行くのは時間がかかった。

日本橋から見た川は酷く汚かった。「日本人なんて自分の意見隠す人多いし、その分嘘を言ったりする人が多い。その国民性がこの川にでも現れてるのかな…俺もだけど。」と自嘲気味に笑いながら独り言を話していた。


その後とりあえず実家に帰ることにした。

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