第5話 閑話海野親子魔国訪問 ☆
「魔国も結構広いね」
「国じゃからのう」
「景色が変わりませんね」
海野国より魔国王城へ公式訪問の為山中の街道を馬車で魔王城に向かう蔵摩と美羽蒼空親子
「公式訪問じゃなきゃ転移で行けるのに」
「転移魔法が使えるのは秘密じゃからのう」
「お陰で気軽にお兄ちゃんに会いに行けるんだけどね」
しばらくすると馬車が止まり御者が扉を開ける蔵摩が先に降りて手を差し出すと美羽は手を重ねて優雅に馬車を降りる。
「ここがパペット湖じゃな」
「大きいね」
「対岸が見えないですね」
「ウミノ国女王ミュー・ウミノ様、王子ソラ・ウミノ様お初にお目に掛かります」
「ご苦労さくら」
「はじめまして…ってお菊人形!?」
「母上お菊人形とは?」
「お菊人形ではないぞ?パペットマンじゃ」
「お菊人形はうちの生まれた国の人形だよ。パペットマンの女の子ってフランス人形みたいなのじゃなかった?」
「普通はそうじゃな。さくらはパペットマンの変異種じゃ」
「へぇ…やっぱり髪が伸びたりするの?」
「えっと…あの…」
「女王よパペットマンは生きておるのじゃ。髪は伸びるぞ?」
「おぉ…それもそうね」
美羽は遠慮なくクルクルとさくらを観察している。
「恥ずかしい…」
ジロジロと美羽が見るのでさくらは恥ずかしそうに俯く
「さくらが困っておるぞ」
「ごめんごめんでもおかっぱ頭に着物って本当にお菊人形そっくりね」
「それはもうよかろう…パペット湖管理事務所が今宵の宿じゃ。準備も出来ておるからゆっくり羽を伸ばすがよい」
夜になると…
「はぁぁん幸せ♪」
「そちらはパペット湖名物パペットバスのムニエルでございます」
一行は旅の汗を流し着替えて食堂で夕食をとる。
地球で言うブラックバスのようなものだ。(普段食べませんがブラックバスはスズキ科の魚で食べられます)皮目は押し付けてよく焼いている。パリッとした皮にふわふわした身の食感が楽しく白身魚なのに味がしっかりしていて噛むとバターの風味が鼻腔へ抜けていく。瑚魚なのに臭みが全く無いのはパペット湖がとても綺麗と言う事だろう。
翌朝
「魔王様このようなものが投げ込まれておりました」
ゴブリン族の警備員が蔵摩の所へ投げ文を持ってきた。
〖 パペットマンの女は預かった。神聖なる魔王城に勇者を招き入れるのをやめよ。さもなければパペットマンの命は無い 〗
「ほぅ…さくらは?」
「管理事務所の敷地内にはおりません」
「さくらの部屋に案内せよ」
蔵摩は残像思念を読み取り…
「助けて来るか…」
さくら視点
(ここは…)
さくらは目が覚めると知らない部屋に居た。
窓は無く天井から漏れる光でうっすら中が見える程度だ。
(地下室?)
身体を起こそうとするが上手くいかない。手を使って起き上がろうとして…
(手を縛られてる?)
一気に覚醒したさくらは状況を確認する。
(両手は後ろで縛られてて縛られた足首に繋がってるみたい)
うつ伏せで手首と足首を短く繋げられたさくらのはだけた裾から白い脚が覗いている。
(口の中に何か入ってて喋る事は出来なさそうね)
口の中には布が詰められ吐き出せないように厳重に布で猿轡をさせられていた。
「ん…」
モゾモゾと手首を擦り合わせてみるが縄は緩みそうにない。
手で縄を探って結び目を探すがどこにあるか分からなかった。
「ん…んん…」
縄を緩めようと足を曲げ伸ばしたり手首に力を入れたりするが縄は全く緩まない。
(早く帰らなければ魔王様に御迷惑が…)
「んん…んー」
しばらくもがき続けていたがさくらはもがき疲れて荒い息をしている。
「てめぇ何奴…ぐぁ」
「貴様魔王…ぐぉ」
「地下じゃの…」
魔王様が階段を降りてくる…
「んん〜んん」
「さくら…綺麗じゃの」
(魔王様は一体何を?私は不細工なパペットマンで…)
魔王は猿轡を外し口の中から布を取り出す。布は大量の唾液が含まれており唇から糸を引く…さくらは恥ずかしさに顔を紅潮させていると…
魔王はさくらを更に縛る。胸の上下に縄を回し締め上げる。
「やはり和服には荒縄が似合う」
「魔王様何を…」
喋り掛けたさくらの唇を魔王の唇で塞ぐ。
「んっ…」
「さてと…残念ながら今は時間が無い。王女が起きる前に帰るぞ」
縄を解きさくらに手を貸して立ち上がらせると
「さくら。ワシの側室となれ」
「私は不細工なパペットマンで他にもっと見目麗しいパペットマンが…」
再度魔王は唇を重ねる。そして
「ワシはさくらが良いのじゃ」
「はい…」
魔王はさくらをお姫様抱っこして森を駆け抜けて行った。
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