第2話 2
ーアイク SAIDー
最後に扉を開いたのは、1ヶ月前に入った新参者“マレ”。
右目に眼帯をした黒の短髪をした女だ。
眼帯を隠したいのか、右目の方の前髪だけ伸びている。
平衡感覚は、ずば抜ぬけて高いため眼帯姿を見た最初の方は不安だったが、今は支障なく任務に向かってもらっている。
他のメンバーの中では、ベル、ハゲ、シオ、B.Kと共に最年少。
ただ、スタイルの良さはノラの女性の中で一番だと思う。
身長はノラの中で一番低いが、よく食べる。
食べる量は俺やエグザスくらい、食べた質量が何処に行ったかは知らない。
仮説としては…小さい体つきの割には、かなり実った神々の谷間に行ったと思っている。
だが…この邪な思いがアンナに伝わっていたのか1ヶ月前のあの日、体で強化したであろう握力で肩を掴まれた。
あの日は、死を覚悟したな。
まだまだ、戦闘能力は未知数だが…剣形態を頻繁に使っている。
まだ、使えるホープは体の2段までしかない。
「メンバーが増えても、平均年齢が上がらないねぇ。」
ベルは、椅子に寄りかかった状態でボヤくように上を向いて言った。
確かに、平均年齢は若い。
ベル達は、22歳。
エグザス、アンナは、24歳。
俺は、28歳。
…あれ、こう見ると俺ってオッサンみてーだな。
20代で構成されたノラには、理由がある。
年齢に関係なくキーウエポンに適合しなくちゃ話にならない為、適応効果が比較的高い若者に適合する確率が高いからだ。
昔、格闘競技の世界チャンプと言われた男達でも成人した獣には敵わない。
獣達に挑んだそのチャンプ達は、殺されたか…獣達のペットにされている。
「それで、本題は?
あんな重たい扉を開かせて…只の世間話♪
…なんてないよな?」
ベルは、死んだような目で丸まるように握った両腕を胸にくっける。
まぁ、ぶりっこポーズなのだが…なんか古いな。
「あたぼーよ。
今回の任務は二組に分けて行う。
まずは、マレとベルとB.Kとエグザス。
後は、俺とシオとハゲとアンナ。
お…綺麗に男女に別れたな。
まるで合コ…。」
俺の話は一発の銃声で止まった。
正確に、俺の頬を狙えるのはアイツくらいだろ。
「…冗談だよ、B.K。
マジになるな。」
「黙れ。
次は撃ち抜くぞ。
二度と使い物にならない状態には、なりたくないだろ?」
B.Kは、起動させたキーウエポンを椅子に座ったまま肩にかけて俺の下半身を睨む。
…間の事もあるし敏感なるのは、分かるが身内には止めてほしいものだ。
「今回のミッションは、マレの体持続力の強化訓練を兼ねて軽い偵察を行う。
マレ達は、脱出しやすい出口近辺。
俺たちはやや中枢付近。
体をかけながらの密偵だ。
それなりの訓練になるだろ。」
「なるほど…理想的な組み合わせだな。
上手くパワーバランスが整っている。
機動力のあるベル、中遠距離の攻撃に長けたB.K、マレの手本として体を一番上手く扱える俺のチーム。
それに、超攻撃型のハゲとアイク、機転のバリエーションが広いシオ、回復も攻撃も長けているアンナ。
マレとベルが組むことによって、体か使えなくなってもベルのゴーレムで移動の面なら問題ない。」
エグザスは、机に両ひじをつけながら呟くように言った。
エグザスの一言に納得したのか、B.Kはキーウエポンを収納し始める。
「そう言えば、ベルのゴーレムの戦闘能力はどれくらいなの?」
「あー、物によってマチマチだけど…ユニコーンなら俺が体の1段まで強化した位の能力はある。
もっと、力を込めれば多少は強化されるとは思うが…こんなご時世だ、基本的に質より数だろ。
質をあげるなら、俺は数を増やすよ。」
マレの質問に、ベルは机に伏せたまま答えた。
他の奴等も殆ど上の空。
…ったく、ミーティングをなんだと思ってるんだ。
「…ミーティングは以上だ。
質問は、各自でしてくれ。
とりあえず、今回話したミッションは明日に行う。
んじゃ、解散。」
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