第7話 陶子⑥
手続きがいるのかと不安に思っていたが、いとも簡単にパンフレットと一緒に貰えたマタニティーマーク。
五センチほどの丸プレートに、ハートマークの母子のイラストが描かれた可愛いマスコットホルダーをバッグに付けていた時、
「あれ?陶子?」
と声をかけられ振り向くとマリアだった。
「・・・・」
一瞬、声が出なかった。それと同時に絵梨の台詞が思い出される。''雰囲気?なんか違うの・・・。''
聞いていた時は、意味不明に思われたが、実際目の当たりにすると絵梨が言っていた言葉がピッタリと合う。勿論、外見の印象も変わっていたが・・・判りやすく言うと夜の仕事をしているかのような色気、雰囲気を纏っていた。
「驚いた。一瞬知らない人に見えたよ、マリア。」
「ふふっ。陶子ったら」
微笑んだ表情は以前のマリアだ。
「私こそ、少し驚いた。だって今日土曜日でしょう?陶子の勤務先の図書館は、この辺りじゃないしと思っていたけど・・・。産婦人科の帰り?」
ズバリと当てられ言葉に詰まると、マリアの細い指がバッグに付けられたマタニティーマークを指す
「こないだは、無かったからさ」
「まだ安定期に入ったわけじゃないから、ここだけの話にしといて」とお願いすると
「私も、ちょうど陶子に話したいことがあったんだ。ね、私のマンションここからそう遠くないし、さっきデパ地下で色々買ってきたから、ちょっと寄ってかない?」
と誘われた。
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