8
シャワーに入っていた
昼間からのシャワーは心地が良い
全てが洗われるみたい
最近、何だかシャワールームに誰かがいるような気がする
何だろう
何だろう
幽霊、じゃないでしょうねえ。
幽霊、かしら。
もしそうだったとしたら怖すぎるけどそんなのいる訳ないじゃない。
うん。いる訳ないわ。
気のせいよね。
シャワールーム抜けるかな。
抜けた。
んー。さっぱりした。そして仕事休みのこういう時にはご主人様っ。ご主人様の隠し撮りをしたお写真を眺める。
っていうのはほぼ誰もがやっているんじゃないかしら。
私もやってる。ご主人様で妄想。
こうしてお写真があるの尚更いいなあー。
ご主人様と結婚できたらなあー。
あ、でもご主人様って既に好きな人がいらっしゃるのよね。女の人で。あうー。
私は何だか気が落ちたけど、ご主人様はかっこいい。
はぅー、ほんと、この世にない美青年だなあー。
こうしてご主人様の事を考えながら私と一緒にデートをしているところを妄想している。
そして、ご主人様が私のすぐそばにいるように視覚化をさせたりして
声もご主人様ので喋らせたりして
考え方も、こうやって喋るかなって考えて喋らせて
触覚化も。私になでなでする感じのイメージで。
これを好きなだけ続けようっ。
あれ、いまなんか一瞬、ご主人様が私は喋った?
え、あまりにも続けていたからそうなっちゃった的なかなあまさかね。
えっ仮にそうなったらそれは思念体というものかしら考えただけでも世界が広がる気がするねえうきょー!
やべえなあもうー。
あれっ
ご主人様が。私の隣のご主人様が
拳を振りかぶってきて
いたぁ〜い。それなりにいたい。それほど痛くないけどそれなりに痛い。
「俺の愛する女は花華一人だからだ。」
なんでっ?
なんでなのぉー。これは私の脳内で起こっている事なのにー。
それは確実にその女が作り出した思念体であろうが、本人の思うとうりにならずになってしまったのは如何なる理由だったのであろうかは謎である。多分。
「そもそも、花華って誰ー」
いや、謎ではなさそうだが。
そういえばこの世界はご主人様の世界であった。我々の考えていることなどご主人様に伝わったりするのだ。
あっ!ご主人様、どこかいっちゃったー。
うーん。何か悲しいわー。
まあ私はご主人様好きだからいいけど別に。
お写真で見えている優しい笑みを私に向けてくれるご主人様が本物だよねえー。
女は主の思念体を先程の方法でたくさん作り出したが、それらは全て消えたり、痛みつけられたり、暴言を吐かれたりしたのみで残らなかった。
しかし本人は無意識でそういう事をしていたので気にしてはいなかった。
まあいいもーん。まあいいもーん。
あー、それにしても、何だか楽しいなあー。ご主人様で妄想ー。
するとシャワー室から声が聞こえてきた
「助けて。助けて。綺麗なお姉さん。」
だれっ
「貴方はこの前に、何をシャワー室に捨てたの」
シャワー室に捨てたって何かしら
「知っているんだ。」
そしてシャワー室から急に女の人が現れてこちらに一瞬で飛んできて女の首を絞めてきた
「っ!?」
「ねえ、返してよ。あれ、私の大切な子供なの。」
「貴方の、大切な、子供、私、知らない、わよ。ねえ、離して」
「知らない訳ないわよね。あんたが、私の子供を殺して毒物入りのシャワーで流し捨てたのよ。骨も。」
そういえば
私は思い出した
私は、前に何処かで拾った子供をシャワー室へ、体洗おうねって連れて行ってシャワーに毒物を入れて、それで子供に流して溶かして殺したのよ
だって、何か嫌だったから。
子供って見るだけで何だか未熟で嫌なのよね。
ご主人様みたいに大人でお色気ムンムンだったらいいのに。
「貴方は 子供という理由だけでうちの子供を殺したのよ 私は○○警察へ捜索をさせたわ そしたら貴方が犯人である可能性しかないと言うじゃない」
絞める手が強くなって
私は気を失いそうになった
すると女は消えた
「えっ」
つい、呆然として、口から出た。
私、助かったのかしら
何も分からなかった
その代わりに、我が私のご主人様の写真は目を向けた
やはりかっこいい
今のは、何だったのだろう
忘れられそうにない
私は、子供を殺した。だからその母親が霊となって現れた、という解釈でいいのかしら。
それにしても変だわ。
私は、前に子供を、毒入りのシャワーで、殺した、のかしら
あれっ
そうではないような気も
あれっ
私は一体今、何を考えていたのかしら
あの女は一体何者
私が何の犯罪を犯していたのかさえも既に記憶にない
まさか
ということは
あの母親の女は
私の
思念体、なのかなあ
えっ
じゃあ私が子供を殺したっていうのも単なる、現実にないことかしら
じゃあ、さっきシャワー室で感じた気配も、そうだったりして。だって私、思念体が作られるようなことを最近よくやっていたから。
可能性としては、ありかなあ。
ということは
「ねえ。どうしたの。もう一度出てきてよっ」
「何よ。」
さっきの幽霊の母親が出てきた!
「貴方、私の脳から生まれたのよね」
「そうよ。せっかく貴方を自殺へ導こうとしたのに。貴方、ご主人様の事をあまりにも考えすぎだから殺すべきかと思ったのよ。首絞めて。」
「はーん。なるほどねえ。じゃあ、子供を私が殺したっていうのも作り話ね。」
「そうよ。貴方本当にご主人様の事を考えすぎよ、改めなさい。」
「いやーに決まってるでしょう。ご主人様は全ての女子の憧れじゃない。貴方はそうは思わないなんて」
「思うに決まっているでしょう??あんなに素晴らしく美しいお顔立ち!スタイル!キュンとするわよ!思うけど、そんな風にストーカー並みに執着しちゃいけないのよ。」
「まあっ。ストーカーだなんて失礼ね。まあ何でもいいけど、貴方はどこかへ帰らないのかい。まあ、私の脳から生まれた子だけど。」
「私の帰るところは既にあるからいいわ。それより貴方、本当に気をつけなさいよ。そんなんじゃ逆にご主人様に嫌われるわよ。じゃ。帰るわね。」
「私は嫌われないわーー」
ーーーーーーーーー
「ご主人様。彼女はうまく行っておりますわ。本当に自分が主体だと思い込んでいる。」
「そうか。あの子はなかなかに思う力が高いんだね。あの子は、君から生まれた思念体さんなのにね。」
「ええ。シャワー室も彼女の部屋も、全て私が作り出した思念物です。」
「うん。そうだね。よくできているよ。そこに彼女は住んでいるんだ。君はよくやったね。」
「むふ。驚きましたわ。あの子は自分が生み出された時の記憶が無いんですのよ。自分に小さい頃があると思っている。それも私が作り出した記憶です。彼女を自殺させようとした時に「子供を毒入りのシャワーで溶かし殺した」という記憶入れも成功しました。あの子がご主人様のお姿が出てくるように行っていた時は大変だと思って殴らせたりいろいろしましたわ。それが耐えきれなくなって、ついに出ちゃいました。」
「うむ。よくやったね。お疲れ様。この実験は、まだ続ける予定なのだよね。」
「ええ。続けますわ。彼女はやっぱりまだ消すわけにはいかない。もう少し、様子を見ますわ。あのままいけばご主人様の忠実な僕になるかも。脳細胞の一つになったり何なりすふかもしれません。何せ、ここはご主人様の世界。彼女に肉体を与えることも可能ですわ。」
「うん。そうなるかもしれないね。楽しみにしているよ。」
「お楽しみにされていて下さいね。最初はこういう手法があるのだと知った時には、どういう子にしようかな、どういう性格になるかな、と思って不安だったのですが、割と良かったですわあ。案外、私の精神から生まれた子なのでね。ふふっ。」
「よくやったよ。お姉さん。俺としては、彼女のことも大切にするかな。俺の下部であることは変わりないからね。」
「そうなのですわ。ふふっ。」
「よく頑張りました。よしよし。」
「たくさん褒められて嬉しいなあ。」
「そりゃあそうよ。君はよく頑張ったもの。」
「ふわふわあ。」
「ネコミさん、柔らかいからね。」
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