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ご主人様、万歳、万歳、万歳
そう言って筋トレの稽古をして約3時間。
やばいな。そろそろ筋肉が疲れてきたわ。休むか。
お疲れ様ーー
いい汗かいたなー
ご主人様のことを思いながら筋トレーニングって何か、好きな人を想っているみたいでいいな。
やりがいがある。
そういうのを追い求めていたけど、実際に見つかるとなかなかに疲れも忘れて充実できるな。
これがいいって自分が言うんだよな。
それじゃあ、また少し休んだら筋トレするかなー。
「待って。ちょっと待って。」
えっ?今、どこから声が聞こえてきたんだ。
「ここ。」
うわっ!
後ろを見たら喋る蛙がいた
「何なんだお前。蛙が言葉を喋るなんざ何万年早いってんだよ....」
「えっ酷いなあ。君は僕の事をただの蛙だと想ってる訳?」
「うん。そうだよ。だってそうだろ。蛙だろ、君。」
「よく見ろよ。背中の模様がハートみたいなマーク付いてるだろ?だから僕は単なる蛙じゃない。って、人の話を聞けよ。」
「俺は筋トレ好きだし。君の何処が人なのかもわからないし。」
「っ。仕方ないか。あのな、僕は君へのアドバイスをしにきたんだよ。」
「アドバイスって何だよ?」
「君、そうやってトレーニングしているうちは楽しいかもしれないけど、君は実はそれで悲しませている人がいるんだ。」
「なにっ?それは誰だよ。」
「ご主人様だよ。」
「なにっ!?」
彼は筋トレを辞めた
「それで!ご主人様は俺が筋トレをする事で何で悲しんでいるんだっ?!」
「あっ、えぇーと.......」
ーーーーーーーーーー
「と、言う訳なのです。ふええ。ごめんなさい、ご主人様!」
「なるほどな。それで君は彼に会いに行ったのか。ふむふむ。」
「はい」
「良いだろう。彼のことを気遣ってあげる気持ちは良いことだ。確かに毎日筋トレばかりのしすぎで仕事面が疎かになるのは宜しくない。私も君の意見には賛同だ。」
「あっ!それじゃあ、あの人を、何とかしてくれますかっ」
「あぁ、良いだろう。私が、彼が筋トレをし過ぎる事によって悲しんでいるという事実を作ろうではないか。」
「あっ!ありがとうございますご主人様!」
「楽しみにしていなさい。」
「へへっ!後ろのハートマークをお礼にお見せしますよー。」
「あぁ。かわいいな。いいと思うぞ。」
「へへ〜」
「あの人、気になってたんす。窓から見える景色はいつもいつも筋トレで。あれじゃあ逆に体に悪そうで」
「うん。いい子だね。」
ーーーーーーーーー
俺が筋トレをすることによってご主人様を悲しませている?何故だ。何故、俺がそうする事によって、ご主人様を、悲しませる
やり過ぎているからか
私の事が分かられているのだろうか
私の何が、おかしかったのだろうか
私はそもそも何か良くないことをしていたか
さまざまな疑問が頭をめぐる
が、これといった考えは浮かばなかった
考えられなくなった
取り敢えず、筋トレをやめる事にした。
そして思索に耽る
インターホンが鳴った
誰かを確認するとそこにはなんと、美しさ満点で思わずいい意味で頭が真っ白になって言葉すらも出なくさせられるご主人様がいらっしゃった。
「今開けます!ご主人様!」
ドアを開けた
ご主人様がお入りになられた
うう、かっこよすぎる。まるで俺がコンプレックスにでもなりそう。
「君は、日頃から訓練を頑張っているようだね。」
「はいっ!ご主人様!ご主人様の為に、外からやってくる敵を皆殺しにしてやる為に!」
「なるほどねっ。」
ご主人様はふふっと笑った
「その気持ちはありがたいよ。君は、少し頑張り過ぎて、君自身が困っていないかと心配でな。」
「俺でしたら何の心配もありませんよっ。あの蛙が言っていたんですけど、ご主人様は筋トレをする僕が嫌いだと。何の心配もいりませんよっ。」
「ううん。嫌いじゃないさ。ただ、それで君自身に負担をかけていないか心配で。少し、足元を見せてみろ。」
するとふくらはぎが赤く腫れているのを目撃になった。
「これは、やはりそうだったか。」
「うわっ!な、何なんだこれっ」
「それはな、君が日頃から頑張り過ぎているから休むように君の愛しのふくらはぎさんが教えているんだ。それでは、仮に敵がやってきても、倒せないよ、と。」
「なるほど。こりゃ、休んだ方がいいっすかねえ。」
「そうだよ。休もうよ。たくさん休んで、また次に備えようよ。」
「へいっ。じゃあ、6時間くらいかな。」
「いいや。二週間くらいは休みなさい。」
「えっ そんなにですか」
「そうだよ。その方が君の愛しい筋肉さんたちにリラックスを与えられるからね。」
「なるほど。その方がいいのですね。了解しましたっ。俺、たくさん休みます。」
「あぁ。それがいいよ。筋肉さんはね、しっかり休んでつくものだからね。」
「へーいっ。なるほど。なるほど。じゃあ俺は今まで彼らにキツイ思いをさせてきてしまっていた訳かぁ。すまないな。」
「うんうん。それでいいよ。」
そうして俺は筋トレを休む事にした。
「あの蛙はね、君の守護だと思ってもいいと思うぞ。」
「守護」
「あぁ。彼は君のことを愛している。とても。背中のハートマークがその証だ。」
「なるほど。あのハートマークはそういう意味だったのですね。」
「そうだよ。今度またよく見てごらん。何か愛着が湧くかもしれないよ。」
「ははっ。またのご機会に。」
そうか。あの蛙は天使だったのか。だからそもそも蛙じゃないのかな。蛙にはハートマークなんてある訳ないしな。なるほど。
案外、あそこから魔法が出ていたりして。
それもあり得るな。
俺は妙に納得をした。
「それじゃあ、私はそろそろ帰ろうかな。いいかい、ゆっくり休むんだよ。二週間の筋トレはやるなよ。そんな目になるからな。でなければ私がまた、悲しむ。嫌いじゃないからな。悲しむんだ。覚えておくのだ。またな。」
「ははっ。ご主人様、ありがたきお言葉。またのお越しを。」
ご主人様はお帰りになられた。にしてもあの美しいご主人様を我が家に招けるなぞ、夢にも想っていなかったな。いや、偶に癒しのために来て下さった時はとても嬉しかったのだが、それ以外の用事でお越しになられるとは。
その理由が、筋トレのし過ぎで心配をされていたから。
こりゃ参ったもんだ!休もう。うむ。休もう。
まあ、嫌いと言ったのはご主人様の俺に対する嫌悪感が無いかを書かなくするためだったのだが。無かったな。
良かった。ご主人様は、本当に俺のことが好きなようだ。
ーーーーーーーー
これは良い小波だ。さすが海だ。綺麗だな。
蛙もここなら住みやすいだろう。
「ここはいいところっすよー。海も綺麗で、僕も住みやすくて。」
「ああ。いいね。」
「筋トレの説得、ありがとうでしたっ。」
「いいんだよ、確かに彼は運動のし過ぎだった。だから心配になるのも無理もない。あの時、君は変化をして彼のふくらはぎの腫れになったのも上出来だったぞ。」
「へへっ。あれ、僕が彼に使った念力なんです。そしたら本当に腫れてくれて。良かったなあー。」
「暫く解けないように私も念をかけておいたぞ。これで今暫くは安心だよ。」
「安心っすよー。」
俺は分かっているからな。君が私に揺さぶりをかけようとして「嫌いになったのか」という言葉を使っていたのも。それは私にやらなくても君を嫌う訳がない。そもそもない。分かるよね。
そうさ。休んで欲しかったんだ。それだけだ。この子もな。
手のひらに乗せている蛙へ少しちゅっとした
「あっ、照れますご主人様ー。でも僕は男ですよー。」
「わかってる。それでもだよ。柔らかくて気持ちがいいかなって。」
「確かに気持ちがいいものでしたねえっ。」
愛らしい子である。
そのハートマークも。
彼も大切な我が子だ。この子も大切な我が子であり、ぜひとも二人とも仲良くして欲しい。
待っていろ。
暫く休めば良くなるからな。
ーーーーーーーーー
「ご主人様、万歳、万歳、万歳、万歳っ」
あれから3時間が経った。そこまで休めば十分な気もするが、俺のふくらはぎが悲鳴を上げていた。ということは、だ。まだ休む必要がある訳だ。
では、まだ休むぞ。休んで休んで元気になるぞっ。
何をしようか。もどかしさが来たぞ。うーむ。
ご主人様を見て癒されるかっ。
俺はご主人様の美しさを見に検索をかける。
するとセーフサーチとして年齢確認が出てきた。主様が美しすぎるのでこうして感性の柔らかい子供には見られないように年齢制限をかけて48歳以下の者には見られないようにしているのだ。
48歳以上。私は、まだそこまでレベルが上がっていない。
ショックだ。じゃあ、ご主人様のお顔を思い出して妄想をしよう。先程見た、ご主人様の美しすぎるお顔を鮮明に思い出すのだ。
あぁ、来たぞ。これだ。この、一つ一つが魅惑で破壊的にできている............
そうしているうちに、私はふふっとなった。
楽しい。楽しすぎる。ご主人様で妄想。
俺は女子か!
しかし俺はご主人様のようなら強くなるために筋トレをしている。
憧れなのだ。
あー、ご主人様ー。
かっこいいいい。
私でさえも憧れるのだ。
あぁ、はやくああなりたい。
ご主人様みたいに。
ご主人様、美しい。
あの蛙、もしかして海の近辺に住んでいるのか
そして、ご主人様と関わりがあったように聞こえた
ということは
俺のことが好きなのか、二人とも。
そうかそうか。二人とも好きなのか。そうか。
何だか照れるぞ。
ばびぶべぼ
?
何だ
ばびぶべぼ
何だっ
俺のふくらはぎから声が
「ばびぶべぼ」
これは、どういうことだ
もしや、筋トレのし過ぎで我がふくらはぎが、おかしくなってしまったのか?!
「ばびぶべぼぼぼぼぼぼぼ」
俺は愛する子がおかしくなって気を失った
ーーーーーーーー
蛙は震えていた
怖いなあ。あの人、今頃どうなっているのだろう。いくらあの人のためとは言え、ご主人様やりすぎな気もするなあ。
僕があの人のふくらはぎに念を送って腫れさせたのはいいけど、ご主人様が追加でした念は少し気が引けるものだった。
後で聞いて焦ったんだ。でも、それがあの人の為かなあ。
---俺がかけた念はな、二週間の間、彼のふくらはぎが少しだけ悪の命を持った存在になるようにしたんだ。--
聞いただけでぞっとしたなあ。
思わず「そこまでしなくても」って言ったら「ほう。お前は私に反抗するのかな。君は私の下部であろうが。」って影が入った笑みをしながら言われて、了承せざるをえられなかったなあ。
まあ、ご主人様の考えられることなら問題ないのかな。
僕もご主人様、好きだし。僕も、ご主人様の為なら望んで鍛えてやるし。
ご主人様、僕も。俺も同じです。僕は主様の下部です。主様の外の世界に出ることあったら、僕はそれが誰であろうとも殺します。
背中にハートマークをした蛙はその姿が残酷な笑みを浮かべた、背中にハートマークの模様があるガタイの良い男の人の姿に変わった。
そうだ。私は分かっていたのだ。
彼ら二人は性質的には相性が悪い。
それでも彼らは私にとって大切な下部だ。
私の大切な、下部。
二人はそれを理解することによって、仲良くなるに違いが無い。
お前たち二人とも、私の為ににいるのだ。
私が外へ君たちを出すことがあったら、遠慮なく命じるので、そのとうりにするのだぞ。
主は黒い笑みを浮かべた
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