6

オーブンレンジに蜜柑を入れる


混ぜてやる


さて。蜜柑と魚をミックスしたらどんな感じの味になるのかなー


........


そろそろかな。よし。取り出そう。


うわっ。めっちゃ変な匂いする。


ちょっと胡椒もふりかけてみるかな。


これで、今日のディナーは完成だね。


ご主人様に早速見てもらおう。


主様のお部屋は、ここか。


へーい。すみません。主さん。


あれ、今日はいらっしゃらないのかな


へーい。すみません。


あれ。今日はいないのかな。


へー


「ここにいる」


うわっ


びっくりした


やっぱり綺麗な見た目だなーー


女の子はみんな彼に惚れる。それは抗えないかなー。羨ましいけど、俺じゃあなれないしなあ。


主様。すみません。急に。


「いい。俺の部屋に来たのだね。なんだい。」


「あの、今日こそはと思って最高のソウルフードを作ってきましたよっ。良かったら、どうぞ。」


「そうだね。ありがとう。後でもらっておくよ。今は置いておいてね。」


「へーーい。」


ご主人様、今食べてほしいんだよなあ。それで、味の感想を聞きたいんだ。美味いっ!みたいな感想を具体的に。


「美味いと思うよ。今はもう少しお仕事があるから待っていてね。」


「へーーい。」


やっぱり心の中の声が丸見えなんだよな。ご主人様には。


早く感想が欲しいから、ここは一旦帰ったふりをして、感想を聞きにここに隠れていよう。


俺は隅に隠れることにした


ご主人様、まだお仕事終わらなさそうだなあ。


何かを忙しそうにせっせとやっている。


そろそろ休憩として食べてもいいんじゃないかなー


あっ!俺の料理に手を伸ばしてくれたっ


口の中にっ!


さて、お味は


あれっ


笑顔が綻ばない


なんでだよっ


ここは笑顔になられていいはずなのに


俺の料理は不味くないよ


美味いすよね


「美味いな。」


あっ。ご主人様が美味いって言った。じゃあ美味かったんだ。良かったあ。


安心した。


「美味いな。この蜜柑の香りと魚の香りがいい感じにマッチをしている。」


あっそれは美味いいい文句。あ、嬉しいな。モチベが上がるわ。もっと作ろうという気になれる。


「いいぞ。もっと作って欲しいな。」


あっはーいっ


俺の心の中の声丸聞こえなんだな。こうして主様のお部屋から離れているところで隠れていても。


まあ嬉しかったわー。


これからもっと作ろう。今から既に作ろう。


何作ろうかなあ。


そうだ、卵を割りまくった何かとか、漢方薬をたっぷり入れたシチューとか


よさそうだ


早速作ろう。


ポトフでも作るか。


材料は既に部屋にある


シチューで作る材料の同じような感じだよな、ポトフって。


にんじん、じゃがいも、ブロッコリー、バナナ、チョコレート、納豆、お米少し。


これらを混ぜてシチューのとろみを少し抑えたような感じで煮込めばポトフの出来上がりなんだよなー。


ちなみにさっきご主人様にあげたのはムニエルだぜっ。


魚のムニエル。超美味いと思うよ。


魚のムニエル、美味しくって思われただろうなあ。


これからあげるポトフはそれよりさらに上を行く旨さがあるかもしれないぜ。


おっしゃ。気が乗ってきた。


気が乗ってきた。


さあさ、今煮込んでるから、これからこの、へへっ。バニラクリームを入れるぞ。


さっきチョコレート入れたからきっと美味いに違いがないよね。


さあ、入れてっ。


お次はこれ。辛いスパイス。えっと、ブートジョロキアってやつよ。これを入れるんだ。


これは辛いぞっっ


後に、何を入れようかなあー


んー、トマトかなっ


あっいいね


あとは、サイダーもいいかもな


あっいいなあいいなあ


あとは、これっ。コーヒー。


いいなっ


ようし。ゆっくり煮込んで、ご主人様へお渡しをしに行こう。


ようし。


ようし。


かんせいだっ。


これから渡しに行くぜー


へろーへろーご主人様っ


ご主人様ーー


今はお部屋に


あっいらっしゃる。あ、疲れて寝ているかな。ようし。


ご主人様のお隣にこう、料理を置く。


よっし。さいならーっ。


感想書くのが楽しみ過ぎてそそくさに部屋から出


られなかった


急に凄い速さでご主人様に回られた


「あっ。ご主人様っ。お料理を置いておきましたよー。」


「ああ。ありがとう。君も今日は沢山お料理を作って疲れただろう。一緒に食べようじゃないか。」


「あっ!いいんすか?」


「うん。いいんだよ。食べよう。一緒に。」


「へいっ!」


わぁー!楽しみだなあ、ご主人様と一緒に食べれるとかマジで嬉しいなあ。一口食べた瞬間に、あっこれは美味すぎるって口にもならないかなあー。


さあさあ、これから食べるよ。


ご主人様が一口食べたっ。


笑顔に


ならないのはなんでだろうな。あぁそうか。俺の料理がうますぎるから顔にも出ないんだ。


それなら俺も食べるわ。いただきまーす。


うっ



なんだこれ



まず


助け


「これで少しは学べたね。」


ご主人様が倒れた俺を抱っこしてベッドで寝かせる


「今回、一緒に食べれて良かったよ。美味しかったよ。」


「えぇ、そんなはずはありませんよ。僕は、あんなまずいものを何回もご主人様に」


「美味しかったよ。ただ、学んでほしかったんだ。学んで、成長してほしかった。君なら出来る。」


「へ、へーーい」


「俺の世界の外側の世界にさ、相当酷い料理人がいてな。そいつの料理は髪の毛が入っていたり針が入っていたりうんこが入っていたり色々入っているんだ。」


「えっ それって既に食べ物ではないのでは」


「そうなんだよね。食べ物じゃないんだ。それを入れて調理をするんだ。」


「えぇ 流石の俺でもそこまではやりません」


「だよね。君は立派な料理人なんだ。自信を持ってね。君なら出来るよ。しかも、君の研究熱心なところ、好きなんだ。」


「は、はいっ!」


俺は何だか自信がついてきた。俺なら出来る気がしてきた。


「できるよ。自信を持ってね。」


「はいっ!」


ご主人様を喜ばせるメニューを作ってみせる。


日頃から忙しいご主人様のために作れるメニューで。


えっと、レシピ通りに作ればいいよなあ


すみませんでした。


レシピ通りに作ってご主人様に届ける。


それが第一の目標。


楽しみだな。喜んでもらう顔を見るのが。


ご主人様めちゃくちゃイケメンだからその顔を見るのは尚更楽しみなんだよなー。


そのためなら精一杯作るぜ!


楽しみだなあ。ご主人様の喜ぶ顔。


きっと俺を一流の世界シェフにしてくれるかな。


何ならそれを狙ってみてもいいかもしれないな。


「ーーさーん。お届け物でーす。」


あっ俺にか


「はーい。ただいまー。」


「はい。どうぞー。」


受け取る。


何だこれ?


これは


俺は頭が真っ白になった


これは


ご主人様の胃の中で溶けている最中に引き出されてそれなりに溶け残ったモノじゃないか


それは原型を留めていなくて何なのか分からなかった


これは


届け物のラッピングを確認してみる


これはあの人だ


ニュースでやってた


あの人のものだ


この前にニュースで、またご主人様の胃の中で処刑された女性がいたって。


えーっと、確か名前はノゾミって言ったな。


ご主人様の血管の中を飛んで走行していたっていっていたな。


確かあの時は法律で触ったらいけないシャボン玉が走行中の時期だった。


なぜそうな時にわざわざそこを走ったかな、この人


そう疑問に思いながらそれを見る


あまりにもグロテスクに溶けていて人であるとは信じられなかった


単なる何かの生もののようだ


どうしてこんなのが届いてきたのだろうか


誰が


んー


んー


考えても分からなかったので、人も一応食材にはなるし、これでシチューとか作ってみるかな。


この人また、ご主人様の胃の中に入り直すけどな。今度こそ完全消化っつー訳で。


よしよし。


溶けろ溶けろ。


じゃあ、これから調理しまーす。


ガタガタやっているよっ。人っていうことはまず肉だと思うからさ、シチューの肉ということでやるわ。後はレシピ通りにやれば美味いはずだ。


俺はシェフだもんなあ。


このくらい、作れないでどうするっと。


ガタガタやってるのも、もう少し。


はい、完成だ。


これを主様の元へ持っていく。


いそいそと進む。


目指すはご主人様のお部屋へっ。


さあさあ。


早くっ。


とうちゃーくっ。


開けるぜ。


「お邪魔しまーすご主人様ー。」


「あぁ、おかえり。」


うっ。やっぱりご主人様の容姿の美しさの破壊力はやばいな。さっきからまた見てもぐらつきそうだ。こうな人が俺たちの主様なんだよなあ。


「おかえり。美味しいお料理をありがとう。早速食べるね。」


「さあさあどうぞ!」


「いただきますっ。」


さて今回はどうだろう


おっ。微笑んだぞっ。


ってことは。


「あぁ!今回は良いぞ!」


っっしゃあああああ!


「良かったら隣でお前も食べるか?」


「あっはい。いただきまーす。」


俺の作品を俺で食ってみる。


あっなかなか美味いやん。全く。今までの俺は何を作っていたんだか。食い物か?


「食い物だよ。君はちゃんと食べ物を入れていたしね。」


「えっ、またそれは当たり前っすよ。」


「うん。それができない人もいるからなあ。」


「マジっすか。」


それが出来ない料理人なんているのか。えっ、食い物じゃないのを入れるとかそいつどんだけ俺より下手なんだよ。


「君のは美味しいよ。」


「へいっ!そうだといいなあ。」


「そうだよ。これからも頑張ってね。」


「へいっ!」


このお肉も美味しいなあ。このシチュー。


こんなに食感がいい肉なんてあんまり食った事ないな。遭遇したことない。何の肉だ、これ?


あれ、何の肉だっけ。思い出せないな、忘れたわ。


まあいいか。美味いんだ。


「この肉美味いっすね!」


「あぁ。そうだね。蕩けるような旨さだけど、これは。」


「えっ、これは、なんすか。」


「いや、何でもないよ。こういう食感の肉ってあんまり食べたことないよね。これね、変わった肉だよ。」


「うん。なんか、そんな感じだったみたいっすよ。」


「うん、君は何かを知ったことがあるのかな。」


「うーん。あったかもしれないんすけど、覚えてないんすよねえ。」


「なるほどな。これは恐らく、君は知らない方がいいよ。」


「えっ、そんなものなんすか!なんか気になるなあー。まあいいかあ。ご主人様が気にしない方がいいと言うのならそうなんだろうなあ。」


「うん。そうだよ。君はこの肉のことを忘れてね。美味しいからって調べようとしてはいけないよ。」


「へーい。」


ご主人様、真剣な顔をしているな。


ということは、そうなんだろうなあ。


一体何の肉なんだろうなあ。


ふーお腹いっぱい。


「部屋に戻るのかい」


「ええ。そうっすよ。」


「そうか。今日もありがとう。美味しかったよ。」


「へーーい。ご主人様も、お疲れ様っす。またー。」


「うん。またね。」


今日は色々学べたなあー。


レシピ通りに作れば普通に良かったんじゃん。


それを俺は何でかなあ。


まあ、色々入れれば美味いって思っていたんだろうなあー。


部屋に戻る。


あれっ?


何か、片付いているな。


確か何かが届いてそれを少し料理に使ってそのまま残りは置いていたはずなんだけどなあー。


どうなってるんだ。


まあいいか。


思い出さない方がいいことってご主人様が言ってたし。


今日はこのまま寝るとするかなー、疲れたーいい意味でー。


ーーーーーーーー


「そうか。ならいいんだ。またね。」


主は誰かと通話をしていた。


「あの肉はやはり彼女のものだったか。どうしてだ。俺の胃の中で全て溶けた筈ではなかったのか。途中で引き出された、だと。」


「そうなことがあっていいはずがない、あれは、あの肉は、食していいものではなかったのだろうか。俺には何の影響も無いが、そういったものを食べることに対して抵抗感は湧くものだったりする訳。」


「ということは、あの子が心配だ。」


あの子の部屋へ急いで行く


急いで


急いで


着き、ドアを開ける


そこには溶けて亡くなった今日の料理長である彼の姿があった


「っ!」


やはりか。俺のせいだ。俺が彼にも食べるように勧めてしまったからこうなことになってしまったんだ。


申し訳ないことをした


彼女の肉を食べて俺の胃液も口に入れ、こうなってしまったのだ。


申し訳ないことをした


これは何だ


ここにラッピングがある。恐らくこれで元凶である肉を解いたのだ。


誰が彼にこうなものを送ったのだ


考える


考える


考える


するとある人物が思い浮かんだ


その者のところへ行く


俺なら主なので直ぐに着く


着き、インターホンを押す


「はーい」


声が聞こえた


ドアが開かれる


「ご、ご主人様?!」


その者は私を見て見惚れている。「やはり間近で見ると破壊力がエグいなあ。世界一の美青年、いいなあ。」と呟いた。


「こんばんは。今夜は君と話がしたい。」


「あ、はい。いいですよ。どうぞ。お家にご主人様が来られるなんて、ツイてるなー。」


私の推測が間違いなければこの者が、消化の途中の彼女を引き出し、彼に送りつけた人物。


この者は何故にそのようなことを


「はい。どうぞこちらへ。」


私は勧められた椅子に座る。


「それで、お話とは何でしょうか」


「直に問おう。貴方は、前にある女性が私の胃の中で死刑になった時に、私の胃の中で消化の途中だった彼女を引き出したか」


「えぇ、なぜそのようなことを」


「貴方がそうしていた可能性が考えられる。素直に答えればいい。」


「あ、はい。しました。消化の途中だった彼女の体を中から引き出しました。」


「ふむ。やはりか。なぜ、そのようなことをしたのだ。」


「単純な理由ですよ。柔らかくなっていて美味しそうだったので。お料理にいいかなあと。」


「そうか。それは分かる。しかし、よく出来ましたな。消化の途中である私の胃の中からどのようにして引き出しましたか」


「警備員さんに申し出たのです。「彼女はこのまま処刑されたことにして、あそこからあの肉を早く早く引き出して私にあの肉を譲ってほしいのです。早く早く!」と。」


「それで、それが成功をして見事に手に入った訳か。」


「そうですよー。なかなかに良かった手順でした。すっと下さいました。ご主人様の胃液が跳ねないように、付着しないように、用心しながらしながら下さいました。ラッピングも綺麗でしたよね。」


「なるほど。よくやったな。確かに私には彼女はあのまま処刑されたのだと知らされたぞ。」


「はい。上手くいきました。ご主人様にはすこし申し訳ないことをしましたが。」


「いいんだ。よくやった。そして、その肉を貴方は食べていませんね。」


「えっ、え、なぜそれを」


「簡単なことですよ。その肉を貴方は誰に送りましたか」


「彼のところです。ーーさんのところ。彼、料理熱心でしょう。だからいいかなぁーと思って。」


「やはりか。それで、結果的に彼は死にました。」


「えっ そんな」


「まあ、貴方は彼を意図して殺害する目的だったのでしょうが、私はそれを黙秘しておきますのでご安心ください。」


「うっ え え え え え あ あ あ ごめんなさい!」


「いいのですよ。殺害したい欲は誰にでも湧く可能性がありますからね。その代わりに、何故彼を殺したのか、その理由をお聞きしても宜しかったでしょうか」


「はい。だってあいつ、僕のことを何だと思っているか。単なるゴミだと思っているのか僕になら何をしてもいいと思っていたのでカッとなって殺しましたね。」


「なるほど。彼は君にそのようなことをしていたのか。」


「そうなんすよ。僕だから何をしてもいい。何を言ってもいい。で、僕を事の悪人にしたり、友人のグーに僕の有りもしない悪い噂を流されたりしたりして。グーは僕がそんなヤツじゃないと分かってくれましたがそんな事までされて彼の心を掴んだ殺すことを計画して実行した訳です。」


「なるほど。それは心底痛み入ります。大変でしたね。よしよし。今回の事でお心が晴れましたか」


「んー。ざまあみろって感じですかね。グーは彼がいつも仕事の配達で僕のところに来てくれるのですよ。その姿が立派で。仕事上手っすよね。いつも笑顔で。その姿が立派で良くて、僕はよくお菓子やご飯を与えていたのです。あいつは精々、あの世でさらに辛い苦痛を味わえってんだって感じですかねー。」


「なるほど。それはご安心を。きっとその相応の罰は受けるでしょう。」


「はいっ!ご主人様、ありがとうございます。」


「貴方は心優しい方です。良い方です。是非、今後もご自由に生きられて下さいませ。では、事情も聞けた事ですし、私はこれでお暇致します。」


「お気をつけてお帰りください。」


「また何かありましたら、今度は殺人を起こさずに私へご相談をされて下さいませ。力になりましょう。」


「意識しますね。まあ、あいつほど殺したかったのはいませんから問題ありませんね。」


首を上下に振った


なるほどな。恨みによる殺害だったのか。さぞやすっきりしただろうな。私の胃液で溶け殺されたのだ。世間で言う「処刑」と言っても過言では無い。


ぜひ、今後もあの方が殺人がないように思う


帰ろうとした


その時だ


頭上からグーが落ちてきた


彼が私の頭の上に落ちてきた


っつ。


グー「いっでえ。あ!ご主人様、こ、こんばんはっ。すみませんすみません。そしてやっぱりイケメンだなあーー。またこうして間近で見ると破壊力強すぎておどろく。」


「あぁ、グー、こんばんは。どうして上から降ってきたのだ。」


グー「この子の家に遊びに行こうと思ったんすよー。遊ぼうって呼ばれたもんで。そうして飛んでいたんすが、落ち方失敗しちまったす。」


「なるほどな。怪我はないか、グー。」


グー「えっ、俺は平気っす。俺は。ご主人様に当たってしまって」


「私の事は気にするな。私は平気だ。見たところ、お前にも不定は見られない。安心した。」


グー「良かったっす!えと、ご主人様も何故彼の家に?」


「彼の家は遊びに行った。それだけだ。」


グー「あー彼の家にも遊びに行かれるのですねっ。彼いいっすよねー。気前良くて。俺にはいつも色々くれる。そんなにしてくれていいのかよって感じすよー。」


「うん。彼はいい子だね。彼は君のことを話していたなあ。いつも笑顔で仕事もできる良い人だって。」


グー「えっマジっすか?!うわーーてれるーーあいつそんなこと、えっ、えっ、えっ、は、はーいっ。それじゃあまた!」


「あぁ。気をつけて遊ぶのだぞ。」


グー「へーーい」


二人は仲が良いのだな。


ふむ。


よほど、彼は心が傷付けられたのだろう


彼は優しいので、それによって心が掴まれないか心配だ。


我が嫁のように。


さて、考えるかな。


死んでしまった彼を


如何にするか


うーむ


考える


考える


考える


生き返らせるか。


城に戻ろう。


城に戻ると、既に城が全体的に溶けていた。


私は恐怖に慄いた。


私の胃液と言えど、その破壊力に驚かされる。


拙いぞ。


城の者も死んでしまったに違いがない


私は念力で直ぐに元通りに直す


するとたちまちに元通りに戻り


彼も生き返った


「----はっ。ご主人様。おれ、おれ、やばかったみたい」


「うむ。そのようだ。君は、自分の死因を分かっているか。」


「うん。死んだ後によく考えてみたんすけど、俺、ご主人様の胃液で処刑された人の肉を食べちゃいましたね。」


「そうだ。それが原因だ。すまなかった。私が、君を食事に誘ってしまったからだ。」


「えー、ご主人様何も悪くないじゃないですか。気に詰めなくていいのに。あと俺、生前、いや今は生き返っているけど生前やばかったっす。」


「ガディへのことか。」


「知っておるんすね。」


「知っているな。それは君にも非がある。直したかい」


「更生しました。俺、悪いことした。」


「ならいい。」


ご主人様はフッと笑った。やはりイケメンだから天の笑みだ。


「では、今日は遅いので早く寝なさい。」


「あっ、そんな時間だったんすね。てか俺、死んでからもの数時間しか経ってなかったのか!それじゃあまるで寝てるのと同じじゃーん。おやすみなさーい。」


「またね。」


今回の事は、とある人物の恨みによる犯行だった。それであのようなことになった訳だが、俺の世界だ。何でもできる。俺がまた治す。しかし、申し訳ないことをしたものだった。私も、気を抜いてはいられないな。


当然、私の元に処刑が完了したという知らせだったというのも嘘だ。本当は彼が遺体を引き出して持ち帰ったのも聞いている。


私は世界の主。


彼らには寛容でいたいのだ。

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