第23話 じゃあな!!ちょっくら行ってくるわ!!

「オ前、ソレ、モット早ク言エヨ!!」


 弦人は慌てて馬に飛び乗ろうとするが真島が弦人の後襟を掴んで止める。


「待て。連中の目的はあくまでお前だ。お前がいなかったら連中は白銀の魔女に用はない」


「デモッ!!」


 そこでずっと沈黙していた七瀬が口を開いた。


「白銀の魔女は稀代の大魔道士と呼ばれるくらいの天才よ。攻撃魔法にも長けてる。6期の私達が束になってかかっても一瞬で消し炭にされるでしょうね。レベル0の君が行って、邪魔になることはあっても助けにはならないわ」


 七瀬は冷たくそう言い放った。


 痛いところを付かれた弦人は恨めしそうに七瀬を睨んだ。

 が、七瀬は顔色を変えずこう言った。


「悔しかったら早く強くなりなさい」


 弦人は拳を握り込んだ。


 反論のしようがねー......


 弦人は天を仰いでしばらく考えた。

 しばらく考えたあと真島に問うた。


「真島、ソノ“スライムノ森”ニ行ケバ俺ハ強クナレルノカ?」


 真島はニヤリと笑って答える。


「レベル2〜3くらいまでだったら、安全かつ効率的だと思うぜ」


 そう聞いて弦人は、七瀬の方を見た。


「宮平、頼ミガアル......俺ノ代ワリニ、フレアノ所ニ行ッテクレナイカ? オ前ナラ俺ト違ッテフレアノ力ニナレルダロ」


 七瀬は無言で応えない。


「オ前ノ言葉デ言エバ“助ケル義理ハナイ”ダロウガ、コノ通リダ」


 弦人は七瀬に向かって頭を下げた。


「あれ......俺は......?」


 相棒宣言したはずの真島が、自分を指差しながらおずおずと聞いてきた。


「オ前ハ、マダ信用ナラネー」


 弦人は七瀬に頭を下げたままそっけなくそう答えた。


 真島はちょっと泣きそうになっていた。


「......攻撃魔法を覚えたいと思っていたの......」


 沈黙していた七瀬がぽつりとそんなことを呟いた。


「白銀の魔女の攻撃魔法なら、申し分ないわ.......」


 その言葉を聞いて、弦人は顔を上げて、七瀬を見た。


「仮定の話だけど.......もし攻撃魔法を教えてもらうためにしばらく白銀の魔女の所に滞在するとしたら.......その間にもし6期の他の者が何かしかけてくるようなことがあれば......私はきっと戦うでしょうね......」


 七瀬は明後日の方を見ながら途切れ途切れにそう言った。


 ホントに可愛くねーなー......


 弦人はそう思いながらも七瀬に心から感謝した。


「アリガトウ、宮平!!」


 弦人はそう言ってもう一度深く頭を下げた。


「真島、ジャア馬ト荷物貰ッテクナ」


 弦人はぶっきらぼうにそういってじゃあと真島に向かって手を挙げた。


「なんか、俺、扱い雑じゃね!?」


 真島は、七瀬との扱いの差に全力でつっこむ。


「当タリ前ダ!! 誰ノセイデコウナッテルト思ッテル!?」


 被害者ヅラの真島にそうツッコミ返したあと、弦人は馬に乗った。


「ジャアナ!! チョックラ行ッテクルワ!!」


 弦人はそう言って馬を走らせた。


 かくして弦人はレベルアップの修行の旅に出たのであった。


 いざ、“スライムの森”へ。



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