第22話 何かと期待したら、スライムかよっ!?
真島は親指と人差し指を口に加え、指笛をぴゅーぃっと吹いた。
すると森の奥から一頭の馬が現れる。
馬の背にはいくつか荷物が積まれていた。
「俺からの餞別だ。お前の馬はさっきどっか行っちまっただろ? レベル0で馬なしでその辺のろのろ歩いてたら、速攻でモンスターに捕まってジ・エンドだ」
真島はそう言いながら、親指を立てて首を切り落とすジェスチャーをする。
「水と食料、それから安物だが......」
真島は荷物の中から一本の剣を取り出した。
「盾の勇者や槍の勇者ってのもいいが、勇者と言えばやっぱり剣だろ」
と、訳のわからないことを言いながら剣を弦人に放り投げた。
「それ持ってとりあえずこの場所に行け」
真島は懐から地図とペンを取り出し地図上のある場所に丸をつける。
弦人が地図を受け取ってその場所を確認したところ、ここからかなり遠い上にフレアの家と逆方向だった。
「ココニ何カアルノカ?」
「いや、別にただの森だ」
「ンジャ、ナンデココニ行カナキャイケナインダヨ?」
「いるんだよ。剣と魔法の世界定番のとびっきりのモンスターが♪」
真島は顔を弦人に近づけ小声でそう言った。
「マサカ......ドラゴンカ!?」
弦人はドラゴンとの戦いを想像し目を輝かせる。
「いや、スライム♪」
弦人は盛大にずっこけた。
「何カト期待シタラスライムカヨッ!?ナンデタカガスライム倒スノニンナ遠クマデ遠征シナキャイケナインダヨ!?」
弦人は全力で不満をまくし立てた。
「お前な......自分の立場わかってるか? レベル0だぞ。しばらくはスライムでも荷が重いっつーの」
真島は呆れた顔でそう言った。
「その森はな奇特なことにスライムしか棲息してなくて、別名“スライムの森”って言われてる。レベル0のお前のレベル上げには持ってこいなんだよ。しかも、世間一般にあんまり知られてないマイナースポットだから6期の奴らもまず来ない。」
「ニシタッテ、スライムナラワザワザソンナトコマデ行カナクテモイイダロ」
スライムならフレアの家がある地域でも探せばいるだろうと弦人は考えていた。
「お前、白銀の魔女の所に帰るつもりだろ。聞いたぞ。お前、あの魔女のヒモなんだってな?」
「俺ハヒモジャネー!!」
弦人は久々に定番のセリフを吐いた。
「まあ、ヒモかどうかはどうでもいいが、問題はお前が白銀の魔女の家に住み込んでるって情報が知れ渡ってるってことだ。お前を追ってる連中はたぶんもう白銀の魔女の所に向かってる」
その言葉を聞いて弦人は顔色を変えた。
フレアが危ない!!
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