第20話 ベリーハードモード通り越してもうナイトメアモードじゃねーか!!

 話は現在に戻る。


 一部始終を聞き終えた弦人は頭を抱えてうずくまっていた。


「デ......何人ガドコ二賭ケタンダ......?」


 弦人は頭を抱えたまま恐る恐るそう聞いた。

 その問いには真島ではなく七瀬が答えた。


「ほぼ全員がカラーの黒......」


「アアアァァァーッ、ヤッパリカァァァーッ!?」


 弦人は頭を振って絶叫する。


 つまり、カラーの黒に掛けた全員が1年間殺すつもりで弦人を追い回してくるということだった。


「いやー、まさかこんなに一極集中するとはなー」


 真島はいやー困ったなーという表情をしている。


「ウソツケ!! アンタ完全ニ誘導シタダロ!! 」


 わざとらしい真島の発言に弦人は全力でつっこんだ。


「ホトンド俺ノ首ニ賞金カケタヨウナモンジャネーカ!? ザッケンナヨッ!! コチトラ、レベル0デタダデサエ“ベリーハードモード”ナノニ、コノ上同期ガ数十人ガカリデ殺シニクルトカ“ベリーハードモード”通リ越シテモウ“ナイトメアモード”ダロッ!? ダイタイナ、ドッカノスタンドミテーナ派手ナ能力使ットイテ、ヤッテルコトハ結果俺ガ生キルカ死ヌカノ丁半博打ジャネーカッ!! 完ッ全ニ能力ノ無駄遣イナンダヨッ!!」


 弦人は言いたいことを言いつくしてハアハアと肩で息をしている。

 が、そこで弦人はふと思い出した。


 あ、やべ、この人、元の世界で闇カジノとかやってるハンシャだった......

 怒らせたら、マズイよな......

 下手すると、この場で殺されるかも......


 弦人は態度を翻して、恐る恐る真島の顔色を窺う。

 しかし、真島は弦人の罵詈雑言の途中からうつむいて顔色が窺いにくくなっていた。


 あ、やっぱり、ヤバいかも......


 弦人がもうダメかと思った矢先......


「く、くく、くははははははっ!! いいねっ!! やっぱ、お前最高だわっ!? あは、あは、あははははははは!!」


 と、真島は急に狂ったように笑い出した。


 あー、そのヤバい笑い方映画で見たことあるー......

 サイコパスの殺人鬼とかの笑い方じゃん......


 弦人は自分を殺しにくる同期の冒険者たちよりも、この得体の知れない真島の方がはるかに恐ろしいということをいやというほど痛感した。


「それでこそ、俺の“相棒”にふさわしい」


 真島はひとしきり笑ったあと、ぽつりとそんなことを言った。


 ん......

 今、この人、なんか、変なこと言わなかった......?


 弦人は、真島のその些細な一言の意味がよく分からず、恐る恐る問い返す。


「アノー、今、ナントオッシャイマシタ......?」


 真島はその問いに満面の笑みでこう言った。


「ソウマ・ゲント、俺と組まないか♪」



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