第18話 絶対、異世界召喚されるタイプの人じゃないだろ!?
七瀬はすかさず馬を下り剣を抜いた。
「あなた、なぜここにいるの!?」
トゥルーディを出てから他の冒険者達はもちろん追ってきている者が誰もいないことを確認しながらここまできた。
にも関わらずなぜここに彼がいるのか?
「いや〜、たまたまだよ。たまたま♪」
真島はそう言って口の両端を吊り上げる。
言いようのない不気味さを放つ真島に七瀬は剣を構えて警戒する。
「七瀬ちゃんこそ、俺の“ルーレット”には参加しなかったじゃない? な〜んで“レベル0”君を助けたのかな?」
真島は逆に七瀬にそう問い返す。
こいつ厩舎の前での攻防も一部始終把握している......
いったい“どこ”から“どうやって”見ていた?
得体の知れない真島に少しの情報も与えないほうが安全と考え、真島の問いに七瀬は沈黙で返した。
「アノー......オ取リ込ミノトコ悪インダケド......コノ人ダレ?」
完全に蚊帳の外で話についていけない弦人が申し訳なさそうに割って入ってきた。
「はじめまして、“レベル0”君。俺は、真島妖一。君より3年この世界のセンパイだ。元の世界じゃ新宿で闇カジノを経営してた。そんな経歴もあってこの世界じゃ“ディーラー”って呼ばれてる」
真島はそう自己紹介しながら大仰にボウ・アンド・スクレイプ(西洋風のお辞儀)をする。
や、闇カジノ......
完全に“ヤ”のつく人じゃん......
絶対、異世界召喚されるタイプの人じゃないだろ!?
つくづくなに考えてんだよ、この世界の神々は!?
「ヨ、ヨロシクオ願イシマース......」
弦人は真島の自己紹介にドン引きしながら後ずさる。
「さ〜て、遅くなってしまって申し訳ないが“主役”にも“ルール”説明しないとね〜」
真島はそう言ってことの顛末を話し始めた。
遡ること1時間前。
ベルガーファ神殿の大聖堂。
「ゲーム......?」
「ゲームだと......?」
真島の提案に一同はザワついていた。
「そう、ゲームだ♪」
真島はそう言って、右手を前にかざす。
その手の前に紫色に光る魔法陣のような紋様が現れる。
そして、真島の背後に女性のカジノディーラーのような姿の巨大な人形が現れる。
人形は口を開き、声を発した。
『固有スキルを発動します』
その声とともに、真島の前に巨大なルーレット台が光とともに出現する。
『固有スキル《運命のルーレット》が発動しました』
人形はそう言うと、まるで冒険者たちを誘うかのように両手を広げた。
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