第17話 やっぱり可愛くねーっ!!

 二人を乗せた馬は、荒野を駆け、首都トゥルーディを徐々に遠ざかっていた。


「ワリーナ、宮平。2度モ助ケテモラッテ」


 弦人は七瀬に礼を言った。

 が、七瀬は応えない。


「ナア、イッタイ何ガドウナッテルンダ? 俺、何カ悪イコト言ッタカ?」


 とそこまで口にして、弦人は大聖堂での自分の発言を振り返り、すぐに思い直した。


 まあ......色々言ったか......


 にしてたって「アイツ調子くれてるからちょっとシメてやろうぜ」くらいならわかるが、あれはそういう空気じゃなかった......


 弦人は続けて七瀬に問いかける。


「アイツラ完全ニ殺シニキテタ。ナア、俺ガ大聖堂ヲ出タアト何ガアッタンダ?」


「勘違いしないで」


 弦人の問いに、七瀬はそう答えた。


「さすがにどうかと思って見かねたからさっきは助けたけど、これ以上あなたを助ける義理はないわ。自分が置かれた状況くらい自分で把握してくれる?」


 七瀬はそう言って会話を終わらせた。


 こいつ、やっぱり可愛くねーっ!!


 弦人はもう声に出して言ってしまいたかったが、仮にも相手は命の恩人でありぐっと飲み込んだ。


 1時間ほど走ったところで森に入り七瀬は馬を止めた。


「ここまで来れば十分でしょう」


 七瀬は振り返りもせずにそう言った。


 もう、ここで下りろってことね?

 はいはい、わかったよ......

 はっきりそう言えっての......


 弦人は心の中で毒づきながら、馬から下りた。


「あっれ〜? “レベル0”君に七瀬ちゃんじゃな〜い?」


 不意に森の奥からそんな言葉とともに一人の男が現れた。


 細身の長身にアフロヘア。

 青い柄シャツに黒いコート。


 七瀬は驚愕してその男の名を呟いた。


「真島、妖一......」



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