第23話:推しを人質にされる

 私は、三次元の推しはつくらないと決めているんですけど、『推しを人質にされる』って言葉はよく聞くようになりました。

 これは、事件性のあるガチの人質ではなくて…。

 例えば、あまり評判の良くない運営が主催の演劇公演に推し俳優の出演が決まった。

 …とかのパターンが多いかな?

 私の場合は、演者ではなく作品そのものが…って事がたまにあるかな。

 どんなに素敵な舞台で感動して…円盤の発売決定の発表がされて喜んでも、それから詳細は発表されず、最終的にどんなにいい舞台でも『あの運営はクソだった』みたいな印象が上書きされて終わってしまうんですよね。


 先日、とある演劇関係者の方が活動復帰するという報告をSNSでしていたんですよ。

 色々と炎上してしまったらしく、事件性のある内容だったみたいですね。

 私はこの件を調べていないし、詳しく知りたいとも思っていないのでふわっとさせておきます。

 ここで書きたいのは復帰された方の罪状がどうこうではないから。


 SNSで発表があった時、多くの人が『自分の推しと共演しないで欲しい』と発言していました。

 復帰された方の問題については様々な情報が出ていたようで、何が正解なのかはわかりませんが、一度ついてしまった印象を変えようとするのはとても大変な事だと思います。

 なので、起用されることも大変になるんじゃないかなと思います。


 ただ、私はこういう問題が起こるたびに思う事があります。

 私は、約10年間発売されていない円盤をずっと懲りずに待ち続けています。

 その舞台を知ったのは幕が下りた約6年後です。

 詳しくは知りませんが、千秋楽~円盤発売までの間に犯罪行為を犯したか発覚したかで、発売が中止になったみたいです。

 約10年経った今でも映像化はされていません。

 その公演は、当時劇場に足を運んで観劇した人達の脳内にしか存在しません。

 流石に、運営さんは映像データを保管しているとは思いますが…。

 例えば、アイドルのパフォーマンス映像をTVで使用する際に、脱退したメンバーや犯罪を犯してしまったメンバーの部分はモザイク処理がされたり、上手に加工して映らない様に配慮しているのをたまに見かけます。

 でも、舞台の映像ともなるとモザイク加工をするわけにもいかないですし、ましてや台詞があるのに毎回画面に映っていないというのも無理がありますし…。

 数年前に、当時共演していた演者さんがその時のフライヤーを投稿していたんですけど、件の演者さん部分は黒く塗りつぶされていました。

 フライヤーの裏面に出演キャスト一覧が顔写真つきで載ってたりするじゃないですか。あの部分です。

 その投稿を見た時に、『あぁ…まだダメなんだな』って現実を思い知らされるわけです。


 冒頭でも言いましたが、私は三次元の推しはつくらないです。

 でも、こういう風に作品の円盤発売に影響されてしまう事もあるんです。

 この件だけではなく、他の作品でもこういった事例はあるみたいですが…。

 舞台円盤というのは、その時その場所で登場人物が生きていた証だと思っています。

 私にとっては歴史書と言っても過言じゃないんです。

 それを一方的に奪われるのは悔しいし…悔しいです。

 以前から、もしも自分の作品が展開するとしたら映像媒体よりも舞台化がいい。

 と言ってるんですけど…。

 もしも私が創った登場人物達が生きた証を、そういった理由で白紙になったりでもしたら腸煮えくりかえりそう。

 反省したので復帰します。

 ご迷惑おかけした分を仕事で!

 なんて言われても、『この後』はどうにかなっても、『その前』はどうにもならないんだよなぁ……と。

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