第2話 白い貝殻
「あの子がそうなの?」
金髪の少女が隣のサングラスの男に尋ねた。
「そうらしい。どんな感じだい?」
「そうね・・・特に何も感じないけど・・・」
「カレンに視えないなら間違いかもね」
男はクスッと笑いながらそう答えた。
「もう!光一が手伝ってくれればわかるかもしれないのに!」
「そんなに早く結果がわかったら面白いくないだろう?楽しまないと!」
金髪の少女カレンは不機嫌そうにいうと光一と呼ばれた男はそう答えた。
「もう遅い!大輝ったらほんとだらだらしすぎ。」
「追いついたんだからいいだろう。」
なんとか二人に追いついた俺に愛美は早速悪態をついた。
信はというと、からかう様に
「大輝今日誕生日で自意識過剰になってるみたいだよ!」
「そんなんじゃね〜よ!たまたまなんか視線を感じただけだよ。まぁ気のせいだったみたいだけどさ。」
「え〜大輝、まさか変なものとか見えたりしないでしょうね。怖いからやめてよね・・・私そう言ういの苦手だなぁ〜。」
そんなくだらない事を話しながら俺たちは学校へ向かって足を早めた。
「ねぇ〜あれ何かな!!」
愛美が見つけたそれは手のひらほどの大きさの真っ白な貝殻だった。
「二人共みて!綺麗な貝殻!!」
「なんでこんなところに貝殻が落ちてるんだよ。愛美変なもの拾うなよ。」
「誰か海に行って持って帰ってきたのかな・・・でも綺麗な貝殻だね!」
その貝は真っ白で少し透き通った様な不思議な色をしていた。
愛美は俺の言うことなど聞かず貝殻のところへ駆け寄りしゃがみ込んだ。
「ほんと綺麗・・・貝殻を耳に当てると海の音が聞こえるんだよね・・・」
そう言って愛美はその真っ白な貝殻を耳に近づけた・・・・・
「え・・・愛美??」
愛美が貝殻を耳に近づけた瞬間愛美が姿を消したのだ。
「大輝!愛美が!!」
「わかってる!え!?なんで愛美が消えたんだよ!!」
「この貝殻の音すっごい素敵だよ!」
愛美は貝殻を耳に当てたまま立ち上がり後ろを振り返った。
「あれ?大輝??信??えっ・・・・」
愛美は周りを見渡したがそこに二人の姿はなく変わりに金髪の少女とサングラスの男が立っていた。
「初めまして。愛美さん。僕は城内光一(きうちこういち)。光一と呼んでもらっていいよ。
そっちの子は月乃カレン(つきのかれん)。親しみを込めてカレンちゃんって呼んであげて!」
サングラスの男光一は愛美へそう挨拶をした。
「光一!私の事は紹介しなくてもいいし、カレンちゃんなんて呼んで欲しくないからほっといてよ!」
カレンは不機嫌そうにそういうと愛美をじっと睨みつけた。
「どう言うこと?なんで私の名前を知ってるの?初めましてって・・・えっ?」
「愛美さん意外と落ち着いてるんだね。もっと焦ったり叫んだりするかと思ったけど意外だな。」
光一は驚いたような表情で話を続けた。
「そうだね・・・・どこから話せばいいかな・・・。先ず、僕たちは君に危害を加える気もないし、用事が済めば元の場所に戻して開けるから心配しないでいいよ。安心して。」
「・・・・・・・」
愛美は怖いという感情よりも自分は一体なぜこんなところへいるのか。これからどうなるのか。目の前の男の言うことが信じられるのか。大輝や信はどうなったのか。さまざまな思いと目の前の状況が理解できず言葉を飲み込んだ。
「愛美はどこに行ったんだよ!!」
「わからない!貝殻を耳に当てたところまでは見たけどそれから急に!!」
俺と信は焦りながら周りを探したが愛美は見つからなかった。
「どうしたらいいんだよ・・・・大輝・・・・」
「助けを呼ばないと・・・・・警察か?それとも学校か?」
「でも警察も学校も信じてくれるかな?愛美が・・・人が急に消えたって言って信じてくれるかな??」
「わからない。でもこのままじゃどうしようもないだろ!!」
俺は震える手で警察へ電話をかけた。
「学校へ行く途中で急に友達が消えた・・・・そんな冗談を言うためにわざわざ電話をかけたのかい?いたずら電話はダメだよ!」
警察へ電話をかけたが俺の話は全く聞いてもらえなかった。
「だめだ・・・どうしよう。」
「大輝、おばさんに伝えた方がいいんじゃないかな・・・・」
「そうだな・・・・俺たちだけじゃどうしようもない。愛美の家に行こう・・」
俺と信は愛美の家に向かうことにした。
「あら?大輝くんと信くんじゃない!?学校はどうしたの!?」
愛美のお母さんは俺たち二人を見るとそう言って駆け寄った。
「愛美は一緒じゃないの?珍しいわね。」
「おばさん・・・愛美が・・・いなくなってしまったんです。」
俺は震える声でそう伝えた。
「え?どう言うことなの?大輝くん??愛美がいなくなったって・・・・」
「学校に行く途中で愛美が貝殻を見つけて・・・・それを耳に当てたらいなくなってしまって・・・消えたみたいに・・・」
信が愛美のいなくなった状況を説明をした。
「・・・・・・」
愛美のお母さんは無言のまま目を閉じた。
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