第21話 0次会

相葉は、自分にナンパを仕掛けて来た弟のような存在である武史たけふみによって、晴彦たちに相葉がクビになって札幌でホテル暮らしする事を密告されていたのだ。


「こっそり教えとく!」


あのセリフを思い出す。

本当にやりやがるとは思ってなかったな…。


時計を見ると、もうすぐで5時半になる。

相葉は支度を始めた。

財布の中には3万円くらいある。


まあ3件行って15,000円くらい行けばいいほうだな!



0次会は食べ飲み放題のお店だ。

相葉がお店に着くと、3人が待っていた。


東「うぉ〜〜〜!!シンタ〜〜〜!!」

相「はるく〜〜〜〜ん!!!!」


2人はお互いのもとに駆けつけ、抱き合う。


古「お前ら本当仲良しだな。」


レンレンこと古谷ふるやれんだ。


?「ってことはあと1人来てねぇな!?」

古「あいつ何寝坊してるんだよ…。」

?「お前の弟子だろ。しっかりさせろ。」

古「んな事言われても〜。」

東「シンタ、兄貴落ち着かせてやれって。」

?「いや、俺ら苗字同じだし名前も似てるけど血繋がってねぇんだよ。」


レンレンの弟子である武史たけふみの遅れをツッコむ彼。


相葉あいば涼一郎りょういちろう

27歳で、晴彦とレンレンと同い年だ。

真太郎とは血は繋がっていない。


(※これ以降の会話シーンでの真太郎は『真』、涼一郎は『涼』と表記する。)


涼「とりあえず先に入ってるってこと伝えといたら?」

古「うん。とりあえずそう伝えとくわ。」



涼「すみません!生ビール4つお願いします!」


まず一杯目は誰もが頼むであろう生ビール。

華金を象徴するような金曜日の楽しい飲み会という感じがしてきた。


でも、真太郎には言うべきことがあった。


真「あの…実は派遣先から契約を切られていたのにも関わらず、それを黙ってて…本当にすいませんでした!」

古「それってさ、クビになったってことでしょ?」

真「うん…。」

涼「まあ、そんな落ち込むことないよ。お前も十分稼いでるんだからさ。」

真「本当に心配かけました…。」

東「でも、突然切るっておかしくね?何かやらかしたの?」

真「それが切られた理由について何も言われてないんだよ。でも一つ言えるなら、この副業をやっていたことか仮想通貨で稼いだことがバレたんだと思う。高い買い物もしてたし…。」

涼「まぁ確かに高い買い物してたもんな。でもそれだけでクビになるかな?お金貯めて買ったとかクレジットカードを切って分割払いで払ったとか考えられるけどね。」

古「派遣先が副業認めてなかったんじゃないの?」

真「それはそうだけど、他に不動産投資やりながら副業で派遣やってる人もいた。その人は派遣元と確認とって、派遣先に知られないようにと言われたっていうのは本人から聞いたことがある。」

東「そうだよな。派遣会社に雇われているから現場は口出しできないはずだよ。バレたとしてもどっちを取るか聞かれると思うけど、いきなり切られるっていうのはおかしな話だな。」



0次会の集まりでは武史たけふみがいない中、真太郎のクビの原因について語り合っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る