第14話 「する」よりも「される」

今のどう見たって"ナンパしてた"というよりも"女の子から逆ナンされたがってた"と言った方が正しいのではないか…?


相「あっ、そうだったんですか?ぐすっ!」

男「ど…どうしてそんな笑うんですか?」

相「えーっ?いや…だって女の子に全然声かけてないじゃないですか!しかもほらっ…ふふっ…女の子をチラッと見るだけって。」

男「そりゃあ色んなポーズ考えますよ。女の子がキャーキャー寄り付いて来るような体勢とかあるじゃないですか。声をかけられて一緒に夕食を過ごすとか…僕ってロマンチックなんですよ。」


恐らく一生声をかけられないだろうな。


相「いやぁ〜本当面白いですね。」

男「何がですかぁ〜?そういうあなたはナンパで女捕まえたことあるんですかぁ〜?」

相「あのですね〜ナンパでしか女の子と出会う方法知らないのですか?」

男「そりゃあ一番手っ取り早そうだからね…。」

相「ナンパで成功できるのはイケメンぐらいだと思いますよ。無視されるのがオチですよきっと。」

男「それじゃあ興味を持って貰えるまで話し続けるとか、ちゃんとかわいいとか、些細なところをベタ褒めするとか。」


危ない奴だなこいつは…。


相「下手したら別行動してた彼氏が現れて川に落とされたりするかもですよ?(※超極端な例え)」

男「もうそれやられたら死にますわ。」


流石にそこまでする奴はいないだろ。



彼はナンパをやめた。


というよりも、彼のナンパで俺が話に捕まり持ち帰られようとしていた。



名前は島田しまだ武史たけふみ

年は24歳と俺の2つ下になる。


相「ごはんは?」

島「食べたよ。」

相「宿は取ってるの?」

島「いや取ってないよ。」

相「家どこだっけ?」

島「札幌の豊平とよひら区だよ。」

相「じゃあもう帰るってこと?」

島「いや、帰らない。」

相「え?どこでとまるの?」

島「どこかの道端で寝る。」


正気かよこいつ!?

風邪引くぞ!?

それに誰に何されるかわからんし人が倒れてると勘違いして救急車呼ばれたりするかもしれない。

放っておいたら危ないな。


相「俺の泊まってるホテルにおいでよ。」

島「どこに泊まってるの?」

相「駅前のホテルだよ。大浴場付きで結構リラックスできるからいいよ。」

島「じゃあそうするかな。いくらかかる?」

相「5,200円。」

島「高いって!もうちょっと安いプランないの?」

相「あっ、あるわ。3000円。でもカプセルルームになるわ。」

島「えー普通の部屋がいい。というよりは真ちゃんと一緒の部屋がいい。」


オネェかこいつは。

いや、でも喋り方は普通だからせいぜい弟ってところか。


相「大丈夫。カプセルで寝る必要はない。お金を払ってそのままカードキーとロッカーキーを受け取るだけでいい。それからまっすぐ俺の部屋に直行しよう。」


そう言うと、カプセルルーム1泊3,000円のプランでホテルを予約し、チェックインした。


相「あっ、言い忘れてた。館内着とかバスタオル類は2階のカプセルルームのロッカーの中にあるわ。」

島「俺と一緒に取りに行って。」



子供かよ!



そう思いながらも、彼のナンパの初成功に貢献してしまった俺なのであった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る