北海道小樽市④
第13話 春風と回転寿司と…
派遣先との契約を突然切られ、自分の
今日は木曜日。
相葉は目覚めのいい朝を迎えた。
昨日の大森さんたちとのパーティーでは、ほどよくお酒を飲んだため、二日酔いはなかった。
何とも希望に満ち溢れるような外の空気。
窓を開けると、春風が相葉の泊まっている部屋に入ってくる。
北海道では桜が咲くのが5月頃と全国的に遅い。
北海道の5月はまだ春の空気を体感できる。
大学4年の時、ゴールデンウィークに友達と5人で
この頃の気温は確か20℃を超えていたかな。
相葉は大学4年の頃を思い出しながら服を着替え、外に出た。
ドライブ日和だなと思い、車で30分ほどの
相葉は去年、
いつ来ても心地よい場所だ。
◇
昼は
回転寿司に行こうか。
相葉はまた同じ有料駐車場に車を置いて、昨日パーティーで行けなかった回転寿司に行くことにした。
ホテルには戻らずそのまままっすぐ向かう。
歩いている最中に少し期待してしまう。
また大森さんとすれ違わないかなぁーって。
いるわけないかぁ…。
午後5時半頃、寿司屋に到着した。
平日なのでそれほど混んではいなかったので、すぐにカウンターに座れた。
ここの回転寿司は、北海道の中でも数が少ないチェーン店。
ネタの大きさは普通だが、新鮮さが際立っている高級なお店だ。
会計は6,000円ほど。かなりの満足度。
◇
ホテルにまっすぐ戻るのはつまらないと思い、心を最大限にリラックスさせるため運河を眺めながらゆっくりと帰る事にした。
川を眺めながら無心になろう…。
そう思っていた時だった。
少し離れた場所で、相葉と同じ体格の男の子が同じ姿勢を取っている。
その男の子の後ろを女の子2人が華麗にスルーしていく。
チラッ!
素通りされた男の子は女の子2人を一瞬見る。
彼は体勢を変え、
今度は二方向から女の子が1人ずつ通りかかる。
チラッ……チラッ……!
彼は素通りされた女の子2人をまた見る。
相葉は彼の仕草に思わず笑ってしまう。
顔を隠すように彼の反対側を向いて1人クスクス笑う。
また彼のことが気になって彼を見てしまう。
あっ、また後ろに女の子!
チラッ!
「ぐすっ!!!!」
これはまずい。
彼に聞こえるような声で吹き出してしまった。
すると、彼は相葉の方に近づいてきた。
相葉はさすがにまずいと思って身構えていた。
しかし彼の第一声は意外な言葉だった。
「いやぁ〜ナンパしてるところを見られちゃうなんて…。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます