第7話 これからどうする?

派遣先との契約が終了し、これまでの反省をさらっとした上で、担当からの提案を受ける。


「それで、うーんと…どうする?」


どうするとは、この派遣元で"お仕事の紹介しますか?"という意味だ。



俺はここの派遣先で働く前は、車で2時間半ほどの市に同じ派遣元の住み込みで働いていた。


ここの派遣先よりも時給が低く、アパートも用意してくれていたので、家賃があった。

総支給25万ほどから10万ほど引かれて、手取り額は15万ほどであった。


今住んでいる田舎町よりも大きいのはもちろんのこと、ネットカフェや牛丼屋・更には大型ショッピングセンターがいくつもあって、休日には足繁あししげく通っていた。


ただ、ここでの派遣先を辞めた理由はいくつもあるが、簡潔に言うとありとあらゆる面から不安を感じていたからだ。


そこの派遣先は辞めて正解だった。

今の派遣先の方が時給は400円ほど高く、集合寮でありながらも家賃がない。

時給が高くつ費用も少ない。

俺は真っ先に飛びついた。

でも副業を理由に突然クビを切られた。


またあの町に戻ってもいいんだけど…

給料もそこそこ低くなるだろうし、副業と投資で大金を得ているので、もっと違うことに可能性を繰り広げてもいいのではないのかな?


そう思いつつも、一応今の派遣元でどのような仕事を紹介しているのか気になったため、聞いてみることにした。


「一応ですが、今紹介している仕事を教えて欲しいです。」

「うーん…。正直今紹介できる所はね、ここより給料は下がるよ。」


確かにそうだ。

今の派遣先は、ここの派遣元が紹介する北海道の現場の中で、一番給料がいいと聞いたことがある。

多い時では手取り30万ほど頂いたことがある。

その代わり派遣社員なのでボーナスは出ない。


「総支給20万以下で寮費かからない所もあれば、総支給26万から28万くらいで寮費5万弱の所ぐらいかなぁ…。今紹介できるおすすめの現場は、どこも総支給が高くても差し引かれる金額が大きい所が多くてさ…。」


今の説明で、後者でさえ手取りが10万下がることがわかった。

残業時間にもよるけど、前の派遣先と同じくらいの手取りになりそうだ。


派遣社員として製造業をする上で、苫小牧とまこまい市にある現場はよく紹介されるが、今紹介された中で苫小牧市の現場がなく、函館はこだて市の方や、帯広おびひろ市がある十勝とかち地方の田舎町と、札幌市から車で4時間ほどの遠距離を移動しなければならない。



結論はすぐに出た。



札幌に行って友達と全力で仕事し、全力で遊ぼうと。


担当から紹介を頂いたお仕事はすべて断った。



「また製造の仕事がしたいと思ったら俺に連絡して。その時にいい仕事があったらいくつか紹介するから。」


そう言われ、担当に保険証を返した。



派遣元の担当とのやりとりを終えた相葉は、残りの荷物を持って寮内を後にし、3年ほど住んだ集合寮から姿を消した。



さあホテルへ帰ろう!!

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