第4話 北海道小樽市②

ホテルにチェックインをして部屋の居心地の良さを少し体感した俺は、ベッドに横たわって気持ちよく眠ってしまうところだった。


夕食は何にしようかと考えていたところ、小樽運河を眺めながら食べられる洋食レストランに決まった。


そこの洋食レストランに行ったことがあるのは数回とかいうレベルではないが、何度来ても素晴らしい。


カウンター席に座れば、小樽運河を眺めながら食事ができる。

昼と夜での光景は違った魅力もあって、とてもいいものだ。



食事を終えたら、コンビニでお酒を買ってホテルに戻った。


部屋で館内着に着替え、バスタオルを持って大浴場に行こうとしたその時だった。


LINEの着信音が鳴った。

札幌に住む友達からだった。

一瞬同じ寮の人かと思ったので少しヒヤヒヤした。


「もしもし?シンタ?」

俺の名前を呼ぶ声だ。


このタイミングで本当に申し訳ない。

俺の名前は"相葉あいば真太郎しんたろう"という。

26歳元派遣社いn…って雇用契約は金曜日までだったなぁ…。一応まだ派遣社員。


「おー!はるくんお疲れ。」


友達の名前は"東風谷こちや晴彦はるひこ"。

真太郎の1歳年上で体型は似ててムチムチ。

身長は彼の方が5㎝ほど高い。


「土曜日のセミナーって、札幌に来れる?」

「うん。行けるよ。」

「あっ、来れるんだ。ていうか今週何曜日休みだっけ?」


俺にとってはもう今日からずっと休みだ。

一応だが、晴彦には近々仕事辞めて札幌に住むと言ってはいた。

しかし、突然クビになってこれからホテル暮らしを満喫するとは言えなかった。


「今週土曜日休みなんだよね。」

「おーそうかそうか。よかったわ。それじゃあ金曜日の夜に来て一緒に飲めたりする?」

「まあ定時で上がれたらね。」

「上がれ上がれ。みんな会いたがってるぞ。」


晴彦は真太郎が土曜日休みだと聞いてとても嬉しそうに舞いあがる。


俺こそ嬉しいよ。だって本業で一緒に働いていた人たちより付き合いは短いものの、俺たちは家族のような関係だと思っているのだから。



楽しい感じで通話は終了し、俺は大浴場へ足を運んだ。


浴槽の中で一思いに更ける。


土曜日のセミナーかぁ。ここから俺の新しい一歩が始まるわけか。

彼らと出会い、彼らと時間共有することは何よりも大切なことだな。

ありとあらゆる希望と幸福、そして可能性を生み出してくれる環境だし、彼らと彼らを通じて出会ってきた人たちはみんな尊敬する。


逆に人の行動力に首を突っ込み、勝手に人をねたんで何のメリットがあるのか知れない奴らとの長い付き合いなんてどこが大切なんだか…。

むしろクビを切られて光栄だ。

マイナスにマイナスを掛け合わせるとプラスになるというのは数学だけの理屈じゃない。



それに、俺は今月この権利収入でどれだけのお金が入って来てるんだろう…?



確か…先月で28万くらいか!

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