第2話 契約を切られた原因とは?

突然のクビを言い渡された俺は部屋の片付けに集中していた。


そんな中でやはり疑問に思うことがある。


残された人たちには自分がクビになることをどういう風に伝えられていたのか?

自分がクビになることを、クビになる原因を知って俺に対しどう思っているのか?

俺一人が突然抜けることによって仕事の負担はどれだけ大きくなるのか?


そして…

クビの本当の原因は何なのだろうか…?



思い返してみれば心当たりはある。


自分が持っていた仮想通貨の価値が高騰し、億までは行かないが、日本円にして十数万円の価値から8桁にまで化けたのだった。


この瞬間を境に、自分は良い意味でも悪い意味でも変わってしまった。


良い意味ではポジティブかつ幸せな気持ちになり、今まで出来なかったことや高いお買い物などをしたことによって、これからの人生は希望に満ち溢れているような気がしていた。



一方悪い意味では、ある土曜日の勤務での出来事を挙げるとする。


俺は、車で2時間ほど離れた都会に住む友達に合コンを誘われていた。

一瞬の迷いもなく彼の誘いに乗った。

平日の勤務で残業を頑張って土曜日は定時で帰ろうとあらかじめ計画していた。


当日、俺が定時で帰ろうとした時に

「今日残業していかなくて大丈夫なのか?」

と、サブリーダーに言われた。

進捗しんちょく状況もいいですし、平日残業頑張ったんで今日は帰りますわ。」

と返すと、

「いや、頑張ってるのはみんな一緒だよ。仕事が進んでるからって後の勤番に丸投げしてもいいわけじゃないから…。うん。」

と揚げ足を取られた。


正直言ってくそが付くほどうざかった。


俺たちの会話を聞いていた、自分の倍の年齢の男性に

「本当に帰るのかい?」

と聞かれて

「あっ、もちろんですよ。友達から合コン誘われてますし。あと、個人的に色々用事あるのに残業押し付けるような言い方をするのはおかしいですよね?」

と、ちょっと言い過ぎたなぁと反省もしたが後の祭りだ。

その男性は呆れた表情で自分を見つめ、口をぽかんと開けながら「はぁぁ〜…。」と言うだけだった。


俺はこいつにもイラっとしながら華麗にスルーし、もちろん定時で帰った。


次の週の月曜日にリーダーと主任に呼ばれ、その事について20〜30分くらい面談をさせられた。

一方的に自分を責められた訳ではないが、サブリーダーに対する態度が悪いとの指摘を受けた。


もちろん態度が悪かったのは自覚があるし、2人の上司は自分の気持ちにもなってくれたので、素直に「すみませんでした。」と謝ることができた。


でも正直、部下にマウントを取ったり、自分の感情を押し通すことでしか自分自身を表現できない奴は終わってると心の中で強く思うばかりであった。



この出来事はクビになる要因のほんの一部分ではあるが主な要因であるとは考えにくい。


もし主な要因ならば、リーダー以上の上司2人は自分に面談を持ちかけてこない。



そんな事を考えていたら気づけば部屋が綺麗になってすっきりしていた。


あとは派遣元からの貸出道具ぐらいしか残ってない。

これらは自分の物にできないので返さなければならない。


後は退去当日にすうーっと出て行くだけだ。

何とも心地がよいものだ。


さて、部屋の片付けも終わったことだし…



遊びに行ってくるか!

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