わくわく登場人物紹介
長編小説には、登場人物がたくさん出てくる。たった一人のキャラで大長編もありうるだろうが、普通、ないよね。
ファンタジー大作には、登場人物の紹介に結構なスペースを割く人も存在する。ナントカ帝国とかカントカ教とか、良い子悪い子普通の子、設定だけでも複雑多岐にわたるから仕方ないか。長く続けるためにも大勢出てくるのは有利、枯れ木も山の賑わいってやつかな。
はて。大人数と言うのは、具体的に何人くらいなんだろう。
柳之介の頭に、むくむくと疑問の雲が発生する。
そもそも「銀河」とは、どういう小説なのか。大河小説と銘打った以上、大長編なのだが、ジャンルさえ決まっていない。
堀から、今は異世界ファンタジーが大流行、トライしてみては、と言われて、固まってしまったっけ。昔から大の苦手、読んだ覚えがないジャンルだ。
SFは「鉄腕アトム」が好きだった程度。
恋愛、ラブコメは無縁の世界だ。
現代ドラマは範囲が広すぎて困っちゃうな。
ホラーは怖くて想像するのも嫌だ。
ミステリー
「トリックは考えつかないし、殺人とか、物騒で気が進まない」
歴史
「嫌いじゃないが、時代考証とか大変」
柳之介の煮え切れなさに、堀はブチギレた。
いかん、また脱線してしまった。
大人数について考えるのだったな。
たくさんの人が出てくる話を、柳之介は思い出してみた。
アリババと40人の盗賊。
討ち入りの赤穂浪士は47人。
物語ではないが、AKBは48人。
やはり、40人以上だと多いって感じがする。
もしかして、40人分の名前やキャラを考えないといかんのか。
柳之介は、目の前が暗くなる。
40人。うーん、40人。
そうだ、高校時代のメンバー。
各クラス45人だったじゃないか。使わない手はない。特に一年の時の顔触れは、鮮明に覚えている、ような気がする。ためしに書き出してみるか。
出席簿順に、
まじめだった青木繁。
いつも斜に構えていた浅利光。
ふてぶてしいオヤジみたいな阿部敏明。
「うちだ」と呼ばれるたびに、むきになって「うちたです!」と訂正していた内田純一郎。
長髪が眼にかかり、「鬼太郎」と呼ばれていた大内洋二。
いいぞいいぞ。はじめの5人だけでも、けっこう個性がある。
本名で出すのはまずいかな、まあ、それが自分だって気づく奴もいないだろう、こんな底辺ネット小説、彼らの目に留まるはずもないし。
よーし、キャラ40人は確保!
柳之介は、ほっとして、お茶を入れた。
今日のおやつは、チョコクリームパンにしようかな。
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