第4話
「お前、それは脈ナシだろ。」
大学でいつも一緒にいる友人はそう言い、はぁ、と呆れたような声を出した。
「え、なんで。」
「考えて見ろよ? いくら真面目で仕草が丁寧で可愛いルックスでも、冷たくあしらわれていたら、好きじゃないだろ………完全に。」
「完全に、って言い切るなよ。」
俺は反論してみたはいいものの、その友人の言いたいことも分かった。
あの月曜一限の授業がある度に、俺達は顔を合わせる頻度が高くなっていたのは事実だ。たまたま近い席になったり、話したりした…が、彼女は「それ以上」のことには触れてこなかった。まるで、「ここまではいいけど、これ以上はダメ。」と、彼女自身が俺に対して線を引いているようだった。
だから、俺はフラれた訳で。
友人の言うことは、正しかった。
「…それでも、俺はもうちょっと頑張ろうかな。」
「お、2度目の告白なのか?」
「そんなニヤニヤするな。俺は覚悟を決めただけだ。」
友人がニヤニヤした顔を向けるのを無視し、俺は授業のレジュメをパラパラとめくり始めた。
―――せっかく、自分から人を好きになれたんだ。だから、諦めたくない。
俺は自分に、そう言い聞かせた。
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