第14話 二章④『憎悪』

 試験日前日。

「ここで間違いない」

 男なのか、女なのか、子供なのか老人なのか若人なのかは分からない者は障気が漂う中、赤々と燃えているような石を地面に置いた。

 その石がズブズブと地面に沈んでいく様をその者は忌々しく見下ろしていた。

 「くッ、何故私がこのようなことを――――まぁいい。準備は整った。あとは明日を待つばかり」

 しかし、とその者は爪を噛み締め顔を歪める。

 本来ならばこの計画はもっと早くに終わっていたはずだった。

 なのに――――――――。

 「!!」

 頭をガリガリと掻きむしりその者は動きを止める。

 「くっ、くくっ、まぁそれも明日で終わりだ。鎮守も、候補者も、みんな全部これで終わらせてやる――――――――くひひっ、ひはははっははははははははははははははははははははははははははははははははっはああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッ!!!」

 情緒が安定していないその者は雄叫びを上げるかのように発狂した後、そのままその場を去った。

 静寂が支配するその場所では地面に埋め込まれた赤々と燃えているような石が静かに、だが強調するかのように鼓動を始める。

 そして、


 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッ!!!


 同時に人でも獣でも何でもない、しかしそれ以外のの咆哮が響き渡った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る